DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

自分とたたかう歌

ぼくが最近感動した動画が、BAROQUEのギタリストの圭さんが4月12日に開催したソロライブのこの動画でした。


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圭さんは5月13日にこの動画をTwitterで紹介すると共に、こう呟きました。

「自分の全てだったBAROQUE休止から7ヶ月…

これからどう生きるべきなのか。

気が付いたらこの4月12日のステージに立っていた。

人の前で歌う事は凄く怖かったのに。

でも、それを越えた先での本当の自分に出会えた気もした。

2曲繋がっていて長いけど皆に観て欲しい。」

圭さんは7ヶ月前のBAROQUE休止発表直後に行ったライブを「あの日はまだ怖れていた」と振り返り、「今日は覚悟を持ってここに立つ事を、自分と約束して決めた」「あの日の自分と、今日は決着を自分で着けたいなと思って、最後の曲を選んだんで、聴いてください」とこの動画でも語っています。その覚悟とか決着というのは、BAROQUEにたった1人残った表現者として、今までのギタリストとしてだけではなく、自らステージの真ん中で歌う事を決断して、シンガーとして進む覚悟を決めたことでした。

そこに至るまでの道程って逡巡されたんだろうなと思いますけど、目の前に壁やハードルがあっても、実現しようとする決意と覚悟や、納得のいく結果を目指す努力が見える姿が、とても美しいと思って、そういう熱意が感じられることには、微力でも手を差し伸べたくなる気持ちになります。

ぼくは、圭さんみたいな急展開なエピソードはありませんけど、カラオケ大会のように人前で歌う時は、その作品を自分が思い描いているように見せたいという気持ちは持っていて、そういうことを表現しなきゃっていう決意は持ってるんです。ステージに立つと、やっぱり緊張はしていますけど、それよりも歌っているときは、もう1人の自分が「ちゃんと歌えてるかな」と確認していたり、ちょっと音を外したときは「他でリカバリーしよう」と声をかけていたり、後半になってくると「そこは頑張って歌い切れよ!」と檄を飛ばしていたり、心の中では結構自分とたたかっている感じがします。

カラオケの世界大会に出られた方と、カラオケ大会の話をしたときに、「ステージって、自分に勝つかどうかなんですよね。調子が悪かったら、その日は負けだと諦めます」という言葉を聞いたことがあって、結局、たたかうべき相手は他人じゃなくて自分なんだなと改めてその日の出来を反省したことがありました。

初めてカラオケ大会に出たときの審査員の先生が「自分軸を持つように」ということと、自分のやりたいように「やっちゃいなよ」ということを言われて、そのときはその言葉がよく見えてませんでしたが、自分の歌に対するスタンスを確立していくことが、揺らぎない自分のスタイルを作っていけるし、それが歌の個性を生み出すのだということがわかってきました。

ステージに立つと、全てを曝け出すしかない状況なんです。一斉に見られているなあっていう感覚ありますし、歌っているだけなのに、ぼくの人となりまで見られているような気がします。上手く歌ってやろうと見せても見抜かれますし、自信がなさそうに歌っても誰も同情はしてくれませんし。でも、ぼくのリアルを曝け出すわけではなく、あくまでも歌の作品を、ぼくを通じて発表しているわけです。自分が歌の主人公を演じ切れるかみたいな意味では、歌い手も役者と同じところがあるんだなと思っています。

「女優!女優!女優!勝つか負けるかよ!」とは、映画「Wの悲劇」で三田佳子さんが演じた名ゼリフですが、浜崎あゆみさんや三代目J SOUL BROTHERSはコンサート開演前に円陣を組んだときに、この「女優!女優!女優」コールをしたこともあるとか。それだけ自分に勝つためにたたかうことって大事なんですね。