DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

ららばい

昨日、YouTubeを見ていたら、たまたま出会ったのが、「作詩家久仁京介の世界」というチャンネルでした。紹介されていた動画は、【演歌男子Shinさんコラボ】久仁京介✖️Shin✖️山田ゆうすけ特別動画。演歌男子Shinさんについては、2018年8月にぼくのブログでも紹介させて頂いたことがあって、その当時のチャンネル登録者は12,000人を超えていました。現在はチャンネル登録者が63,000人を超えており、この3年で多くの方にShinさんの歌声が届けられたことに本当に嬉しく思います。そんなこともあって、30分以上の動画でしたが、じっくりと聴いてみました。

久仁京介さんは作詩家として50年を超えるキャリアをお持ちの方で、一般社団法人日本作詩家協会の副会長を務められています。数々のヒット曲の中でぼくが印象深いのは、日吉ミミさんの「男と女のお話」や新沼謙治さんの「津軽恋女」ですけど、竹島宏さんを歌手デビューでスカウトした方でもあります。こんな大ベテランの方がYouTubeで配信をされていることにも驚きましたが、その目的は演歌だけではなく、40代から60代までの世代をターゲットに、歌謡曲系からポップス系までの作品を作るプロジェクトをやっていこうということで、CD化されていない意味での未公表作品を発表していこうというもので、そのチャレンジ精神と意欲的な活動がいいなと思いました。

今回はShinさんに、未公表作品の1つである「ららばい」という曲を、久仁さんがShinさんに歌唱依頼したという特別企画だったそうです。作詞は久仁さん、作曲は山田ゆうすけさん、編曲は高木博音さんです。山田さんは久仁さんと一緒に今回の創作プロジェクトを行っていらっしゃいます。高木さんはキーボード奏者や作曲家もされていて、三浦祐太朗さんのバックミュージシャンも務められています。

この「ららばい」という作品は、彩(あや)さんという歌手の方が歌われています。


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出だしの「ららばい ららばい 三杯目の水割り」から引きつけるものがありました。夜の雰囲気を漂わせる感じです。久仁さんが、YouTubeで配信する作品は「イントロは短い方がいい。次の動画にめくられてしまうから」と言われ、山田さんも「つかみはOKというサビが欲しかった」と言われ、Shinさんも「最初の歌詞は大事」と言われました。最初の一節で歌の世界に入ってもらえるのかが決まるんですね。久仁さんの「めくる」という言葉は本のページを捲るのと同じで、関心を持たれるように捲らせない努力が必要なんだなと思います。

Shinさんは高音で強めの歌声が魅力の歌い手さんですけど、彩さんが歌った「ららばい」を自分が歌うに当たって、歌詞の主人公の思いを深く掘り下げたり、メロディーの歌い方を地声かファルセットのどちらを使うかとか、言葉の1つ1つへのこだわりを強く持たれていました。言葉は小説でも俳句でも歌詞でも、読解することによって、歌へのアプローチもまた変わっていくのだと思います。山田さんがShinさんの歌い方について、「ファンの方には綺麗に歌っているように聞こえるかもしれないけど、言葉を投げて処理しているところがありますよね」と評価されていました。Shinさんも主人公の気持ちになって、投げやりな感情を歌に出そうとしていると話されていました。

久仁さんはShinさんに「遊び心で歌ってみなさい」とアドバイスされたそうです。「同じ歌を同じようにみんなが歌うのはつまらない。彩さんみたいにShinさんがもし歌ってしまったら、逆にShinさんの魅力が失われてしまう。それをShinさんは自分の歌の大正解を出してきた。荒削りをしっかりと出しながらも、繊細さもしっかりと出している。」とShinさんの歌を絶賛し、「カバーという言葉は取って頂いて結構」と、オリジナルで歌ってよいと認められました。

また、久仁さんは大きな声では言えないと言いながらも、「最近の演歌歌手の若手は、余りに丁寧に歌いすぎていると思う。もっと弾けてほしいという不満がある」と言われました。これに対してShinさんは「自分も荒く歌って音を外して原曲のイメージを外せない葛藤がある。それと採点ゲームが盛んになったので、音を収めようというのはある」と返されていました。

