DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

初主催の会

ぼくが時々遊びに行っている「唄い処スナック藤」さん。アットホームな雰囲気がぼくも気に入っていて、本当はちょくちょく行きたいのですが、夜の営業は金曜、土曜と貸切予約の日のみとなっていて、なかなか行かれる機会がありません。そんなぼくにチャンスが巡ってきたのが、5月9日の月曜日でした。お店に「貸切予約って何名以上なんですか」ってお聞きしたら、「5名以上です。アウフヘーベンさんなら5名以下でもいいですけど」とのこと。

ぼくもカラオケ大会を通じてお見知り頂いている方は多いものの、大会以外での交流は特にしていないので、こういう時にお誘いできる人脈がありませんでした。しかも、5月9日の月曜日の夜は、連休明けで皆さんの仕事も忙しそうな感じがしました。うまい考えも思いつかなくて、お店の許可をもらって、Twitterで当日来れる方を、ゆるく募集してみました。

誰も来ないだろうなと思っていたら、深夜に4人の方からDM(ダイレクトメッセージ)で「参加してもいいですか」と連絡を頂き、もちろん「OK」の返事をしました。お店から「8人ぐらいだとゆったりできます」と言われていたので、その後連絡を頂いた2人の方とぼくと、合計7名で当日集まることになりました。

「都合のいい日に、お店を開けてもらいたい」というぼくのわがままな希望は叶ったものの、いつも遊びに行くように「アットホームな雰囲気の中で、まったりと自分の好きな曲を歌って過ごしたい」という当初の目論見はあっさり消えてしまいました。募集した時点で、他の方から見れば、オフ会主催と見られてしまいました。ぼくはその自覚はゼロでしたが。

こうなると、宴会の幹事長とさしてやることは変わらなくて、お店との連絡、参加する方との連絡をはじめ、半分お店の人のような立ち位置になってしまいました。自分が楽しむことよりも、せっかく参加してくださる方に楽しい時間を過ごしてもらいたいと、ぼくの中の目的はすっかり変わりました。

当日は夕方から雨が降り始めましたが、参加の6人の方が来てくれました。オンラインカラオケ大会で交流があった方とはリアルで初めてお会いしましたが、画面で見ていた雰囲気のとおりいい方でした。大会とかライブでその方が歌われている曲のイメージからだと、今回のメンバーはそれぞれ歌うジャンルが違っていたので、どういう雰囲気になるのかなと思っていましたが、皆さんも大会やライブとは違う曲を歌われたりで、自分が歌うときも、他の方の曲を聴くときも、それぞれ楽しんでくださっていたのが嬉しかったです。

ぼくも当日は、いつもお店で歌う曲とか大会で歌う曲は封印して、演歌も歌謡曲もポップスもロックもいろいろな新曲を歌いました。

歌への思いは人それぞれにあって、それぞれの方の個性を目の前で実感させてもらえるのが生歌の魅力ですし、大会以外の歌い手さんたちの別の顔も見られてよかったです。

大会に出るようになって3年が経って、何となくぼくの中でも、歌の上手い人たちと「普通にカラオケがしたいなあ」って、今年の初めから思うことがありました。図らずもそれが実現してしまって、こういうことなんだなあと思いました。

それと、「今回は都合で行かれないけど、行きたかった」と連絡してくれた方が数人いたことも、ぼくには驚きでした。カラオケ大会に初めて行ったとき、仲間で集まっている人たちが多い中、ぼくは1人アウェイみたいな感じでしたし、歌の練習もボイトレに通ったりしないで、1人で練習してますし、そういうぼくと一緒にカラオケしたいって思ってくれる人がいるなんて考えもしませんでしたし、そういうことがいることがわかっただけでも、今回初主催の会をやろうと思ってよかったです。

 

