DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

いのちの木陰

ぼくは先日、「おんうた9」というオンラインカラオケ大会に参加しました。新型コロナウイルス感染の影響で、通常の会場で歌うカラオケ大会(最近は「リアル大会」という言い方も使われます。)ではなくて、自分が作成した動画や録音を提出したもので競うオンラインカラオケ大会の開催が増えています。「おんうた9」の課題は「レコード大賞受賞曲」でした。企画が面白そうだなと思って参加申込をしました。どの曲を歌おうかなと思ったとき、他の参加者の方が選ばなそうな曲にしようと思っていました。それで歌ってみようと選んだのが、1969年のレコード大賞受賞曲である、佐良直美さんの「いいじゃないの幸せならば」という曲でした。


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ぼくがこの曲を歌おうと思ったのは、林部智史さんが歌番組でこの曲を歌っていて、佐良さんの歌とは違う、切なさを前面に出した歌い方をされていたのが新鮮に感じられました。一方でオリジナルの佐良さんの歌は、すごくシンプルないずみたくさんのメロディーに、岩谷時子さんが複数の男性と愛し合っては別れる女性に「いいじゃないの幸せならば」と言わせるきわどい歌詞を、いやらしさを感じさせることなく、淡々と、でも心の深さを見せた歌い方が、アルトの中低音が響く声質と相まって、ものすごく説得力を感じました。

この佐良さんの歌の表現力ってどういうものかなと、いくつかの動画を見ていくなかで出会った曲が「いのちの木陰」という曲でした。佐良さんは1983年にシングルを発売し、1987年頃から芸能活動を休止し、実業家としての活動をされていました。2010年11月24日、27年ぶりのシングルとしてこの作品を発表しました。作詞は山川啓介さん、作曲は渋谷毅さんです。佐良さんはそれまで、「渋谷さんが曲を書いてくださるなら」という断り文句で歌手への復帰に難色を示していましたが、その渋谷さんが曲を用意したので引っ込みがつかなくなったそうです。

山川さんが作られた歌詞が、「生まれてきたのは 幸せになるため」「それなのに世界は 時々いじわるだね」「あなたのためにささやかな いのちの木陰になりたい」「傷だらけの悲しみたち 私にあずけて そっとまどろんで」と、深い言葉で大きな包容力を感じるいい言葉だと思いました。渋谷さんのメロディーも肩に力が入っていない感じで、でもしっかりと音を奏でているのがイメージできました。佐良さんの歌声は長年の休止を感じさせない歌声で、アルトの深みが感じられて、そして力をいれずに言葉を語って伝えているのが印象的でした。

ぼくも「いのちの木陰」が発売された直後の2011年頃に、DAM★ともで歌ったことがありましたが、当時はこの曲の良さがあまりわかっていませんでした。久しぶりにこの曲を聴いて、改めて作品が言いたかったことを感じ取れた気がしました。

 

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昭和の歌手の表現力って、平成以降と比べると、アピール度が強いと思いますし、歌詞の言葉に心情を加えていく歌い方が深いというか実に巧みな感じがします。そういう歌の雰囲気が出せないかなと思い、DAM★ともで何十回も歌ってはみたものの、思い描いたようには歌えませんでした。

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