DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

自分軸で歌うこと

ぼくが初めてカラオケ大会に出たとき、審査員の先生が言われたコメントの中に「自分軸で考えなさい」という言葉がありました。この「自分軸」という言葉が、一見わかるようで、具体的にはどういう意味なのか、ぼくはよくわかりませんでした。

歌っているのは自分だし、どういう曲を歌うかを決めるのも自分だし、どういう風に歌った方がいいかなと考えるのも自分だし。全部自分で決めてるよなって思ってました。

カラオケ大会に出ている多くの方は、ボーカルのレッスンを先生に受けていて、先生の指導を受けて、選曲も決めていたりするそうですが、ぼくにはそういう先生はいませんので、カラオケ大会に参加したときに、審査員の先生から頂くコメントや寸評から、自分の歌についての評価を知ることになります。審査員の方もいろいろですから、同じ曲を歌っても、凄く褒めてくれる方もいれば、ボロカスなコメントで終わる方もいますので、全てを間に受けていると、訳がわからなくなります。そういうときに、改めてその時に自分が歌った内容はどうだったのかを振り返って、審査員以外の、同じ参加者の感想も聞いてみて、審査員のコメントを振り返っていますけど、自分としては、ここまではできていたという確認をすることが、「自分軸」を強化する上では大事なことだな、と思いました。

ぼくが考えている「自分軸」っていうのは、別に歌唱力とか音程とかリズムとか表現といった歌の技術のことを想定してはいません。ぼくがその曲を歌うイメージとして、「こういう風に歌ってみたい」と考えるバックボーンみたいなものだと思っています。

基礎になる部分として、歌詞を明瞭に歌うとか、音程やリズムを正しく歌うというのは必要だと思います。ここまでは「上手い歌」なんです。

問題はここから更に、歌う本人の個性をどうやって歌に入れていくのか、なんです。どうして自分はこの曲を「歌いたい」と思ったのか、この曲のどこに「魅力を感じた」のか、自分の気持ちを改めて投影してみて、歌にその気持ちを乗せていくことで、「自分ならではの歌」が生まれてくるような気がします。

一方で、最近参加したオンラインのカラオケ大会の中には、課題曲を限定したりとか、テーマを限定したりといった企画がありました。こういう場合は、自分の「歌いたい」からは出発できなくて、与えられた曲やテーマに対して、大抵は得意なものではないことが多くて、その苦手意識を練習を重ねていくことで克服していくプロセスを経ていくことになります。練習して1曲を仕上げるので、長期的には自分の歌のウイングが広がるので効果はあるとは思いますけど、「自分軸」ではない歌だったなあと思います。だから「自分の良さ」も出にくいのかなと思いました。

でも、ぼくの理想としては、いきなり「この曲を歌ってよ」と言われても、その曲の中に自分の世界を見出せて、自分の歌として歌えることなんです。何でも演じれる役者さんみたいな感じでしょうか。

それはぼくが他の歌い手の方に欲していることなのかもしれません。ぼくは聴く耳が少し変わっているのかもしれませんけど、原曲のアーティストの歌い方の一部を切り取って、雰囲気でうまく歌っている感じの歌って、褒めてる人がどんなに多くても、ぼくにはちっとも響かないんです。どこか歌の言葉の中にその人らしさが感じられると、いい歌を歌ってるなあって感じます。

ぼくがいま身を置いているこの世界も、歌が上手いだけでは存在感が打ち出せないというか、自分の特色を歌に表現していかなきゃと思います。数多いる歌うまさんたちの中で、自分に何らかの印象を持って貰えるような、声でも、歌っている曲でも、歌っている姿でも、こんな人いたなあって覚えてもらえるような存在感を持ちたいと思います。