先日、カラオケ大会で多数優勝されている方の話を聞いたのですが、自分は「大会脳」になってしまっていると言われたのが印象的でした。大会で失点を少なくするために、勝つための歌を追求すると、抑揚や語尾処理がかっちり決まった表現になる。フィギュアスケートでいえばルーティンなんだと思います。でも、魅力ある歌にするにはルーティンだけでは足りないわけで、フリーの演技で独創的なものを見せないといけない。それが久仁先生のいわれる「遊び心」なのだろうと思います。

Shinさんの「ららばい」は、声質がよく活かされていると思います。残念ながらCD化はされていませんので、カラオケで歌うことはできません。


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レアなジャニーズ曲たち

ぼくは仕事の行き帰りに音楽を聴いていることが多いです。自分が練習している曲を聴くこともあれば、自分が歌った音源を聴くこともありますけど、朝の眠気覚ましと、少しテンション上げたいなあと思う時に聴いているのは、ジャニーズの曲です。

ジャニーズといっても、超有名な曲よりも、あまり知られてなさそうで、いいなと思う曲を聴いてます。何曲か紹介していきます。

中山優馬さんの「水の帰る場所」という曲は以前にこのブログでも紹介しましたけど、他の曲も聴いてみたら、ビートのノリが良くてかっこいい曲が多くて、その中でも気に入っている曲が「so Crazy」という曲です。


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この作品は、2014年4月14日に発売された中山さんの2枚目のシングル「High Five」の通常盤CDの3曲目に収録されています。作詞・作曲・編曲をされた岩田秀聡さんは、サースティロードというバンドのボーカルをされている他、タッキー&翼、AAAへの楽曲提供もされています。岩田さんのブログでも「so Crazy」について「かっこいい。ちょっとセクシーな歌詞&曲調なんですが、優馬くんの優しくて強い声が響いてます」とコメントされてますが、そのとおりでした。Travis JapanというジャニーズJr.内のグループがこの曲をカバーして歌っていて、皆さん上手く歌いこなしていると思うんですけど、中山さんの歌い方の方が引き締まっているというか、語尾とか韻読みの切れ味がいいなと思いました。でもトラジャの中でも1人、中山さんの歌に近いなと思ったのは、松田くんのパートのところでした。歌ってほんの1秒伸ばしただけでも、聴いた人が受けとめる感覚って微妙に違ってくるんだなって感じました。

KAT-TUNの曲はほとんど聴いたことがなかったんですけど、唯一歌ったのが「楔-Musabi-」という曲でした。ご本人歌唱ではありませんが、こういう雰囲気です。


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この作品は、2013年11月27日に発売された彼らのミニアルバム「楔-Musabi-」のタイトル曲として収録されました。作詞のRUCCAさんは溝口貴紀名義でも作詞家として活動されています。作曲のKOUDAI IWATSUBOさんはジャニーズのアーティストに多くの楽曲を提供されています。編曲はDREDSTORE COWBOYという方なのですが調べられませんでした。イントロから雰囲気があって、いったん歌に入ったら休む間もなく最後まで歌い続ける曲なんですけど、アレンジがかっこいいなと思いました。

Sexy Zoneは1年前ぐらいにアリス九號の「Sexy  Zone」のカバーを聴いてから、初めて聴くようになりましたけど、最近いいなと思ったのが「名脇役」という曲でした。

 


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この作品は、2018年2月14日に発売された彼らのアルバム「XYZ=repainting」に収録されました。作詞・作曲・編曲をされた竹縄航太さんはHOWL BE QUIETというピアノ・ロック・バンドでボーカルをされている方だそうです。歌詞が青春っぽくって、好きな女の子に告白してしまうと、もうそばにいられなくなる気がするから、自分は恋人じゃなくて友達のままでいいっていうのが「名脇役」の意味かなと思いますが、歌詞には「名脇役」という言葉はないんですよね。

