DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

手紙

カラオケが大好きなぼくですけど、歌番組はあまり見ていなくて、よく見ている番組がBS朝日で毎週土曜日の19時から放送されている「人生、歌がある」という番組です。この番組を見ていると、歌手の方が歌について自分の考え方を語ってくれる場面があったり、トリビュートする歌手の曲を他の歌手が歌うのがこの番組のメインでもありますが、歌を練習しているぼくにとっては学ぶことが多い番組です。

先週11月14日の放送では、林部智史さんが出演されることを当日に知って、何を歌われるのかチェックしていたら、その1曲に神野美伽さんの「手紙」という曲が書いてありました。

神野美伽さんといえば、代表曲の「男船」のように男勝りの威勢のいい歌を歌われるイメージがあって、その神野さんの曲を林部さんが歌うイメージが浮かばなくて、「手紙」とはどういう曲なのか、番組の放送数時間前にチェックしたのがこの動画でした。


手紙 神野美伽

いい意味で、ぼくが神野さんに持っていたイメージをぶち壊してくれた、とっても心にじんとくる歌でした。この作品は2004年6月23日に神野さんの32枚目のシングルとして発売されました。作詞は荒木とよひささん、作曲と編曲は宮川彬良さんです。宮川さんは作曲家宮川泰さんのご子息であり、ミュージカル音楽を手掛けているイメージが強いですが、松平健さんの「マツケンサンバII」を作曲されてもいらっしゃいます。荒木さんは数多くの演歌・歌謡曲の大ヒット曲を作られた作詞家ですが、神野さんとは1999年から2015年まで結婚していました。この「手紙」の歌詞は、主人公の男性がおそらく死ぬ前に、見送る妻への置き手紙のような内容で、当時2人は結婚していましたから、荒木さんが神野さんに話すイメージで作ったのかなとも考えました。「ボクがもしも死んだなら 悲しいけれど少しづつ 忘れていいよ ぼくのこと」とか「雲の上で 母さんに 君のことを 伝えるよ」という歌詞には、本当は忘れて欲しくないけど、君には幸せに生きてほしいという、主人公の愛の深さを感じました。それと、この曲は切々と、言葉を選ぶようにしてゆっくりと歌う曲なので、こぶしをまわしたり、うなりを上げることもなく、素直に歌っていくことで、じわじわと心に響く曲なのだなと思いました。そして、この曲調だからこそ林部さんとベイビー・ブーさんが、番組では歌うことになったのだなと思いました。

そして、この日の放送は神野さんがトリビュートゲストであり、他の歌手が次々と神野さんの持ち歌を歌っていきました。この番組で司会を務めている中澤卓也さんは「カモメお前なら」を歌っていました。中澤さんは毎週、トリビュートゲストの持ち歌で、割に難しめな曲を歌わされていますけど、本当は畑違いな曲でもソツなく歌いこなしてみせるなあと感心します。

コーナーの中盤あたりで、林部さんとベイビー・ブーさんが登場して、「手紙」のイントロが流れたとき、神野さんは「ええ、この曲誰が歌うの?」みたいな驚いた表情を見せました。この日の林部さんは、この曲を歌う前、後方でもどこか緊張されているような表情を見せていました。もともと歌への感情移入を強く持たれる方なのかなと思っていますけど、1コーラスを歌ったところでも、ちょっと感極まっているのかなと思うところがありました。ベイビー・ブーのリードボーカルの桜井貴之さんもTwitterで「こみ上げるものを抑えて歌いました」とコメントされていました。歌詞が夫が妻に話す言葉なので、男性が歌う「手紙」もまた感動がありました。歌っている途中で神野さんが涙を流す一幕もありました。

この曲はDAM★ともにも入っていたので、さっそく歌ってみて公開に出してみました。この曲は中低音だけで構成されているので、高音の盛り上がりはありませんけど、十分にいい音楽が出来上がることが認識できた、とてもいい作品でした。

まだ世に広く知られていない素晴らしい作品を歌って伝えるのも、音楽を愛するものにとっては大事なことだと思いました。


手紙 林部智史・ベイビー・ブー