DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

とっさの地歌力

ぼくの中の理想の歌い手のイメージって、カラオケ大会で優勝することではなくて、どんな楽曲を歌ってと言われても、そこそこ歌える歌い手になることだったりします。

例えば、プロの歌手の方は、歌番組で他の歌手の曲をカバーして歌ってという依頼が来ますけど、そういう時にオリジナルの歌手に敬意を持って歌ったりとか、あるいは自分の解釈でオリジナルとは違う歌い方をするとか、どちらもかっこいいなって思います。

とっさに課題を出されても歌える力、地頭になぞらえて地歌力みたいな実力が欲しいと思っています。それで、6月はキャンセル枠で空いたオンラインカラオケ大会にいきなり申し込んで、課題曲となっていた「晩餐歌」という曲に2日間、正味2時間位トライして、音源動画を提出してみました。楽曲を研究する前提にいませんので、もちろん入賞はしませんが、短時間で集中して、全く知らない楽曲を理解して、精度のレベルを引き上げていく作業のプロセスを実感していくことは非常に役に立ちました。

そして、今日は、2日前に歌仲間の方からお誘いを受けて、昭和歌謡、アニソン、ジャズを歌うボーカルイベントということで、渋谷のカフェテラオに行ってきました。

プロのピアニスト、ベーシスト、ドラマー、ギタリストの皆さまが歌の伴奏をしてくださるというのだけでもハードル高かったですが、コードのついたメロディー譜面を持参するようにとのことでした。カラオケで歌っている人にとっては、お店に行って曲を選んで、メロディーと歌詞がわかれば歌えます。言い換えると、コードを意識することもなければ、譜面を用意することもないのです。とはいえ、昨日は書店に行って、「オールヒット曲2024」と題する本を買って、363曲の中から、歌えそうな昭和歌謡を探してみました。因みに、ぼくが日頃歌っている曲はこの本には1曲も載っていませんでした。

「当日は3曲ぐらい歌うかもしれない」と思って、本の中から選んだのが、寺尾聰さんの「ルビーの指環」、西城秀樹さんの「ブルースカイブルー」、H2Oの「想い出がいっぱい」の3曲でした。

今日はお店に行く前に、カラオケに行って1時間、声出しも兼ねて、歌えるかを確認して、イントロ、間奏、アウトロとか転調も確認しました。3曲ともそれなりに歌えたので、少し安心しました。

お店に着いて、主催の方が2曲歌われた後は、1巡めのスタート。「ルビーの指環」の楽譜をお渡しすると、演奏家の皆さんたちって瞬時にコードや展開を確認し、そのための会話をいくつか始められて、すごいなと思いました。いきなり歌うので打ち合わせもなくぶっつけでしたが、寺尾聰さんが歌っていたイメージを思い出しながら、歌詞を見ながらなのがやりづらかったですが、何とか歌えました。緊張しすぎて、メガネを譜面台に忘れたままにしていました。お店の人にお勘定のときに「すごいよかったです」と言われ、嬉しかったです。

2巡目は「ブルースカイブルー」。事前にドリンクを飲み干してしまい喉がカラカラだったので、後半の大サビが途中カスカスでしたが、転調もうまくできて、きれいにまとめてもらえました。ピアニストの方から「歌が秀樹っぽくてよかった」と言われ、ベーシストの方からは「素敵な歌を歌われますね」と言われ、めちゃめちゃ嬉しかったです。

3巡目は「想い出がいっぱい」。3曲の中ではシンプルな構成と思いきや、大サビの入りを思いっきり外してしまい、入るのに躊躇したりして時間を食ってしまいましたが、歌自体は伸び伸び歌えたこともあってか、「透明感のある声ですよね」と言ってもらえました。

こうして、正味2日間で、実質は2時間くらいでしたが、いきなり歌うことになった3曲も無事に歌えたので、それもプロの生バンド演奏で歌えたなんて、とっても贅沢なひとときでした。

バンド演奏で歌ったことは今までもありましたけど、今日はそれぞれの楽器の音を聞き分けられるようになったのが良かったなと思いました。こういう楽しい場所があるなら、また行ってみようと思います。