いずれの曲もYouTubeをランダムに聴いていたら、急にぼくの耳に聴こえてきて、「この曲なんだろう」って思って、動画の画面を見てその曲との初めての出会いがあった感じです。この聴いていて、いいなと思うところを早く自分の声で歌ってみたいです。

 

 

 

波乗りジョニー

ぼくはカラオケ大会に時折参加していますが、主催者の方って大体歌が上手いと思います。歌唱力があって上手いという方もいれば、個性的な表現力が魅力的な方もいらっしゃいます。

8月の終わり頃、めったにご自分の歌を披露されない方が投稿されていて、歌われていたのが桑田佳祐さんの「波乗りジョニー」という曲でした。

この作品は2001年7月4日に桑田佳祐ソロ名義の6枚目のシングルとして発売されました。作詞・作曲・編曲は桑田さん、管編曲は山本拓夫さん、弦編曲は島健さんです。一般的に編曲家であるアレンジャーは、すべての楽器の譜面を書きますが、弦セクションの譜面を書けない方もいて、その部分のアレンジを行うことを「弦編曲」といいます。楽器としてはファーストバイオリン、セカンドバイオリン、ビオラ、チェロです。「弦編曲」は見たことがありますが、「管編曲」は見たことがありませんが、木管楽器金管楽器のアレンジだと思います。

山本さんはサックスもフルートもクラリネットも演奏するマルチリードプレーヤーであり、Mr.Childrenの「シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜」は山本さんがサックスを演奏されています。曲を覚えるときに、どこでどんな楽器が演奏されているのかに着目していると、作品への好奇心が湧きますし、歌への理解も深まると思います。

島さんはジャズ・ピアニストとしての活動のほか、アレンジャーとして多くのアーティストの作品を提供し、サザンオールスターズの「TSUNAMI」や浜崎あゆみさんの「Voyage」は日本レコード大賞を受賞しています。

桑田さんはサザンとしての長い音楽活動の中で、時にソロ活動をされる年もあり、2001年はそういう年でした。「波乗りジョニー」はソロ作品として初のミリオンセラーとなり、続いて発売した「白い恋人達」もミリオンセラーとなり、第16回日本ゴールドディスク大賞の「ソング・オブ・ザ・イヤー」に2曲とも選ばれました。

この作品のMVが見ていて楽しくて、後半はファンクラブから選ばれたエキストラの皆さんが桑田さんのステージを盛り上げていて、こういうのっていいよなあと感じました。

さて、カラオケ大会の主催者の方が歌われていた「波乗りジョニー」も、ご本人は「罰ゲームみたいなもの」と謙遜されてましたが、この作品への愛が感じられましたし、この曲の楽しさを改めて感じさせてくれる魅力を感じました。だからだと思いますけど、そのカラオケ大会によく参加している皆さんたちが、次々に「波乗りジョニー」を歌って投稿し始めました。

歌の魅力って何だろうって考えたりしますけど、その方の歌を聴いて貰って「上手いですね」とか褒めてもらえるのも1つだと思いますし、「私もこの歌覚えようと思います」もその方の歌への敬意が感じられますし、それが高じて「ぼくも歌ってみました」となると、歌った方も嬉しいと思います。それがプロの歌手であっても、自分が歌う作品を多くの方に歌ってもらうことがヒットへと繋がるわけです。自分もそういう魅力が欲しいなと思いました。

それで、ぼくも「波乗りジョニー」を歌ってみました。日頃は歌わない曲ですけど、桑田さんの音楽は聴いてきましたので、そのエッセンスをベースにして歌ってみたら、少しはこなれてきたかなと思いました。しかし、日頃は歌わない曲を歌ってみると、随所に欠点が見えてきてきました。いろいろな曲を歌ってみると、気づかないことに気づけると思います。