眠り姫

5月3日・4日・5日の3連休。ぼくは毎日カラオケに行って歌ってました。最初の2日間は、急に参加することになったオンラインカラオケ大会に提出する曲の練習と動画の収録でした。残りの1日は、歌いたい曲を好きに歌うために楽しみました。「今日はこの曲を歌ってみたいから、カラオケに行こう!」みたいなのが、ぼくの心の中でたまにあったりして、5月5日にそう思った曲が、SEKAI NO OWARIの「眠り姫」という曲でした。

SEKAI NO OWARIは2007年に結成された4人組のバンドで、4人はボーカルのFukaseさんと幼稚園から高校までの友人だそうです。バンド名の由来は、Fukaseさんが色々な辛い経験をして、絶望して自分の世界が終わったと思ったときに、残されていたのが音楽と今のメンバーだったことから、「世界の終わり」から始めてみようというポジティブな思いからだそうです。

「眠り姫」は、2012年5月30日に彼らのメジャー3枚目のシングルとして発売されました。作詞と作曲は深瀬慧Fukase)さん、編曲はSEKAI NO OWARI。補編曲は保本真吾さんで、保本さんは彼らの多くの作品を共同で編曲されています。

ぼくはスマホYouTubeの動画を聴きながら歩いていることが割とあって、基本的には聴きたいと決めている曲を順番に聴くことが多いんですけど、たまにランダムで聴いたりしてたときに「この曲いい曲だな」と思って画面を見たら、それが「眠り姫」でした。

ぼくはSEKAI NO OWARIの曲をそれほど聴いたことがありません。唯一、歌える曲が「プレゼント」という曲で、NHK合唱コンクールの課題曲にもなった曲でした。それと「RPG」ぐらいしか聴いたことがありませんでした。

たぶん3年ぶりぐらいに聴くボーカルのFukaseさんの声が、とても優しくて包み込むようで、でもその裏に悲しみとか辛さとか秘めた心も持ちあわせているような感じで聞こえたんです。もちろん、ボーカルだけじゃなくて、バンドの演奏もコーラスもいい雰囲気でした。

この曲は珍しく、ビートが途中で何回も変わります。1番のサビ前、1番のサビ後、2番のサビ前と、2番の大サビ前も入れると4回で、歌詞の展開にも合ってます。

メロディーのアレンジはファンタジーな雰囲気なんですけど、歌っている歌詞のテーマは、大切な人がいなくなってしまうことへの恐怖心で、それだけ君のことが大切なんだっていう思いがじわじわ感じられます。

彼らのコンサート映像でも「眠り姫」を見ましたけど、コンサートを見に行く人たちは彼らのステージを見て、癒されたり元気づけられたりして楽しみに来るわけで、そういう彼らの期待にFukaseさんの歌声は応えてるんだなって思いました。

歌が上手いだけでは、上手いですねで終わってしまうので、声の中に存在感とか強い印象とか欲しいなって思います。同じ曲を歌うんでも、オリジナルに寄せることが一旦はあったとしても、自分らしさに置き換えて、「眠り姫」みたいな曲を歌ってみたいなと思いました。まだこの曲を歌い始めたばかりですけど、昨日試しに歌ったものを投稿してみたら、聴いてくれた方から「すごく言葉が入ってくる歌声ですね」と思わぬコメントを頂きました。ぼくの声でもいいと思ってくれる方がいるんだなって、嬉しかったです。練習しよう。


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CITRUS

ぼくはカラオケに行くと最近はフリータイムとドリンクバーにすることが多いです。フリータイムだと19時まで歌えますけど、カラオケ大会に提出する曲を練習してじっくり収録しようとか、DAM★ともは使わずに、他の音源の曲を収録しようとか、マイペースで進められるのがいいかなって思ってます。自宅で歌うときもありますけど、カラオケの部屋で歌う方が思いっきり歌えますし。

それと、歌わない時でも、カラオケの部屋でSNS見てたり、連絡取ったり、作業も進んだりして、そういうときにDAMチャンネル見たりして、知らないアーティストさんの曲を覚えたりします。最近のそういう1曲がDa-iCEの「CITRUS」という曲でした。