CDが持つ意義

ぼくもずいぶん前は、レコード屋さんに行って聴きたいなと思うCDを買って、ウォークマンで楽曲を何回も何回も繰り返し聴いてきました。今ではスマホYouTubeの動画を選んで、聴くことが随分多くなりました。

どちらも楽曲を繰り返し聴くことに変わりはないのかなと思いますけど、ずいぶん前にCDで聴いていた楽曲を、久しぶりにカラオケで歌ってみたときに感じたのは、アーティストさんの歌い方を結構覚えているんだということでした。スマホで動画を聴くのは通信料金以外は無料で、聴き流していくというのに対して、CDはお金を払って購入して、そのCDの楽曲に集中して聴いていった深さもあるのかなと思いました。

ぼくの場合は、カラオケ大会に向けての練習もありますので、同じ楽曲を何十回も聴くことが多いので、スマホで聴くより、CDを買って聴いた方が安かったかなと、今更気づいたりしています。

いわゆる「サブスク」という、サブスクリプション音楽配信サービスを使って、決められた料金を払って一定期間音楽をストリーミングで楽しむスタイルも便利だとは思いますけど、ぼくはどちらかというと、レコードとかCDとか、形あるもののスタイルに慣れている感じです。

とりわけ、今年に入ってから、歌手の方のキャンペーンに行ったり、アーティストさんのライブを観覧に行ったりする機会が多くなる中で、CDの存在ってコミュニケーションのツールとしても役割が大きいのかなと感じることが多くなりました。

歌手の方のキャンペーンに行くと、観覧は無料ということになっていますけど、観覧席に座るとなると、CDを買ってという流れになります。主催するお店側もそこは商売ですので、「1枚買って応援して頂けますね」と上手なトークをされたりするんですが、CDを買ったことで、キャンペーン終了後に歌手の方と話をしたり、サインを頂いたり、写真を撮って頂いたりしますので、そういうコミュニケーションのきっかけとしてのCDの意味は大きいのかなと思います。

アーティストさんのライブの場合は、歌唱終了後の交流の時間の中で、CDを買う方が、後でアーティストさんの物販サイトを通じて買うよりは手っ取り早いかなと思います。アーティストさんと話をしたり、サインを頂いたり、写真を撮って頂いたりというのは歌手の方とほとんど変わりません。

ぼくも長年使っていたCDプレーヤーが劣化したので、今さらですがCDプレーヤーを新調して、買ってきたCDを改めて順番に聴いていますけど、CDだから聴ける歌声のニュアンスとか深さとか聴きとることができたりします。一方で、CDで作られた楽曲の歌唱や演奏は、生歌や生演奏と比べると、ちょっと綺麗な音すぎるのかなと思う時もあります。ぼくはどちらかというと生歌や生演奏の方が好みというのはありますけど、記録としてCDに残す楽曲の残し方としては、綺麗めになるのも妥当なのかなと思います。

ぼくも将来、オリジナルの楽曲を持ったときは、CDとして形に残したいと思います。

華やかに抱きしめて

ぼくが最近よく聴くようになって、歌ってみるようになった1曲が、華MEN組(かめんぐみ)の「華やかに抱きしめて」という楽曲です。

華MEN組は、日本のエンターテイメント界の歴史に輝く歌謡曲を次世代にも継承したいということで結成されたアイドル歌謡の男性6人組グループです。オーディションで選ばれた20代から30代の男性6人は、いずれも挫折を経験したことがあるという、彼らのメジャー・デビューの記事を読んで、記事で見た彼らの写真を見て、ぼくは彼らに関心を持つようになりました。

最近デビューするアイドルグループは、美男美女であったり、スタイルもかっこよかったり、歌やダンスの才能も素晴らしいというプロモーションが多くて、実際そのとおりなんですけど、彼らの歌や一生懸命踊るダンスを見ても、響いてくるものがぼくには今ひとつありませんでした。対して、華MEN組の6人は、際立ってイケメンだとか、すごくかっこいいということではないけれども、歌にしてもダンスにしても、練習を重ねてきた裏打ちされた実力はしっかりと感じられるものがありました。

