DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

歌の勉強

3月21日、ぼくはVocal  Competitionという生バンドの演奏で歌を歌うイベントに参加しました。このイベントを知ったのは12月の初め、Twitterのタイムラインを見ていたときでした。

主催者はmariaさんという、歌唱王に出られた方で、ロイヤルホース梅田という45年の歴史あるお店で、プロのミュージシャンによる生バンドの演奏で歌うという企画で、審査員には西日本を代表するボーカリスト5人が集結するというものでした。

ぼくの第一印象は「関西や九州で活動している歌の上手い方が応募しそうで、審査員の5人も厳しそうだし、ハードル高いかも」と否定的なものでした。その後、審査員の5人からのコメントが紹介されましたが、バンドと音のコミュニケーション、ステージ上の表情やパッション、バンドとのアンサンブル、サウンド力、曲に合わせた声と息遣い、感情の揺れ動き、生バンドで慣れない中でも個性を押し出すなど、提示された基準はぼくにとっては余りにも高いと感じるものでした。

イベントの内容が知りたかったのと、出場者のレベルが高すぎるなら諦めようという気持ちが半々で、mariaさんに正直な気持ちで問い合わせたところ、「レベルとか気にしないでください。楽しんで頂くイベントですし」と言われて、出場できるか検討してみることにしました。

今回のイベントは生バンドの演奏で歌うため、本番当日とは別に、リハーサルにも参加する必要がありました。大阪までの2往復の交通費の負担と、リハーサルは平日でしたので仕事の日程調整と、歌以外でも解決すべき課題がありました。

3月の開催であったため、JRの青春18きっぷを活用して、交通費を節約することができ、仕事の調整もできましたので、リハーサルも参加可能となったため、正式に出場の申し込みをしました。

ぼくは大会で常に入賞する実力はありませんので、勝てそうだからという基準ではなく、出場した経験がその後の音楽活動に役立つかということで、出場しようと決めています。今回はプロのバンドの演奏で、リハーサルで3回、本番で1回、フルコーラスで歌えることが決め手になりました。たとえ遠方であっても、出る価値があると思いました。

何でそこまでして、人前で歌いたいんだろうって、自問自答するんですけど、ぼくの場合は、自分の歌が成長していることを確かめたいからなんだと思っています。

さて、3月21日の本番当日、会場のロイヤルホース梅田は、歴史ある雰囲気を持った、食事をしながら歌や演奏を楽しむお店でした。司会の方が「ここにいるのは音楽が好きで歌が好きな仲間たちです。音楽を歌を楽しみましょう」と冒頭で言ってくださったのが、ぼくにはいい感情を持たせてくれました。他の出場者はどなたもお世辞抜きで、レベルの高い歌唱をされていました。こういうイベントに参加する人って、自信を持っていらっしゃいます。ぼくの出番は4番目で、宇佐元恭一さんの「雨ニモマケズ」という曲を歌いました。カラオケ大会では歌ったことがない曲でしたが、生バンドの演奏に合うかもと思って選びました。目の前の近い距離に審査員の皆さんがいたので急に緊張感が湧きましたが、音楽と歌を楽しもうという気持ちで肩肘張らずに歌おうと思いました。会場の後方で聴いている方にもぼくの声を届けたいと思いました。リハーサルでピアノの先生に言われたとおり、曲ラストの締めを合わせるように歌いました。

歌い終わってホッとしたぼくに聞こえて来たのは意外な反応ばかりでした。「めっちゃ良かったよ」「ものすごく良かったですね」「かっこよかったわ」って次々に言われて、ぼくの歌のどこがそうなのか、さっぱりわかりませんでした。まだ自分の歌の出来を客観的に見れていないんだなと反省しました。

審査結果で思いがけず、審査員の1人の方から高評価を頂き、審査員特別賞を頂くことができました。その方は世界大会にも出場した素晴らしいシンガーの方ですが、その方から「感動しました」と言われてしまい、ぼくも本当に嬉しかったです。終了後に審査員5人のスコアシートを頂きましたが、他の4人の方の評価はそれほど高いものではなかったので、もっとライブ感の熱が伝わる歌を歌えるように勉強しないといけないなあと思いましたし、万人に伝わる歌を歌うのは難しいことを改めて感じました。

人の評価が様々であることはわかっているけど、いい歌ってどんな歌なんだろうって考えます。全員じゃなくても、何人もの方からいい歌と言って貰えるなら、それで十分だと思っています。ぼくは大会には出ますけど、優勝とか入賞とかその日限りの評価よりも、聴く方の印象に大会が終わった後も残るような歌を歌いたいなあという気持ちです。その上で、どんな歌を自分の持ち味として歌っていくのか、いろいろな歌は歌っていたいけど、そろそろ方向性は決めなきゃいけないのかなあ、帰り路にそんなことをふと思いました。最初はチャレンジを躊躇ってましたけど、悩んで考えて、歌の勉強のつもりで出ると決めて良かったです。

 

 