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このDAMチャンネルを見て、初めてDa-iCEを知りました。彼らは2011年に結成された5人組のボーカル&ダンスグループで、2012年12月12日にアルバム「Da-iCE」でインディーズデビュー。2014年4月15日にUNIVERSAL SIGMAからシングル「SHOUT IT OUT」でメジャーデビューしました。2020年6月にavex traxに移籍し、五感をテーマにした作品を連続リリースすることになり、「CITRUS」は2020年11月25日に彼らの21枚目のシングル、移籍後4枚目のシングルとして発売されました。作詞はDa-iCEのメンバーである工藤大輝さんと花村想太さん、作曲はkaz kuwamuraさんと中山翔吾さん、編曲は中山翔吾さんとTomoLowさんです。

ドラマ「極主夫道」の主題歌に起用され、2021年の第63回日本レコード大賞を受賞しました。この年のNHK紅白歌合戦に選ばれなかった歌手が受賞したのは史上初とのことです。

こういった事前情報がなくて、Da-iCEの「CITRUS」のMVを見ましたけど、ボーカルとダンスのチームワークやパフォーマンスもいいし、地力があるいいグループだと思いました。「CITRUS」も、ジャズっぽい心地よさもありながら、メリハリの効いたロックバラードで、歌ってみたいいい曲だなと思いました。

DAM★ともで「CITRUS」を歌ってみましたけど、HiA(高いラの音)も地声で出ないぼくには、HiD(高いレの音)を裏声で出すのも至難の業でした。「離さないって 決めたから」からのところです。

一番厳しかったフレーズはサビの後の各コーラスの終わりのところでした。「それぞれの未来が咲き誇る」までパワーとバランスが持たないというか、安定感をいかに持たせるかがぼくには課題となってます。今のところ、DXGの採点では88点台から94点台まで来れたので、更に95点超えを目指します。


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愛しさの降る街で

ぼくが3月27日に参加した「唄い処 スナック藤」のオフ会で初めてお会いしたのが、ボーカリストの紺野豊さんでした。

紺野さんは自分のツイートにスナック藤がよく「いいね」を付けてくれるので気になって、知り合いの方と一緒に昨年の5月に初めてスナック藤に来店したそうです。その時の雰囲気が気に入って、その後も何回か来店されたそうです。

紺野さんのホームページを拝見すると、これまでにシングル2枚、アルバム1枚を発売され、ご自身のYouTubeチャンネルでも定期的に新曲を発表されたり、ライブ活動をされていらっしゃいます。どういう曲を歌われているのかなと思って初めて聴いた曲が「愛しさの降る街で」という曲でした。2021年12月3日にYouTubeで公開された作品で、作詞は紺野さん、作曲と編曲はICHIDAIさんです。

ICHIDAIさんは2004年から着メロ制作やバンドなどを始め、2015年まではkanegon名義で、2016年からはICHIDAI名義で、楽器演奏・プログラミングからレコーディング・ミキシング等のエンジニア作業までを担当されています。紺野さんのアルバム「MEMORY」でも全曲の作曲・編曲をされています。

「愛しさの降る街で」を聴いた時に、ポップでキャッチーなメロディーを久しぶりに聴いた感じがしたのと、クリスマスソングがテーマになっているんですが、クリスマスのイルミネーションに飾られた12月の街並みが目に浮かぶ感じがしました。

それで、自分でも歌ってみたいと思って、紺野さんにオフボーカルがあるのかを問い合わせてみたところ、すぐにインスト音源をICHIDAIさんが作ってくださったみたいで、YouTubeの概要欄にアップして頂けました。

さっそく音源に合わせて歌ってみようとしたら、最初はメロディーが凝っているところが掴めなくてなかなか合いませんでした。紺野さんご本人の歌を何度も繰り返して聴いて、掴めたフレーズから順に固めていって、作品のイメージを壊さないようにして自分の歌を録音しました。