人生って不思議なもので、若くして成功を収めて頂点に立ったとしても、ほんの些細なことでつまづいて、その後低迷してしまうこともあれば、若い頃は上手くいかないことが多くて、心が折れそうになることがあったとしても、あるきっかけを手がかりに持っていた才能の魅力を開花させることもあったりします。

彼らは2024年5月22日にキングレコードからデビューミニアルバム「華やかに抱きしめて」を発売して、メジャー・デビューを果たしました。タイトル曲である「華やかに抱きしめて」は、作詞を松井五郎さん、作曲を都志見隆さん、編曲を安部潤さんが手がけられました。この楽曲を初めて聴いたとき、華MEN組のメンバーは涙する方もいたとのことです。掴んだ切符の道がスタートすることに感極まったという気持ちはわかるところがあります。

楽曲自体は、かつてのジャニーズの王道をいくようなアイドル・ポップスとしての歌謡曲として仕上げていて、これからグループをスタートさせていく彼らへのはなむけのような意味合いも込められているような気がします。

人間って失敗をする生き物だと思います。失敗しながらもそれを克服して乗り越えて人間は次代へと進んできています。時折、失敗したらもうチャンスはないみたいな世界はあると思いますけど、失敗や挫折を重ねた人生は、人生の苦味も痛みも感じることができるから、人間としては成長する気がします。失敗や挫折した人にも、必ず望む未来とか希望は掴めるのだということを、歌で発信するグループって、ぼくはこういうグループもいいなって率直に思いました。

新しいものが歌いたくなるぼくは、まだカラオケが配信されていない時でしたが、それでも歌ってみたかったので、YouTubeの動画に合わせて歌ってみた録音をTwitterにアップしてみました。そうしたら、華MEN組のオフィシャルアカウントの方がいいねをしてくれただけじゃなくて、華MEN組のメンバーの方々が次々にいいねを付けてくれたのでびっくりしました。そして、このグループはコミュニケーションがいいグループなんだってこともわかりました。

ぼくはもともとジャニーズの曲が好きなので、「華やかに抱きしめて」も好きな曲ですけど、グループの曲を1人で歌うのって、すごく大変なんです。今回でいえば、6人分を1人で歌うようなものです。6人の声が織りなすバランスやグルーブを1人で歌うと、それはぼくの声の色しかないから、どうしても平板になってしまう。でもそこはソロの歌手がこの曲を歌うと決めたら、どういう感じで歌えばいいのかなって考え方を変えてみて、今後も取り組みたいと考えている1曲です。

 

昭和かたぎ

歌の世界って不思議なもので、ある時は若さ溢れるパワーとか才能とかが圧倒するかと思えば、熟練した風合いに卓越さを感じる時もあって、実は年齢が関係ない世界なのかなと思います。

演歌や歌謡曲も、一般的には古臭いと片付けられがちですけれど、楽曲って新しいか古いかというよりは、どのジャンルでも年月を超えていく訴求力があるかどうかなのかなって思ったりします。

2024年も半分が終わろうとした時に、天童よしみさんが歌っている「昭和かたぎ」という演歌の楽曲に出会いました。何度も聴いていくうちに、昭和に生まれ人生を歩んできた夫婦の姿が目に浮かんできました。

街を散歩している時にも、高齢者のご夫婦の姿をお見かけすることがあります。若々しい格好で楽しそうに会話をしているご夫婦。車椅子に座っている病気をされているご主人を、小さな体で懸命に押して、優しく話しかけているご婦人。交差点でお互いに手を握りながらゆっくりと横断歩道を歩いていくご夫婦。

歌は元々、人々の心の叫びから生まれてきたものだと思いますし、人生を語るのが歌なんだろうなと思います。各コーラスの終わりの歌詞が「離れずに 離さずに 生きるのよ」という言葉なんですが、ぼくがみている夫婦の光景とやけにマッチしました。