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歌の手帖とカラオケファン

カラオケの月刊誌というのがありまして、歌の手帖社が発行している「月刊歌の手帖」と株式会社ミューズが発行している「月刊カラオケファン」があります。どちらの雑誌も、自分の歌を録音したものを送ると、作詞家や作曲家の先生が審査して段位が決まる「Kリーグ」「KFチャンピオンシップ」というものがあります。歌の仲間の人たちが「雑誌に掲載されました」とTwitterでツイートしていたので、書店に行って、買うつもりはなくて読み始めました。

アイドル向けの雑誌があるように、カラオケの月刊誌に登場するのは演歌・歌謡曲の歌手の皆さんで、お目当ての歌手のファンの方は記事を読んで喜んでいるだろうなと想像してしまいます。同じ記事を読んでいても、読者の方それぞれ読み方が違うと思うんです。ぼくの場合は、「歌手の方はどういう気持ちでこういう雑誌の取材に応えているのだろうか」という視点で読んでいます。インタビュー記事も質問が上手で、新曲の取材は勿論ありますけど、今の現状における歌手としての気持ちみたいなところを引き出してくれているので、その点は読み応えがあります。

そうやって読み進めていくうちに、次第に「やっぱり買おうかな」という気持ちが芽生えてきましたが、それは記事の中に、ぼくに刺さる言葉があったというか、気になることがいくつもあったからだと思います。「歌の手帖」の中澤卓也さんの記事で、レコーディングに参加した野口五郎さんが中澤さんに「全体的には、悲しさを悲しいってわかるように唄わない方がいいんじゃない?全面に出さず、哀愁感に…」アドバイスした言葉が紹介されてまして、それって中澤さんの歌い方を瞬時に分析して、歌の癖を見抜いたんだなあって。ぼくもカラオケ大会で審査員の先生が、ぼくが思ってもいないことを指摘されることがありますから、一面的に歌を捉えちゃ足りないんだなあって思うんです。「こういう歌い方じゃないとって決めてますよね」って言われたこともありますし。それと、中澤さんは師匠の田尾将実先生からも「ちゃんと唄わなきゃ感がすごい!」とよく言われるとの一節を見て、また「ぼくが言われてるのかな」って感じてしまいます。「ちゃんと」っていうのは、音程やリズムを正しく歌うのはあるとして、その言葉とメロディーを融合させた歌声って、別に答えは1つじゃないんですけど、教科書的な回答の歌声を選んでしまってるのかなと思うことがあります。これも「いろいろな音を試してみたらいいと思うんですよ」と言われたことがあってか、ぼくには刺さります。

もう1つ、Kリーグの記事の中で歌手の長保有紀さんがコメントされた中で、「プロになりたいなら、カラオケは止めた方がいい。音が完成してるから、自分の歌の悪い所が分かりにくい。先生のピアノでなら、良くなかったらバンって止まって「やり直し!」ってなるでしょう」というのがありました。プロを目指すなら先生に付くべきだというお話なんですが、プロの歌手の方は生演奏で歌うわけで、その現場では歌手も演奏者も一体になって生音を作っています。ぼく自身はカラオケの音源にもそれを作った方がいて、一つ一つの音に意味はあると思うので、一元的に機械的な音とまでは考えてはいませんけど、カラオケとは別に、音を作る現場でも歌う機会を作りたいと思って、生バンドの演奏で歌う大会にも出たことがありますので、長保さんのコメントも刺さりました。

「カラオケファン」も海沼実さんの記事で、舞台歌唱の際に注意すべき点として身ぶり手ぶりを挙げられていたのが、今のぼくにとっては気になることでした。最近、オンラインのカラオケ大会で動画を提出する機会があります。ただ歌っているだけではダメなのかなと考えて、歌詞を表現する一つとして手を動かしたり体を動かしたりするわけですが、その振付は歌にあっていたのかなとか些かオーバーアクションだったかなとか、提出した動画を振り返って反省することがあります。「何となく手を動かしているだけの場合やプロ歌手の立ち居振る舞いをコピーしたような動きも、聴き手に違和感や悪印象をもたらす危険があることを覚えておきましょう」とあるのを読んで、グサっと刺さりました。