実は自分の歌をカラオケ屋さんの機器で録音したことはあっても、自分の機器で録音するのは2回目でした。そろそろデジタルオーディオ機器を買わなきゃとは思ってますが、今回はiPadにイヤホンマイクを付けて歌ったものを録音して、iMovieにしたものをビデオに書き出しました。

インスト音源を作ってもらった紺野さんに最初に聴いてもらおうと音源ファイルをお送りしたところ、すぐに聴いてくださって、嬉しい感想を頂きました。作品の雰囲気は出せてたようでホッとしました。

どんな作品でも、作詞家は言葉の1つ1つを大事にしてますし、作曲家はメロディーの構成を大事にしてますし、編曲家は作品の世界を表現するために工夫を凝らしています。そこに歌を加えることで作品がより可視化され、具現化されるわけですから、歌い手は作り手の言葉もメロディーもアレンジも疎かにはできないとぼくは思ってしまいます。人様の大事な作品をカバーするときも、大切に歌わないといけないと思いましたし、精神を集中させるからこそ音楽も引き締まるのだと思います。


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初オフ会

3月27日、ぼくはカラオケのオフ会に初めて行ってきました。ぼくがよく行っている「唄い処 スナック藤」さんが、「LIVE CAFE BENTEN」さんの場所をお借りして開催されました。限定20名の中にぼくも入れて頂きました。直前キャンセルされた方もあって、当日の参加は14名でした。共通しているのは、皆さんがスナック藤のお客さんだということです。でも、スナック藤でご一緒したことがあるのは1名だけで、他のカラオケ大会でご一緒したことがある方とは久しぶりにお会いしました。初めてお会いする方もTwitterで拝見した方ばかりだったので、初めて会った気がしませんでした。

歌の世界も妙な界隈ごとの切り分けがあって、ライブハウスに通っている人の界隈があるとすると、ぼくみたいなのはカラオケ界隈と言われるらしいです。その差というのは、ステージに歌って如実に差が出ました。当日はカラオケは用意されましたが、歌詞を見るモニターは用意されなかったんです。ライブハウス界隈の人たちはしっかりと歌詞を覚えていたんですけど、カラオケ界隈の人たちはところどころで歌詞が飛ぶんです。

ご多分にもれず、ぼくは歌った3曲とも途中で歌詞が出てこなくなってしまって、結構焦りました。カラオケ大会の時も歌詞のモニターはほとんど見ずに歌っているので、歌詞は覚えてる前提があったので、歌詞が出てこないなんて初めての経験でした。急に病気になったのかなと心配して、翌日は歩きながらその3曲を歌ってみたら、スラスラと歌詞が出てきたので安心しました。それじゃ、何で歌詞が飛んだのかなって考えたんですけど、オフ会という言葉に油断して、当日の朝何も準備しなかったなあと反省しました。大体、カラオケ大会の当日の朝はカラオケ屋さんに行って1時間ぐらい声出しをして、歌詞も頭に入れたりしますので、そういう時間って、大事なんだなとつくづく感じました。