天童よしみさんが歌唱力の極めて高い歌手の方であることはもちろん存じていましたが、「珍島物語」や「道頓堀人情」を聴いたときとはまた違う、円熟味のある納得さを「昭和かたぎ」の歌唱に強く感じました。

歌の上手さを目指すなら、試してみようと、DAM★ともで「昭和かたぎ」を試してみました。声を張り上げて歌う楽曲ではないのが、数回歌ってみて感じました。そして、歌詞の言葉が少ないからこそ、言葉に込めるメリハリさとか、意味の伝え方とか、音程もずらせないし、声色の使い方も違えちゃいけないなと思いました。

ぼくが一番いいなと思った歌詞が、3番の「私にだって 意地がある やっぱり昭和の女です」というところでした。その昔は「明治一代女」という曲がありましたが、今の日本は平成を経て令和になっても、色濃くあるのは昭和なんですよね。こういう気持ちは人間が円熟を重ねた年頃になったら、いつの時代の人も感じてきたことなんだろうなって思います。

夫婦に限らず、親子でも、恋人同士でも、手を携えていたり、抱き合ったりしているシーンって、ぼくは割といいなって思うことが多いです。そのシーンにはその方たちの中にある愛を感じるし、絆も感じるし、人と人のぬくもりみたいなものが見えてくるからなのかもしれません。

そういう人の心を歌で伝えようとするには、ぼくには人生の年輪がまだまだ足りないのかもしれないですけど、それでも今わかる思いで伝えきれたら、もっといい歌が歌えるんだろうなと思います。歌の道は人生の道と同じで奥が深いものです。

 


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Rainy Days and Mondays

今年のぼくの予定を振り返ると、プロの歌手の方やインディーズのアーティストの方の生歌を聴きに行くことがすごく増えたなって思います。Twitterでフォローしている方々にお会いしてみたい!というのもありましたけど、ぼくもライブのステージで歌うようになったからなのか、ステージで仕事をされている方のパフォーマンスを体感して、学び取りたいなっていうのがありました。

6月14日はボーカリストの森一馬さんが出演されるライブを観覧に行ってきました。ぼくはYouTubeで色々な楽曲を聴いていますけど、そこでの偶然な出会いみたいなことがあったりします。森さんのオリジナル曲の「蒼い朝」という曲を聴いて、いい曲だなと思って、この曲を歌った音源をTwitterにアップしたら、歌仲間のSatomiさんから「一馬っちと知り合いです」って連絡が来てびっくりしました。でも、まさかの繋がりのご縁で、昨年の9月に池袋西武での音楽イベントの際に、森さんにご挨拶することができました。

当日の会場は新宿三丁目のアイミュージックバーというお店でした。入口を開けたらいきなり演者さんたちがテーブル囲んでいてびっくりでしたが、大きめなステージがあって、40人ぐらいがゆったりとテーブルで飲食を楽しめる空間でした。ビールを2杯注文したものの、マスターさんが料理の調理とか忙しそうだったので、フードは遠慮してしまいました。

ボーカルは森さん、ベースが川本隆さん、ギターが久保隆行さん、ドラムが亀谷祐輔さん、キーボードが三浦理さんというメンバーで、3部に渡るステージが展開されました。洋楽が主体のステージでしたけど、あまり洋楽を聴かないぼくでも、どこかで聴き覚えのあるフレーズが随所にあったので、リズムの乗りも良くて楽しめました。「September」という曲が特に良かったなと思って、後で調べてみたら、Earth,Wind &Fire の大ヒット曲でした。第2部のステージでは、ドラムの亀谷さんが考えていることを、他のメンバーや客席の方が当てていくクイズコーナーがありましたが、全く知らない亀谷さんの人となりが徐々にわかってくるし、こういうアーティストさん紹介も面白いし、興味が持てていい企画だなと思いました。

ぼくは森さんの歌とかステージを勉強しようと思って見に来ましたが、まず2時間30分にわたるステージを元気にやれるパワーがすごいと思いました。歌唱も安定感があるから、穴がない感じがしました。ご自身は洋楽畑というよりは、日本語畑ということで、確かに昭和歌謡やJPOPがしっくりときますけど、横浜ケントスをはじめ、洋楽を歌うお仕事も多いからか、洋楽を聴いても全く違和感がありませんでした。