こうして立ち読みしながら心が刺されまくりでは身も持たないので、「歌の手帖」と「カラオケファン」を買って帰り、家でじっくりと読むことにしました。両方の雑誌には、竹島宏さんの新曲「プラハの橋」の詳しい解説もあり、覚えようと思ったのも買った動機でした。こんな調子で読んで考えてたら、1ヶ月かかりそうです。

 

岸壁の母

ぼくがよく見ている歌番組に、BS朝日で毎週土曜日の19時から20時54分まで放送されている「人生、歌がある」という番組があります。昨日8月14日の放送では、特別ゲストとして二葉百合子さんが出演され、御年90才とは思えぬほどの歌唱を披露されました。最後に歌われたのは「岸壁の母」でしたが、歌の感情を切々と訴える表現力の高さや、引き締まった構成力に加えて、お世辞抜きで現役同様の歌唱力を保たれていることに感服し、思わず拍手を送ってしまいました。

岸壁の母」のオリジナルは二葉さんではなく、往年の大歌手であった菊池章子さんでした。

第二次世界大戦後、ソ連による抑留から解放され、引揚船で帰ってくる息子の帰りを待つ母親の姿を当時のマスコミが「岸壁の母」と称しました。映画化もされる中で、実在のモデルとされたのが、新一さんという息子さんの帰りを待つ端野いせさんという母親でした。端野さんのインタビューを聞いていた作詞家の藤田まさとさんは、母親の強い愛情と戦争への憤りで胸が高鳴り、でも心を抑えて即座に歌詞を書き上げたそうです。その歌詞を受けた作曲家の平川浪竜さんも、単なるお涙頂戴の作品にしてはならないと考え、徹夜で作曲を仕上げたそうです。

そして、出来上がった作品を平川さんはピアノで演奏して、テイチクレコードの重役と文芸部長と藤田さんに聴かせたところ、全員が黙って聴いて泣いていたそうです。菊池章子さんもレコーディングで何回歌っても涙が出て歌えなかったそうです。こうして1954年に発売された菊池さんの「岸壁の母」は100万枚以上の大ヒットとなり、1955年のNHK紅白歌合戦でも歌唱されました。

二葉さんは3歳で浪曲師としてデビューし、歌謡浪曲の道を進まれた方であり、「岸壁の母」は間奏に台詞を入れた形で、1971年にカバーアルバムの中で初めて収録され、1972年にシングルカットされ大ヒットとなり、1976年には日本レコード大賞審査員会選奨賞、日本有線大賞ヒット賞を受賞し、同年のNHK紅白歌合戦にも出場し歌唱されました。二葉さんは2011年に引退を表明されましたが、その後も出演依頼があれば歌を披露されています。

二葉さんの功績としては、女性の演歌歌手の後進の指導に当てられたことであり、石川さゆりさん、坂本冬美さん、原田悠里さん、藤あや子さん、石原詢子さん、島津亜矢さんが二葉さんの指導を受けた弟子として有名です。

オリジナルの菊池さんがいいのか、カバーの二葉さんがいいのかみたいな話は、どんな曲でもある話なんですけど、それはお2人それぞれのバックボーンが異なるので、比べて競うことではないと思います。菊池さんは流行歌手として大衆の支持を受けるなかで、息子を待つ母の気持ちを切々と歌い上げていて、二葉さんの曲に慣れているぼくの耳では、こういう歌い方もありだよなあと思いました。


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二葉さんは浪曲師として、歌謡浪曲の世界を作るという観点から、息子を待つ母の気持ちをさらに感情を盛り上げて訴えていく歌い方になるわけで、これも1つのアプローチだと思うわけです。テレビ版ではなくて、歌謡浪曲が一番入っていた動画をアップします。


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だから、1つの作品には、歌い方の正解は1つだけではなくて、逆に自分のやり方でいくつも答えを作れるものだと思うんです。自分のベースをしっかりと作ることができていれば、どんなアプローチであっても、大衆の多くの支持を受けた好例が、菊池さんと二葉さんの「岸壁の母」だと思うのです。

