DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

恋唄

カラオケ大会に行くと、出場者が選曲するアーティストにも傾向があるなあとつくづく感じます。その代表の1人ともいえるのがMISIAさんです。MISIAさんが歌い上げるバラードに感銘を受ける女性が多いんだと思います。1つの大会で3回ぐらいはMISIAさんの曲を聴くことが多いです。そして、MISIAさんの曲を歌った方のうち1人は少なくとも入賞しているように思います。9月に出たカラオケ大会では入賞した5人のうち、3人がMISIAさんの曲で、他のアーティストだったのが優勝した方とぼくの2人でした。この3人のうち、1人は男性の方で、「男性もMISIAを歌うんだ」と感心しました。11月に出たカラオケ大会でも、男性の方がMISIAの曲を歌われたんですが、歌う前のMCで「ボイトレの先生から、この曲が合うんじゃないかと言われて、1ヶ月で覚えた」みたいな話をされたんですね。

ぼく自身はMISIAさんの曲はそれまで歌ったことがありませんでした。また、MISIAさんの曲には興味がありませんでした。でも、この数ヶ月で沸々と湧いていたのが、ぼくもMISIAさんの曲を歌ってみたいなあという気持ちでした。

ぼくに歌える曲を探してみようと、MISIAさんの曲を、曲名を検索しては片っ端から聴いてみました。さっき、興味がないと書きましたが、デビュー直後のシングルやアルバムは買っていました。MISIAさんがデビューした1998年の頃は、日本的なR&Bサウンドが芽生え始めた頃でもあり、数年後にEXILECHEMISTRYが登場するわけです。ぼくはR&Bとか、ポップなメロディーを歌う、初期のMISIAさんの歌が好きだったんですが、次第に「Everything」のような歌い上げるバラードが大ヒットしていくようになって、あまり聴かなくなっていきました。今回、MISIAさんの曲を聴いて、彼女の歌い上げるスタイルは、我々が計り知れない努力の賜物なんだとは思いましたけど、余りにもその歌が超個性的すぎるゆえに、自分で歌ってみたいとは思わないんですね。特に、カラオケ大会でも聴くようなバラード曲は、自分には歌えないと思いました。DAM★ともで歌えるMISIAさんの曲は223曲ありました。MISIAさんだってバラードばかり歌っているわけではないと思うし、せっかく歌うなら、自分に合いそうな、歌えそうな曲を探してみようと思いました。それで、「これならいいかな」と思ったのが「恋唄」という曲でした。

この作品は、2002年9月26日に発売されたMISIAさんの4枚目のアルバム「KISS IN THE SKY」に収録された1曲でした。このアルバムでは、B'zの松本孝弘さんがこの「恋唄」と「Don't stop music!」の2曲を楽曲提供し、ギターを演奏しています。MISIAさんは以前から松本さんを尊敬していて、松本さんのギターソロアルバムを聴いたのをきっかけに、自分の曲をオファーしたそうです。「華」というアルバムには、字はやや違いますが、「恋歌」という曲も収録されています。


松本孝弘「恋歌」

B'zの曲を聴いていると、時にオリエンタルの雰囲気を漂わせるメロディーを奏でることがあるなあと思いますが、このギター・ソロにもそういうものを感じます。この当時の松本さんは、海外公演を通じて、自分が東洋人であることを強く意識されたそうで、そういう思いがこういうメロディーを生み出しているのかもしれません。

そして、MISIAさんが作詞し、松本さんが作曲した「恋唄」は、その歌詞にはいまの日本の夏や秋の情景を思い起こさせる言葉があり、一方で古の時代から今に至るまで、幾千の時の中で、幾線の星の数ほど、歌い続ける「恋唄」という言葉には、万葉集源氏物語といった古典の世界も感じさせてくれる、時空を超えたスケールを歌にしているのが、いい歌だなあと思いました。この日本的な歌詞に、松本さんが作られたオリエンタルなメロディーはどこかドラマチックであり、またポップであり、アレンジにはR&Bにベースを置いているので、ぼくも受け入れやすかったのかもしれません。

先日、初めて「恋唄」をDAM★ともで歌ってみましたが、同じフレーズが繰り返されるので、平坦にならないような歌い方の工夫が必要だなと思いました。MISIAさんはそこを飽きさせないように歌っているのが、さすがだなと思います。


MISIA - 恋歌 - LIVE 2003