ぼくは洋楽で歌える曲が本当に少なくて、そういえば6月13日の林部さんのコンサートでもカーペンターズの曲を歌っていたなと思い出して、翌日カラオケに行った時に、カーペンターズの「Superstar」を歌った音源をTwitterにアップしてみました。これに対し、森さんがおすすめとして教えてくださった曲が「Rainy Days and Mondays」でした。

カーペンターズの曲はずいぶん前にベストアルバムみたいなCDを買って聴いていた時期がありました。カレンさんの明確な、日本人にもわかりやすい発音と低音で説得力のある歌声が強く印象に残っていましたが、まさか自分が歌ってみることになるとは思ってもいませんでした。

最初、メロディーを思い出すために原曲キーをオクターブ上で歌ってみましたが、そうなると高音域が出ませんでした。それと、雰囲気でなぞって歌っているだけでは、のっぺりしてしまいました。まず、ぼくの声域に合わせて、キーは原曲+6にして、カレンさんの歌声を聴いていると、英語にも歌に効果的なアクセントを加えていたのがわかりました。アクセントをつけたことで、ぼくが発音する英語も言葉として聴き取れるところが増えました。よく歌詞読みか音読みかどちらを優先するかみたいな話の中で、日本人には外国語がわからないから、音読みを優先しているんだみたいな話を聞いたことがありましたが、やっぱり英語ならではの語感とか言葉の運び方とか、言葉の意味を知ることで、カーペンターズの思いに近づけるのではないかと感じました。

というわけで、ライブで洋楽を聴いたのがきっかけで、ぼくも洋楽を覚えようという気になりました。ものになる曲が1曲でも多くなって欲しいです。

5年ぶりの生しべさん

6月13日、ぼくは有楽町の東京国際フォーラムCホールで行われた林部智史さんのコンサートに行ってきました。初めて林部さんのコンサートに行ったのが2019年、渋谷のオーチャードホールでした。その時から5年、林部さんの生歌を聴きたいと思って、コンサートチケットをようやく取ることができました。

当日、開演前の16時頃に会場に到着すると、多くの人だかりで賑わっていました。会場入口で荷物検査があったものの、メインはペンライトを持っているかというチェックでした。そんなに大事なことなのかとちょっと不思議でした。チラシが入った一式の資料を渡されると、その中には「大切なお知らせ」と題した紙が入っていて、身勝手な応援を禁止しますという禁止事項のオンパレード。林部さんのファンの皆さんって、そんなにマナーの悪いお客さんが多いのかな?と疑問を持ちました。そういえば、5年前の時は手拍子禁止の案内があったことを思い出しました。

東京国際フォーラムCホールは約1,500の客席ですが、本当に満席でした。これだけのお客さんを集められる林部さんも凄いと思いました。それにしても客席の管理が少し厳戒しすぎな印象でした。他の歌手のコンサートやイベント、ライブハウスのイベントと単純に比べちゃいけないのかもしれませんが、自由な雰囲気が感じられませんでした。お客さんの客層は60代以上の方が圧倒的に多い印象でしたが、1,500人もいますので、中年層の方も一定にいた感じでした。

今回は「歌で編む無限の物語」と題するコンサートツアーの一環ですので、6月5日に発売となったカバーアルバム「カタリベ2」の収録曲を中心にした選曲のようでした。ぼく自身は前作のオリジナルアルバム「RAINBOW」の曲が聴けたら嬉しいと思っていたので、そのタイミングを逃した感じはありました。