コメントと寸評

ぼくは「新東京カラオケグランプリ2021(TKGオンライン)」の7月大会に急遽参加することになりました。この大会はカラオケ評論家の唯野奈津実さんが主宰を務めるオンラインカラオケ大会です。2019年までは「東京カラオケまつり」というリアルのカラオケ大会を開催されていましたが、コロナの影響で、今はオンライン大会を実施しているところです。

カラオケ大会って主催者のカラーが色濃く出ますので、出場者にとっては合う合わないといった相性みたいなものがやはりあります。ぼくが初めて出たカラオケ大会は「東京カラオケまつり」でしたが入賞しませんでしたし、その後は音源審査も合格せず出場させてもらえないことか続いたので、「唯野さん主催の大会は相性が悪い」と判断して、以後は特に大会の案内を見ることもありませんでした。

だから、TKGオンラインについても、全く関心がありませんでした。よく行くお店でもこの話題が出ました。「TKGオンラインは出ないんですか」と聞かれ、ぼくは「相性悪いんですよね」と答えたところ、「そうなんですか。でも出てみたらどうですか」と言われました。

7月大会は、7月15日にエントリーの受付が始まってすぐに50人の定員に達し締め切られていました。ところが、7月20日に「追加1名のエントリーを受付する」との発表がありました。今まで何の関心もなかったのに、急に「出てみようかな」と思いました。「でも、相性悪いから、受付してもらえないだろうな」と頭をよぎったものの、ダメ元でエントリーの入力を進めていったら、運良く、受付の仮エントリー完了に辿り着きました。

支払いを終えて正式にエントリーしたものの、動画提出期限は8月2日まで。東京都内のカラオケチェーン店舗は営業しておらず、周辺の県の店舗に行かねばなりませんが、その時間が確保できるのは7月30日の1日だけでした。当日はお店に入って、通された部屋のレイアウトやカメラの位置を確認して、声出しから始めて、何度も歌っては録画を確認して、5時間かけて動画の収録が終わりました。

動画を提出して、8月3日の夜から出場者53組の動画が公開されました。今回の動画はjoysoundうたスキ動画と決められていて、出場者の動画にはコメントを書くことができました。リアルの大会では出場者全員とお互いに会話をするのは困難ですけど、印象の良かった人への投票期限8月8日まで日数もありましたので、ぼく以外の52組の動画を見て、感想をコメントに書くことにしました。ぼくは審査員ではありませんし、同じ出場者ですから、音程やリズムといった技術的なことは書かずに、歌トータルとしてぼくが持った印象を書くことにしました。食レポで「おいしい!」というだけでは何がおいしいのか伝わらないのと同じで、歌のコメントも「上手い!」や「素敵!」では伝わらないので、ぼくがいいと思ったことが伝わるように書きました。なかなかこういう場では、他人の歌の欠点を書くことはできないので、どうしてもコメントが褒め合う感じになってしまいます。それが往々にして、褒めすぎなコメントが飛び交うことになります。「最高です」「感動しました」「聴き入りました」のワードを見ると、それは本当にそう思ったのか疑わしくなるんです。最高とか感動とか聴き入るというのは、よほどの物を聴いた時に使うべきであって、やっためたらに乱発するものではありません。ぼくも自分の歌に対してそういったコメントを頂きましたけど、ぼくは自分の歌の出来を既に判断していて、その出来に対しての飾りのない感想が欲しかったんです。感動するほどのものでないことはわかってますから、本当は何を伝えたかったのかなと解読するのが苦労しました。ぼくは52組の方に対して、美辞麗句は書かずに、その方に対していいなと思ったことを書きました。上手いとか完璧とか書かなかったので不満に思った方もいるだろうと思いましたが、その一方でぼくが書いたことを受け止めてくださった方も多かったので、ホッとしました。

一方で、審査員の先生からは寸評を頂きました。1人の先生からは、総じて曲に歌声がマッチしていたという評価は貰いましたが、歌詞の歌い方について、1文字めをはっきり歌ったり、語尾の2文字をくっつけて歌ったりといった細かい気遣いをすることにより、歌の輪郭がはっきりするという指摘がありました。もう1人の先生からは、歌自体は高評価を頂きましたが、歌う表情をもう少し笑顔で歌ってという指摘を受けました。1日で動画を完成させなきゃという必死さが如実に表情に出てしまったようでした。

