ぼくは自分の声の音高の範囲が、一般的な男性よりも低いと思います。地声で出るのはG4(高いソの音)までで、それより上は裏声を使うしかありません。裏声も頑張って出せるのがD5(高いレの音)までです。ヒトカラで歌ってるときは裏声でも平気で歌ってますけど、人前で歌うのはちょっと気がひけます。曲のメロディー上歌わなきゃならないときはちょっと恥ずかしいです。
実はこういう話の前提にあるのは、曲を原曲キーで歌うことに拘っているからなんです。ぼくも声が低いのに高音域の曲を何とか歌おうとする「原曲キー厨」でした。それでも歌いきれないアーティストの1人が川上大輔さんでした。川上さんは女性のソプラノに当たる音域を地声で出せる珍しい声質で、ご本人曰く、変声期がなかったのでMISIAさんや宇多田ヒカルさんの曲を歌うことが多かったそうです。
昨年の10月頃、川上さんの「人魚のように」という曲を聴いて歌ってみたいと思ったとき、原曲キーに拘ることをやめて、自分に合うキーを探して、オンラインのカラオケ大会に出して見ました。原曲キーから−5のキーで、オリジナルとは離れた感じもあるし、果たして評価してもらえるのか半信半疑でした。ところが結果は第3位で入賞するという意外なものでした。頂いたコメントも、「選曲が合っていた」とか「歌に聴き入った」とがぼくには意外なものばかりでした。ぼくが一番敬遠していたアーティストが、実は相性が良かったらしい…。
それは本当なのかなと思って、川上さんの他の曲も何曲か歌ってみました。その1曲が「べサメムーチョ」という曲でした。この作品は2013年2月6日に川上さんのデビューシングルとして発売されました。作詞はFUMIKOさん。岡田富美子さんの別名であり、岡田さんは鈴木聖美さんとラッツ&スターの「ロンリー・チャップリン」や小柳ルミ子さんの「来夢来人」などのヒット曲があります。作曲は杉本真人さん。ぼくはあさみちゆきさんの「聖橋で…」やちあきなおみさんの「かもめの街」の印象があります。編曲は桜庭伸幸さん。お名前を存じ上げなかったのですが、編曲された作品を見ると、石川さゆりさんの「天城越え」、梅沢富美男さんの「夢芝居」、細川たかしさんの「望郷じょんがら」と素晴らしい作品を残されています。
この「べサメムーチョ」のオリジナルは、1995年に桂銀淑さんが発売したシングルでした。
ぼくはたぶん、桂銀淑さんの歌を聴いても「歌おうかな」とは思わなくて、川上さんの歌を聴いたら「歌ってみたいな」と思ったんですね。サビの中ほどにある「迷っているのに 夢見てしまう」という一節の歌い方の余韻がとってもいいなと思ったんです。その曲を好きになるきっかけのフレーズって、人それぞれあると思います。
DAM★ともで歌ってみました。もちろん原曲キーから−5で。初めて歌ったのに96点台が出たので、やっぱりぼくは川上さんの曲は相性がいいのかもしれません。まさかと思った曲が、自分の得意な曲になるかもしれません。