DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

ちっちゃな時から

ぼくは基本的に歌が好きなので、日本の歌手の曲も昭和戦前の懐メロ曲から今のJ-POPまで、何となく色々なジャンルを聴いてきましたが、ぼくの中でも謎に包まれている歌手もいて、その1人が浅川マキさんでした。

浅川さんを形容する言葉が「アンダーグラウンドの女王」であり、テレビ全盛の時代にテレビ出演をせず、最後までステージを主体とした音楽活動を行いました。

浅川さんは音楽への美意識、それは自分の作品への信念や哲学だと思いますが、徹底していたそうです。浅川さんのライブに参加したミュージシャンが、錚々たるメンバーで、若き日の吉田建さんや坂本龍一さんのお名前もありました。優れた音を聴く耳に長けていたのだと思います。

ぼくが初めて浅川さんの曲に接点があったのは、ちあきなおみさんが歌った「朝日のあたる家(朝日楼)」で、この日本語詩を書いたのが浅川さんでした。浅川さんのオリジナル曲を初めてYouTubeで聴いたのが「ちっちゃな時から」という曲でした。

この作品は1970年2月5日に浅川さんのシングルとして発売されました。作詞は浅川さん、作曲はむつひろしさんです。このむつひろしさんという方、実は隠れたヒットメーカーの方で、ザ・キング・トーンズの「グッド・ナイト・ベイビー」、さくらと一郎の「昭和枯れすすき」、石川セリさんの「八月の濡れた砂」を作曲されたほか、和田アキ子さんの「どしゃぶりの雨の中で」を「小田島昭彦」名義で作曲されています。

「ちっちゃな時から」を初めて聴いたとき、浅川さんの説得力ある声質と存在感ある歌唱に納得してしまいました。それと演奏の音に完璧さを求めている感じがしました。オーケストラの演奏に指揮者がレベルを上げていくようなものと同じようなものを感じました。

浅川さんは自身の歌について「時代に合わせて呼吸をする積りはない」と語っていました。そして、「私は詩にこだわる。だから売れないのよ」とも言っていました。私は、私の場所で、私の歌を歌う。私を探し当てた者だけが、私の歌を聴いて欲しい。自分の哲学を貫いた浅川さんの音楽は、まだまだ奥が深いようです。

翻って今の音楽シーンは、メジャーの商業音楽も頭打ちの様相で、インディーズの音楽にもビジネスチャンスはあるんじゃないかと思ってます。CDが売れなくなっている中、求められているのはライブであると思うんです。そういう中でいろいろなジャンルの音楽が生み出されてこそ、説得力のある歌い手は生まれてくるのだと思います。


♪ 浅川マキ - ちっちゃな時から