DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

いずこ〜ふたたび歌を空に翔ばそう〜

ぼくが歌を歌っていて、目標にさせて頂いている歌手のお1人である林部智史さん。林部さんみたいに高くて透明感のある声はぼくには出せませんけど、「恋衣」という作品を聴いたのをきっかけに、林部さんの歌に向き合う姿勢みたいなところに共感して、カラオケ大会でも林部さんの曲を選んで歌うようになりました。

林部さんが歌う姿を拝見できるのは、BS朝日で放送されている「人生、歌がある」ぐらいですが、最近この番組で聴いた曲が「いずこ〜ふたたび歌を空に翔ばそう〜」という曲でした。

もともと、この作品の歌詞は阿久悠さんが未発表のまま、没後に遺されていたものでした。2017年11月15日に発売された阿久悠さんのトリビュートアルバム「地球の男にあきたところよ〜阿久悠リスペクト・アルバム」では、冒頭でこの作品の歌詞をリリー・フランキーさんが朗読し、BGMとしてピアニストの奥田弦さんが演奏されています。

今回の新曲では阿久悠さんの歌詞に、往年の名コンビである作曲家の都倉俊一さんがメロディーを作られ、この作品を林部さんが歌うことになりました。林部さんは2017年の上記のアルバムでも、阿久さんの未発表詞に吉田拓郎さんが作曲した「この街」を歌唱しており、この歌唱を買われての今回の起用なんだろうと思います。

この歌詞を阿久さんがいつ頃書かれたのかはわかりませんけど、その当時の歌が、以前ほどのパワーというか影響力や訴求力を失ったと感じていたのかなと思いました。「小さな箱の中で 息もしない歌は 愛と夢の化石と同じ」とか「翔べない蝶のように 色が褪せた歌は 胸の中で 粉々になる」という例えが、その当時の音楽シーンへの批判だったのかもしれません。思えば、昭和の歌謡曲が全盛期を迎えていた1970年代や1980年代の作品には、歌にパワーがあり、ドラマもあり、主人公の生き様も感じられるものが多く、「歌は世につれ、世は歌につれ」を地で行く時代でもあったと思います。歌詞の世界も1990年代まではそれまでとは違うパワーは維持していましたけど、2000年代以降は大きなテーマを歌うものは少なくなって、取り上げるテーマが身近な出来事に近いものになっていると思います。

ただ、今この歌詞を読んでみると、この2年余り活動の制約を強いられていた音楽が、いま再び息吹を取り戻そうというメッセージに受け取ることができました。「いずこ」のMVでは空に白い風船を飛ばして、希望をつなぐイメージ映像となっていますが、最近数ヶ月前からさまざまな音楽活動が再開されていることと付合しているように感じました。

「人生、歌がある」で「いずこ」を歌われる林部さんは、歌詞の一言を大切に、伸びやかに歌われていました。DAM★ともでもやっとこの曲が歌えるようになったみたいなので、今週歌いに行こうと思います。ぼくの小さな白い風船も、空に翔ばすようにと願いつつ。

 


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