第1幕は、カバーアルバムの中から、「桜の雨、いつか」「シングル・アゲイン」「サンキュ.」「SUMMER CANDLES」などが歌われました。ぼくが期待していた「RAINBOW」からは「もうひとつの未来」が聴けて嬉しかったです。ですが、この統制がかかったコンサートの雰囲気はなんなんだろう。お客さんたちは禁止事項の言いつけをしっかりと守って、曲の始めと終わりにきちんと拍手をして、あとは静粛を保っている。今回は林部さんから曲に手拍子を求める場面が何回かありました。あれ、手拍子解禁したのかなって思いました。バンドの皆さんの演奏は上手だし、林部さんの歌唱も、全体の構成を考えてと思いますけど、抑えめにしつつも安定感の高い歌唱。ぼくは「人生、歌がある」でみる林部さんの思いをこめた、解釈力の高い歌唱が好きで、そういうものを期待していましたが、上手いんですけど正直単調な印象で、選曲の彩りとか解釈力がもうちょっと欲しいなあと感じました。トークも最低限で、もうちょっとサービスしたらいいのにと思いました。

第2幕は、そういう客席の一部の反応を、ステージ側が少し気にしているのかなと感じました。林部さんも少しずつ、曲紹介をしながら歌うようになりました。やっぱり長年歌っている「木蓮の涙」とか、ご本人も思い入れが強い「PIECE OF MY WISH」は、歌唱に説得力があってよかったです。構成上最後の曲は、カバーアルバムの中から「名前のない空を見上げて」を歌いましたが、「カタリベ2」の選曲の振り幅に面白さを感じませんでした。綺麗すぎるのかなって思いました。前回はアンコールのサービスもなかったのでこれで終わりかなと思いきや、まさかのアンコールがあり、林部さんが普通に話すようになって、ピアノの追川さんに作ってもらったという「カタチ」という新曲と、「無限に広がるストーリー」というこれも新曲を披露してくれて、やっと最後の最後に林部さんらしいオリジナリティを見せてくれたと感じました。

林部さんの今日のトークの中では、カラオケ番組でカバー曲を歌ってきたことがきっかけで歌手デビューを掴めて、だからこそ今につながっている。カバーは自分の中でも大切な部分。でもオリジナルは自分の歌の生命線。どちらかというのではなく、カバーがあるからオリジナルがあって、オリジナルがあるからカバーがあるという話が、とても印象的でした。

5年前のコンサートに比べると、林部さん自身は歌手としてものすごく成長されているのを感じましたし、総合的に見ればコンサートのサービス部分も増えたように思いました。ですが、音楽を楽しむ雰囲気はもう少しフランクにしてもいいのかなと感じました。

1500人のお客さんの最大公約数を求めるのは難しいことなのだと思います。でもお客さんは林部さんが言うことなら聞いてくれると思うんです。だからこそ、歌手がお客さんに言葉を発することで、会場の雰囲気に柔らかさや和やかさを加えたら、もっともっと歌や演奏の素晴らしさが引き立つのかなという気がしました。

ぐっときたで賞

6月8日、ぼくは香川県高松市の高松国分寺ホールで開催された「高松国分寺ホールカラオケ大会」に参加しました。ぼくがこの大会に参加するのは4年連続4回目になります。

大会を主催しているPräparatのEMIさんと Satomiさんには、ぼくがこうやって歌を続けられているきっかけを作ってくださった感謝の気持ちがあります。1つはオンラインカラオケ大会に参加するきっかけを作ってくれたことです。ぼくはDAM★ともで自分の歌の録音を公開することは多くやってきていましたが、自分の歌の動画を公開する勇気がありませんでした。2020年にコロナ騒動が始まり、リアルのカラオケ大会が開催中止となる中、Präparatが主催する「ぷれぱcup」というオンラインカラオケ大会では、ぼくが好きな歌手の林部智史さんの楽曲提供に関わった山本加津彦さんとやまだ麻実さんが審査員をされるのを見ました。「このお2人に自分の歌を聴いて貰えるのなら」と、自分の歌の動画を公開する一歩を踏み出すことができました。もう1つは、2021年に、まだリアルのカラオケ大会がなかなか開催されない中、当時の香川県は比較的コロナ感染者が少なかったこともあり、この「高松国分寺ホールカラオケ大会」を開催してくれたことでした。ぼくも東京から遠征して参加しましたが、ここで全国各地から参加した方々と出会えたことが価値あるものになりました。ぼくは以前から、歌の上手い人は全国にいるわけだから、東京だけとか特定のエリアでの大会にこだわらず、カラオケ大会も大阪や九州に遠征していましたけど、オンライン大会や地方の大会に参加することで、全国の歌仲間と知り合えたことが自分の人生にとっても大きなものとなりました。

