DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

ゲイシャ・ワルツ/こんなベッピン見たことない

ぼくはYouTubeの動画で歌を覚えることが多いですけど、まだ自分が生まれていなかった時代の昭和の歌の動画も見ることができたりして、その頃の歌もまたパワーがあって人々を楽しませていたんだと感じることが多くあります。

例えば、昭和の初期から昭和30年代頃までは、いわゆる芸者歌手が歌の流行の一角をなしていた時代がありました。芸者歌手のトップは市丸さんだと思いますけど、その他にも小唄勝太郎さん、美ち奴さん、赤坂小梅さん、日本橋きみ栄さんなど、それぞれの芸風を生かした歌手の方々が揃っていました。

今回は芸者歌手の中でも神楽坂はん子さんの「ゲイシャ・ワルツ」と「こんなベッピン見たことない」を聴いてみました。

はん子さんは神楽坂で芸者をしていたところを作曲家の古賀政男さんや作詞家の西条八十さんに見込まれて、レコード会社のコロムビアからスカウトされました。1952(昭和27)年に「こんな私じゃなかったに」でデビューして、次に発売した「ゲイシャ・ワルツ」が大ヒットして、スター歌手の仲間入りをしました。その後も「こんなベッピン見たことない」などヒット曲を連発しますが、1955(昭和30)年に身許引受人の意向で歌手を引退します。芸者が一本立ちするのに色々と面倒を見てくれる旦那衆が身許引受人ですが、長年お世話になった旦那さんへの義理を果たしたと言われています。1968(昭和43)年頃から数年間、歌手として復帰して、懐メロ番組などに出演しましたが、その後は表舞台から去り、1995年に亡くなられました。

ゲイシャ・ワルツ」の動画は歌手に復帰された頃の映像だと思います。芸者歌手の作品は2コーラス歌っても2分弱で終わる作品が多いですが、その短い時間の中でも、冒頭の艶やかな会釈とか、間奏に魅せる扇の舞姿とか、色っぽい歌い方も含めて、はん子さんの魅力が凝縮されていて、すごいなあと感じました。


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「こんなベッピン見たことない」は、はん子さんが全盛期の頃の映像だと思います。漫才師のコロムビア・トップさん、コロムビア・ライトさんとの掛け合いではん子さんが歌うスタイルですけど、何とも軽妙で面白くて、客席の皆さんの多くの笑顔をみると、歌で笑えるってすごいなあと思えました。


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今の時代に歌っている人たちは、こういう昔の映像の時代の様相とは違うのだけど、プロもアマチュアも、魅せる努力を古からも学ぶ必要があるのかなって思います。今の時代には今どきの凄まじい努力をしていることは間違いないと思います。でも、技術とは違う人を動かすようなダイナミズムも今なお必要な気がしました。何十年経った映像を見た今のぼくが素晴らしいと感じたような気持ちのようなものです。