このオフ会は、プロのボーカリストの方も2人いらっしゃってました。お2人が歌っているのを聴いていると、立ち姿もきれいですし、自分のペースをしっかりと持って無理せず歌っているのが印象的でした。お1人の方とお隣だったこともあり、いろいろな話をしていただいたのですが、「楽しんだもの勝ちだと思いますよ」という言葉は結構刺さりました。ステージに立って歌うということは、客席の皆さんに楽しんでもらうということでもあると思いますけど、カラオケ界隈のぼくにはまだ掴めてないところがあります。当日は、歌詞を間違えたこともあって、ぼく自身は1曲目と2曲目は消化不良な感じでした。それでも、客席にいた人たちは手拍子もしてくれるし、終わった後も「歌上手いですよね」と言ってくれました。ちょっと驚いたのはお店の店員さんがぼくの所に空いたグラスを片付けてくれたときに、「本当にお上手ですよね。レッスンとかされてるんですか」と聞かれたので、「そういうの通ったことないんです」と答えると、「それであんなに上手なんですか。素晴らしいです」と返して頂きました。「ぼく、歌であんまり褒めて貰えたことないんで、そう言って頂けて嬉しいです」とお礼を言うと、「皆さん思ってても直接言わないんですよ」と言ってくださいました。こういう会話の流れはたまにありますけど、自分ではベストと思えない歌でも、それで喜んでもらえるなら十分なんだなと思いました。カラオケ大会を目指して歌っていると、どうしても完成度の高さとか、失点の少なさとか、つまらないことを考えてしまいますけど、歌の感動って、そういうところからは生まれないですよね。カラオケ大会でぼくが入賞できるときって、勝ち負けを超えた気持ちで歌えたときかなって思いますし。オフ会といっても内容は歌フェスみたいな感じでしたが、歌へのいろいろな姿勢とかを生で学ぶことができて良かったです。

Real Face

3月の年度末と4月の年度始めは、色々な事が忙しくなる時期です。仕事も年度末までに終わらせないといけない案件が多いですし、加えてこの時期は大抵、まさかな事態が続発することも多いです。ギリギリのところで回していかないとやりこなせないから、仕事している時間も増えますので、結構疲れも溜まってきます。仕事だけだと気分も滅入ってしまいそうだから、ぼくの場合は歌って気分転換をしています。忙しいなかに更にカラオケの時間を入れ込んでいって、オンラインカラオケ大会の動画を収録したり、ますます忙しくなりました。そんな3月の帰り道に思わず口づさんでしまったのが、KAT-TUNの「Real  Face」という曲でした。

KAT-TUNは2001年に当時6人で結成されたジャニーズ事務所のグループで、ジャニーズジュニアの中で頭角を表してきて、2006年3月22日に彼らのデビューシングルとして発売されました。作詞はスガシカオさん、作曲は松本孝弘さん、編曲はchokkakuさん、Rap詞はJOKERさんです。スガさんは当時のジャニーズ事務所社長であるジャニー喜多川さんに「絶対に1位が取れるものを作ってくれ」と言われて、相当なプレッシャーがかかったそうですが、SMAPの「夜空ノムコウ」での実績を買われたんでしょうね。松本さんはB'zとしてヒット曲を量産してますし、CHOKKAKUさんも SMAPのヒット曲を多数手掛けています。JOKERさんは、当時メンバーであった田中聖さんです。

ぼくはジャニーズの曲はカラオケでも割と歌ってると思いますけど、ジャニーズの中でもフィーリングが合うグループと合わないグループがあって、KAT-TUNはぼくは合わないグループでした。不良っぽさをセールスポイントに売り出して、男性ファンを売ろうとしたのはわかるけど、キャラクターイメージをそのまま現場の行動に出して、メンバー間の対立を不必要に自ら話したり、礼節を欠いた現場での言動が垣間見られた彼らの音楽を聴く気にはなりませんでした。だから、それぞれが魅力を持っていながら、その後赤西さん、田中さん、田口さんが脱退して、グループは3人でやっていて、昨年の紅白歌合戦にもなぜか出場しましたけど、そもそもグループ6人でKAT-TUNというアイドルプロジェクトをやり抜く結束力が当事者たちになかったから、別の心地よい場所を求めて瓦解したんだろうなって思ってます。

「Real Face」を今改めて聴いてみると、スガさんの歌詞はそれほど不良っぽくもなくて、そこに聖さんのRap詞が悪さを出すための効果を出そうとしたのかなと思います。でもRapがないと、作品に冗長さが出てしまうから入れたんだろうなとは思いました。彼らのために作家たちが気合を入れて作ったんだなと思います。

