ぼくがDAM★ともで最近よく歌っているアーティストの林部智史さん。林部さんを初めて知ったのは、DAM★ともの企画だったと思います。CHEMISTRYの川畑要さんがソロのカバーアルバムを出されたときに、オーディションで選ばれた人が川畑さんと歌えるという企画でした。ぼくも当時、アルバムの収録曲をDAM★ともに公開したら、ユーザーさんから多くのナイスを頂けたんですけど、まだオーディションに応募する勇気がありませんでした。で、そのオーディションで選ばれたのがデビュー前の林部さんでした。
ぼくはカラオケバトルで優勝していた林部さんは見ておらず、2016年のデビュー曲「あいたい」のPVを見て、「川畑さんと一緒に歌ってた人だ」とわかりました。「あいたい」を当時DAM★ともでも歌いましたけど、ぼくにはキーが高すぎる感じがしたのと、歌っていて相性というか、波長が合わない感じがして、その後暫くは林部さんの歌に触れることはありませんでした。
2018年に発売した4枚目のシングル「恋衣」を聴いて、阿木燿子さんの作詞と来生たかおさんの作曲ということもあり、とっつきやすかったのかもしれません。この曲を歌ってみようかなと思うようになり、カラオケ大会でも何回か歌ってみました。作詞の言葉から情景を連想しやすい曲は歌いやすいと思います。それとカラオケ大会は、ぼくは勝てるほど上手くはないので、自分がチャレンジして成長できる曲を選んで歌いたいと思ってまして、「恋衣」は林部さんの曲を自分がどれだけ歌えるかなという気持ちで歌ってきました。それがきっかけで、林部さんの他の曲も歌ってみようと思い、何曲かはDAM★ともにも公開したり、別のカラオケ大会でも歌いました。
そうやって歌っていくなかで、どう歌ったらいいのかなと思うところがあって、だったら本人の歌を聴いてみようと思い、林部さんのコンサートに行って、生歌を何曲も聴いてきました。そこで、ぼくがDAM★ともでは歌っていない、林部さんが作詞や作曲をした作品を聴いて、ぼくがかつて関心を持たなかった頃の作品も聴いてみようと思いました。その1曲が「憂いうた」という曲でした。
この作品はデビューシングル「あいたい」のスペシャル盤の1曲として収録されました。歌番組でも披露されてますが、林部さんはピアノを弾かれる方なので、作られる作品もピアノから生まれた雰囲気があるんですよね。でも、「憂いうた」はアレンジがそうなのもありますけど、ギターの匂いがする曲だったんです。そして、ぼくはこの曲を聴く中で、曲の向こう側にCHEMISTRYのR &B的サウンドを感じたんです。イメージ的には「It Takes Two」でしたけど、歌詞も曲調も違うのに、恋人と離れてしまった男性が感じる痛みや弱さを表現しているのは一緒だなみたいな感じがしました。
「泣き歌の貴公子」というプロモーション要素もあったんでしょうけど、恋人が受けた痛みを、いま僕も同じ痛みを受け入れるみたいな自虐的要素っていうのは、日本の歌謡曲には一定に備わっていたと思いますし、男女の誤解とか、別れの辛さとかをテーマにして、名曲が生まれてきたように思います。
ぼくが「憂いうた」を歌うとしたら、Aメロ、Bメロは感情を抑えて歌って、サビからじわじわと強めに歌う感じなのかなと思ってDAM★ともでも歌ってきました。まずはキーが高すぎたので3つぐらい下げてみて、歌詞の主人公の気持ちの葛藤を声で表現できたらいいなと思いました。