DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

大ヒット曲ではないけれど、なぜか頭の片隅に記憶が残っていて、急にその歌を歌ってみようと浮上する曲があります。最近のそんな1曲が桜田淳子さんの「窓」という曲でした。

この作品は1982年8月5日に桜田さんの37枚目のシングルとして発売されました。作詞・作曲は犬丸秀さん、編曲は青木望さんです。この作品の原曲は、カンツォーネ歌手の後藤啓子さんが1980年に発表したアルバム「サガンはお好き」に収録されたものでした。桜田さんと後藤さんを担当していたビクター音楽産業(当時)の音楽プロデューサーである田村充義さんが、当時ミュージカル女優としての評価が高まっていた桜田さんに相応しい曲として、カバーをすることになりました。

後藤さんは、1951年から1990年まで銀座七丁目にあったシャンソン喫茶「銀巴里」に出演していて、「サガンはお好き」は1stアルバムでした。歌手のクミコさんがご自身のブログで、後藤さんのことを書かれていました。

「後藤啓子さんのオリジナルは圧倒的で、細かい線が無数に集まったような独特の声と、都会的な情緒とリズム感は、啓子さんのどの歌にも通ずる素晴らしさ。」

後藤さんは2016年に亡くなられましたが、シャンソンカンツォーネを歌う後輩の歌手たちは、後藤さんの作品を歌い継いでいるようです。クミコさんは「歌いあげるまでもない小さな作品。こういう詩的な作品を今の時代に聴いて欲しいと思う」と書かれていました。


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歌い上げない歌って、歌唱力のパワーを使えないので、歌うのは難しいと思うんです。言葉ははっきりと伝える必要があり、語尾で息漏れとか声が抜けないようにしないといけません。

「窓」の歌詞の主人公は、庭に咲く名もない花で、花を咲かせていたときも、家人に踏まれて花が枯れてしまったときも、その場所から、愛していた家人が暮らす家の窓、窓を見上げている。そんな健気な花のような気持ちを胸に秘めながらこの曲を歌ってみると、言葉がスッと出て歌えたような気がしました。