ぼくが「Real Face」を今更歌ってみたいと思ったのは、今の世の中に合ってるなあと思ったからです。「ギリギリでいつも生きていたいから さあ 思いっきりぶち破ろう リアルを手に入れるんだ」なんとなく澱んだ閉塞感は、必ず打ち破れるとぼくは信じています。


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今週はソメイヨシノの花も満開となってきて、桜の季節がいま到来しています。ぼくは行き帰りの通り道にある桜の木が、自分の中の桜の花見という感じです。1年間ずっとその木の変遷を見てきてるので、この時期がくると「今年も咲いてくれてありがとう」って心の中で話しかけてます。

桜をテーマにした曲って今も昔もたくさんあります。森山直太朗さんの「さくら」、坂本冬美さんの「夜桜お七」、福山雅治さんの「桜坂」といった超有名曲だけではなく、探してみるとこういう作品があったのかと改めて知ることがあります。そういう1曲が氷川きよしさんの「櫻」という曲でした。

この作品は2012年2月8日に氷川さんの21枚目のシングルとして発売されました。作詞はなかにし礼さん、作曲は平尾昌晃さん、編曲は若草恵さんです。この日本の歌謡界を代表するラインナップもすごいです。この作品で氷川さんは第45回日本有線大賞を受賞し、作詞のなかにしさんは第45回日本作詩大賞を受賞しました。

ぼくがこの作品を知ったのは昨日のことで、「春ソング」をテーマにしたオンラインカラオケ大会に参加されている方々の中で、この作品を歌われる方がいらっしゃいました。その後で氷川さんご本人の歌唱も聴きましたが、正直なところ第一印象はあまり良くありませんでした。

歌詞の内容は、今は亡くなってしまった人を思い、桜の木にその幻を見ている内容ですが、氷川さんの歌い方が最初は一本調子に聞こえてしまいました。それが、何度も「櫻」を聴いていくうちに、氷川さんが考えている歌い方が少しずつ見えてきました。

歌は、メロディーも大事だけれど、まず言葉を伝えなきゃ、聴く方のイマジネーションも呼び起こせないと思っています。氷川さんの歌い方は言葉が明瞭だからわかりやすいと思います。それゆえに、感情の機微に触れたこういう作品を歌うのが珍しいと思いました。

平尾さんが作られたメロディーはある意味正攻法で王道なメロディーで、奇をてらう部分をあえて省いています。どちらかというと奇抜な歌のスタイルの氷川さんが、標準的なメロディーを歌うと、もう少しパワフルだけではなくて、そこに桜と対話するような感情の成分を入れたらもっといいのにと感じていました。

ぼくの思いどおりの歌唱をされていたのは、なかにしさんが日本作詩大賞を受賞されたときの氷川さんの歌でした。授賞式で氷川さんがなかにしさんに「素敵な作品をありがとうございました」と言うと、なかにしさんは「あなたの曲を書くチャンスをくれてありがとう」と応じました。また、なかにしさんは「この作品をどう聴いてもらいたいか」という司会の徳光和夫さんの質問に対し、こう答えました。「3・11の大災害を目の当たりにして、そのことを忘れたことはない。この歌を書く時も、そのことを忘れませんでした。不幸に見舞われた方、御霊に捧げたいと「櫻」を書きました。氷川さんも素晴らしい歌唱でした」この話を聞いていた氷川さんは途中から感無量で涙をいっぱい溜めて、何も話すことができない様子でした。「あなたが歌ったから、日本作詩大賞の受賞に結びついたんですよ」と徳光さんに言われると、「ありがとうございます」と氷川さんは小さく答えてから、「櫻」を歌われたんですが、いつも以上に気持ちが入っていたから、言葉に思いが強く乗っていました。「私が死んだら 櫻になるわ」の所がぼくはジーンときました。

歌は正調だけでも伝わらなくて、そこに心の思いの成分が入ることで、歌に膨らみが出てくるんだと思います。


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