DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

ららばい

昨日、YouTubeを見ていたら、たまたま出会ったのが、「作詩家久仁京介の世界」というチャンネルでした。紹介されていた動画は、【演歌男子Shinさんコラボ】久仁京介✖️Shin✖️山田ゆうすけ特別動画。演歌男子Shinさんについては、2018年8月にぼくのブログでも紹介させて頂いたことがあって、その当時のチャンネル登録者は12,000人を超えていました。現在はチャンネル登録者が63,000人を超えており、この3年で多くの方にShinさんの歌声が届けられたことに本当に嬉しく思います。そんなこともあって、30分以上の動画でしたが、じっくりと聴いてみました。

久仁京介さんは作詩家として50年を超えるキャリアをお持ちの方で、一般社団法人日本作詩家協会の副会長を務められています。数々のヒット曲の中でぼくが印象深いのは、日吉ミミさんの「男と女のお話」や新沼謙治さんの「津軽恋女」ですけど、竹島宏さんを歌手デビューでスカウトした方でもあります。こんな大ベテランの方がYouTubeで配信をされていることにも驚きましたが、その目的は演歌だけではなく、40代から60代までの世代をターゲットに、歌謡曲系からポップス系までの作品を作るプロジェクトをやっていこうということで、CD化されていない意味での未公表作品を発表していこうというもので、そのチャレンジ精神と意欲的な活動がいいなと思いました。

今回はShinさんに、未公表作品の1つである「ららばい」という曲を、久仁さんがShinさんに歌唱依頼したという特別企画だったそうです。作詞は久仁さん、作曲は山田ゆうすけさん、編曲は高木博音さんです。山田さんは久仁さんと一緒に今回の創作プロジェクトを行っていらっしゃいます。高木さんはキーボード奏者や作曲家もされていて、三浦祐太朗さんのバックミュージシャンも務められています。

この「ららばい」という作品は、彩(あや)さんという歌手の方が歌われています。


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出だしの「ららばい ららばい 三杯目の水割り」から引きつけるものがありました。夜の雰囲気を漂わせる感じです。久仁さんが、YouTubeで配信する作品は「イントロは短い方がいい。次の動画にめくられてしまうから」と言われ、山田さんも「つかみはOKというサビが欲しかった」と言われ、Shinさんも「最初の歌詞は大事」と言われました。最初の一節で歌の世界に入ってもらえるのかが決まるんですね。久仁さんの「めくる」という言葉は本のページを捲るのと同じで、関心を持たれるように捲らせない努力が必要なんだなと思います。

Shinさんは高音で強めの歌声が魅力の歌い手さんですけど、彩さんが歌った「ららばい」を自分が歌うに当たって、歌詞の主人公の思いを深く掘り下げたり、メロディーの歌い方を地声かファルセットのどちらを使うかとか、言葉の1つ1つへのこだわりを強く持たれていました。言葉は小説でも俳句でも歌詞でも、読解することによって、歌へのアプローチもまた変わっていくのだと思います。山田さんがShinさんの歌い方について、「ファンの方には綺麗に歌っているように聞こえるかもしれないけど、言葉を投げて処理しているところがありますよね」と評価されていました。Shinさんも主人公の気持ちになって、投げやりな感情を歌に出そうとしていると話されていました。

久仁さんはShinさんに「遊び心で歌ってみなさい」とアドバイスされたそうです。「同じ歌を同じようにみんなが歌うのはつまらない。彩さんみたいにShinさんがもし歌ってしまったら、逆にShinさんの魅力が失われてしまう。それをShinさんは自分の歌の大正解を出してきた。荒削りをしっかりと出しながらも、繊細さもしっかりと出している。」とShinさんの歌を絶賛し、「カバーという言葉は取って頂いて結構」と、オリジナルで歌ってよいと認められました。

また、久仁さんは大きな声では言えないと言いながらも、「最近の演歌歌手の若手は、余りに丁寧に歌いすぎていると思う。もっと弾けてほしいという不満がある」と言われました。これに対してShinさんは「自分も荒く歌って音を外して原曲のイメージを外せない葛藤がある。それと採点ゲームが盛んになったので、音を収めようというのはある」と返されていました。

先日、カラオケ大会で多数優勝されている方の話を聞いたのですが、自分は「大会脳」になってしまっていると言われたのが印象的でした。大会で失点を少なくするために、勝つための歌を追求すると、抑揚や語尾処理がかっちり決まった表現になる。フィギュアスケートでいえばルーティンなんだと思います。でも、魅力ある歌にするにはルーティンだけでは足りないわけで、フリーの演技で独創的なものを見せないといけない。それが久仁先生のいわれる「遊び心」なのだろうと思います。

Shinさんの「ららばい」は、声質がよく活かされていると思います。残念ながらCD化はされていませんので、カラオケで歌うことはできません。


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