入賞はダメなのかなと諦めていたら、期待賞という賞を頂き入賞することができました。

出場者の皆さんが歌が上手いのはわかっていて、本当に知りたいのはその先のことなんですよね。歌が好きな仲間だからこそ、ここをこう歌ったらもっと良くなるというアドバイスを受けることで、歌は向上するのではないかと思います。馴れ合っているだけでは成長しませんから。

 

琥珀色の日々

ぼくがDAM★ともで歌うことが多い歌手の中澤卓也さん。「BARKS」という音楽情報サイトを見ていたら、8月4日に中澤さんが発売したカバーアルバム「繋ぐvol.3〜カバー・ソングスIII Elements」に、歌手の野口五郎さんが参加したという記事がありました。

野口さんは中澤さんと、BS朝日の歌番組で共演したことがあり、野口さんが中澤さんの歌を褒めていた記憶がぼくもありました。

今回、野口さんから「中澤くんにぴったりの曲があるんだけど、歌ってみない?」と提案があり、このアルバムに収録することになったのが、「琥珀色の日々」という曲でした。

この作品は1984年7月10日に発売された野口さんのアルバム「琥珀」に収録された1曲でした。アルバムの制作に当たっては、同じレコード会社でもあった小椋佳さんが全体の構成をプロデュースし、全10曲のうち、大半の作詞作曲も行いました。ただし、「琥珀色の日々」を含む2曲は野口さんが作曲しました。

ぼくが五郎さんのヒット曲を覚えているのは、1983年にNHK紅白歌合戦で歌唱した「19:00の街」までで、1984年以降の作品は知りませんでした。それが今から6年前ぐらいに、YouTubeで五郎さんが歌番組で歌っている数々の熱唱シーンを見てから、「五郎さんの曲を歌ってみよう」とDAM★ともでも歌うようになりました。

そして、1984年に五郎さんは「一人が好きですか」と「花遊戯」という2枚のシングルを出していて、いずれも小椋さんが提供した作品となっています。

今回初めて、「琥珀色の日々」を聴いてみました。野口五郎さんのメロディーを聴いて、「あれ、作曲したのも小椋さん?」と思わせるところがありました。Aメロはいかにも小椋さん風で、BメロとCメロは小椋さんと五郎さんが混ざった感じで、サビは五郎さんらしい感じでした。

都会的な情景も自然の情景も歌っている点で、小椋さんと野口さんは似ているところがあるのかもしれません。コラボレーションの面白さは、個性的な2人が一緒に作品を作ることによって、新たな3つ目の音を作り出すところにあるのかもしれません。

さて、中澤さんの「琥珀色の日々」のレコーディングに当たっては、野口さんが一から音作りに参加したそうです。中澤さんもご自身のブログで「僕の歌や声質を瞬時に分析して、わかりやすくアドバイスしていただいたりと、伸び伸びと、自分に新しい引き出しが作られたような感覚がありました」と書かれていました。レコーディング後半では五郎さんが「俺も歌っていい?」と、急遽バックコーラスが吹き込まれ、図らずも共演が実現したということです。

歌に限らず、自分の仕事を先輩に認めて貰えるというのは嬉しいことです。その前提としては、影ひなた関係なく、自分の仕事をしっかりとやるということなんだろうと思います。

自分が思ってもいない人が、自分の仕事を見てくれていたということは往々にしてありますし、歌も同じで、自分の歌を見ず知らずの方が聴いてくれていたのを後から知ることもあったりします。だから、信じることを愚直にやり続ける意味はあるんだなと思っています。

五郎さんの「琥珀色の日々」は残念ながら、DAM★ともにはありません。同じ「琥珀色の日々」であったのは、ビリー・バンバンの菅原進さんの作品。こちらもいい曲なんです。


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