さて、今回の「高松国分寺ホールカラオケ大会」は、北海道から九州までの全国大会での優勝経験者など強豪な歌い手が集結する異例の陣容となりました。ぼくがこの大会を選んで参加していたのは、地元の方も参加されて、県外から参加するぼくたちみたいな大会に出る人たちの中でも、勝ち負けよりはゆったりと楽しむタイプの方がちらほら参加するぐらいで、まったりといい感じの大会だからというのもありましたが、優勝や入賞を狙いに来たのが明らかな人たちが集結したのは予想が外れました。

ぼくは2つの部門に参加しました。1つは、大会の審査員長でもある歌手の中村つよしさんの指定された楽曲を歌う「中村つよし部門」。ぼくは、「たとえば今僕が消えていなくなって」という曲を歌いました。いつもはこのホールで歌って緊張することはないんですが、中村つよしさんが審査員席からじっと見てるのがわかって、いつになくめちゃめちゃ緊張しながら歌ったので、1箇所高音がひっくり返ってしまいましたが、歌い終わった後は「気持ちが入っててとっても良かった」と言ってもらえました。もう1つは、入賞経験者が出場する「アドバンス部門」。今回、事前の連絡で、ぼくはアドバンス部門のトップバッターで歌うことが決まっていました。トップバッターというのはカラオケ大会では大会の点数の基準にされてしまうことが多く、入賞には不利とされるポジションでした。そういうこともあり、ぼくはそれなら、アドバンス部門のトップバッターとして少しは盛り上げられたらいいなと考え方を変えることにしました。歌う曲は小川たけるさんの「陽炎〜KAGEROW〜」という曲で、振付も入れながら歌う曲でした。過去3回とは全くイメージが異なる曲を選んだので、それが吉と出るか凶と出るかわからないけど、やってみようと決めました。1曲目のド緊張とは全く気分も違って、トップバッターって緊張するものだと思っていたら、落ち着いて出番を迎えることができましたし、歌っている時も冷静に振付を入れながら、1フレーズづつしっかりと歌うことができましたので、予想外に楽しむことができました。

そして審査結果。全国大会の優勝者や上位入賞者が居並ぶ中で、中村つよし課題曲部門でもアドバンス部門でも入賞の名前は呼ばれませんでした。手ぶらかなと思ったその時、追加での入賞発表があり、ぼくはアドバンス部門で「ぐっときたで賞」を頂き、中村つよしさんからステージで賞状を頂くことができました。

大会の中でも残酷な瞬間というか、ステージに上がれるか上がれないかは天と地の差がありますから、入賞の末席であってもステージに上がれてホッとしましたし、入賞者の写真撮影にも入れてもらえたことは本当に嬉しかったです。

でも、ぼくの歌って本来の入賞に選ばれないほど酷くはないような感触もありましたので、沸々と悔しさが滲んできたのも正直な気持ちでした。確かに優勝や入賞の方々の歌唱力は認めますけど、ああいう感じの歌が好まれるのかなと素朴な疑問も湧きました。というのも、今回のぼくが選んだ2曲は、歌の主人公の感情の機微みたいなところを伝えていかないと歌の世界が聴いている方に中身が伝わらないから、そういう発声とか表現に重きを置いて歌ってみました。高音が出てパワフルさがあって技術力が高くてという歌よりは、芸術力な歌を目指しました。表彰式が終わって、歌った曲の審査表を見たら、1年前よりも歌の評価が高くなっていました。だから決してよくない歌ではなかった。でも上には上がいたというところ、それも僅差だったのだと感じました。だからこそ、急遽追加で「ぐっときたで賞」を作ってくださって、表彰して頂けたのだということをひしひしと感じました。次回はリベンジすると心に誓いました。