DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

憎みきれないろくでなし

日本の歌謡界の男性ポップス歌手で、ビジュアル面のパフォーマンスを切り拓いたパイオニアである沢田研二さん。「歌は3分間のドラマ」という言葉が昭和の時代に語られたように、沢田さんの歌には、男のドラマの世界を見せてくれる感じがあります。沢田さんのヒット曲の1つに、「憎みきれないろくでなし」という曲があります。

この作品は1977年9月5日に沢田さんの21枚目のシングルとして発売されました。作詞は阿久悠さん、作曲は大野克夫さんで、当時のジュリーのヒット曲を提供し続けたコンビです。1977年の日本レコード大賞を受賞した「勝手にしやがれ」は1977年5月21日に19枚目のシングルとして発売されましたが、「勝手にしやがれ」がもしボツとなった場合に用意しておいた作品が「憎みきれないろくでなし」だったそうです。

では20枚目のシングルはというと、1977年8月10日に「MEMORIES」という曲を発売しています。あまり知られていないかもしれませんが、1970年代後半に沢田さんはイギリスとフランスでシングルを発売し、チャートで4位になったのをきっかけに、西ドイツでもプロモーション活動を行い、西ドイツで1977年7月30日に第1弾として発売したのが「MEMORIES」でした。

「憎みきれないろくでなし」の歌詞は、女性から見た、ろくでなしだけど憎めない男性を書いています。どこかで浮かれて奔放な態度を取っているけれど、傷つけあうのが嫌いだからずるずるみんなをひきずってしまうし、ひとりも不幸にしたくないと突っ張っている彼は、最後は疲れて私の胸で眠ってしまうでしょう、そんなあなたは憎みきれないろくでなしだわ、という包容力のある女性が阿久悠さんは好きだったのかなあと思います。作曲の大野さんのサウンドは小気味のいい感じのリズムが続くポップスで、ファンキーさも織り交ぜてるように思います。沢田さんの歌い方で、歌詞の語尾のところで音階をいったん下げてからまた音階を上げて伸ばすところが、独特の良さを発揮するんですが、大野さんはそういう沢田さんの良さを生かしていると思います。

ぼくもジュリーになったつもりで歌ってみましたが、結構自分には合ってるかなと思いましたので、出せそうなものができたら、DAM★ともで公開しようと思います。

ただ、当時のジュリーが歌って放つ男の色気は今見ても凄いものがありますね。今のジャニーズが何十人かかってきても到底かないません。逆にいうと、何でアイドルでもポップスでもロックでも、ソロのアーティストがもっと出てこないのかなと思います。いま旬なのは、星野源さんぐらいですよね。まだ有名になっていないソロアーティストの中に、魅力のある人は必ずいると思います。


沢田研二/憎みきれないろくでなし✩1977.9.5R