水平線

曲との出会いはいろいろなきっかけがあります。Twitterでフォロワーさんがいいねを付けた方が、ぼくが聴いたことのない曲の一節を歌われていたようでした。

「水平線が光る朝に あなたの希望が崩れ落ちて 風に飛ばされる欠片に 誰かが綺麗と呟いてる 悲しい声で歌いながら いつしか海に流れ着いて 光って あなたはそれを見るでしょう」

ぼくは歌っていた方の心地良い歌声がとてもいいと思ったんですが、何という曲なのかを調べてみたら、それはback numberの「水平線」という曲でした。

back numberはボーカルの清水依与吏さん、ベースの小島和也さん、ドラムスの栗原寿さんの3人からなるバンドで、2014年にメジャーデビューしてからシングルもアルバムも常にヒットしているアーティストです。ぼくはback numberのことは知っていましたが、歌ってみようという興味はありませんでした。

「水平線」という作品は2020年8月18日、未発売の楽曲ということでゲリラ発表されました。YouTubeで音源が公開されましたが、現時点でCDの発売や配信の予定はありません。この作品を作ったことについて、清水さんがコメントをされています。

「費やし重ねてきたものを発揮する場所を失くす事は、仕方ないから、とか、悲しいのは自分だけじゃないから、などの言葉で到底納得出来るものではありません。選手達と運営の生徒達に向け、何か出来る事はないかと相談を受けた時、長い時間自分達の中にあるモヤモヤの正体と、これから何をすべきなのかが分かった気がしました。先人としてなのか大人としてなのか野暮な台詞を探してしまいますが、僕たちはバンドマンなので慰めでも励ましでも無く音楽をここに置いておきます。清水依与吏(back number)」

新型コロナウイルス感染拡大は私たちの生活に大きな影響を与え、back numberとしても心苦しい選択を強いられて来ました。そんな中、インターハイ全国高等学校総合体育大会)が史上初めての中止、という決定が下され、それまで開催に向けて尽力してきた運営を担当する高校生たちからback numberに手紙が届きました。学生時代に自身も陸上競技でインターハイを目指していた清水依与吏は、今年のインターハイの開催県が地元・群馬県であったこと、開会式で「SISTER」が演奏される予定だったことを知り、何か彼らや彼女たちのために出来ないか考え、急遽制作し、完成した楽曲が『水平線』です。本来、インターハイの開会式が行われるはずだった、本日8月18日に公開致します。

「水平線」はDAM★ともでも歌うことができますので、何回か歌ってみました。画面に映るこの曲のPVでは、女子高校生が歩きながら身につけている物を道に捨てていき、学校の前も通り過ぎて、たどり着いた海に向かって叫ぶシーンへと流れていきます。テロップに出される歌詞は今の世の中を冷静に見ているような気がしました。

あらかじめ答えが用意されてないことが多いのが我々の生活ですけど、どんな環境にあろうとも、自分で悩んで、考え抜いて、自分の答えを見つけることが、自分を生かす道なのだろうと思います。最初は出来ないかもしれないと思うことでも、何が出来ないのだろうと考え抜くことで、逆にこれなら出来るかもという可能性を見つけ出せるかもしれません。

納得のいく、説得力のある説明もなく、日本の中だけでもどれだけのことについて機会を失わせているのだろうかと考えさせられます。たとえ機会を奪われたとしても、新たな機会を見つけて実行しようという気持ちは常に持っていたいと思います。

 

フロントマン

いつもカラオケで歌っているぼくですが、今週は生バンドの演奏と一緒に歌わせて頂く機会がありました。

ぼくは声を出して歌うという点においては、カラオケもバンドも演歌歌手もクラシック歌手も何ら変わることはないと考えています。カラオケの歌い手さんを一歩見下したような音楽業界の方のツイートをたまに見ますが、カラオケの伴奏にしても人が作った音源に変わりはなくて、歌うぼくが独りよがりにならないように、伴奏の音をよく聴いて歌うことにおいては、バンドのボーカルがメンバーの演奏と融合しようとすることと、それほど変わりはないのかなと思います。

頭ではそう考えてはみたものの、生バンドの演奏でぼくは歌ったことがありませんでした。カラオケと生バンドの演奏の違いを自分でも経験したいと考えるようになりました。

生バンドの演奏で歌える機会は今もあって、ライブハウスでオープンマイクの企画がある日はお客さんもステージに立って、バンドが演奏できる曲の中から歌うことができます。ぼくはオープンマイクも行ったことがありません。カラオケのお店でもカラオケ大会でもライブハウスでも、何となくその場所に行って歌いたいという気持ちが湧いてこないと、その場所に行く気がしないという感覚があるのかもしれません。

今回はとあるライブハウスに行きまして、約30分程、プロのミュージシャンのバンドの皆さんと一緒に、歌の練習をさせて頂きました。ぼくが歌いたい曲は予めお伝えしまして、オリジナルの歌手の方が歌っているYouTubeの動画をお送りしまして、それを元にバンドの皆さんが楽譜を一から作ってくださいました。

ぼくはカラオケで歌う僕自身は1人ですけど、伴奏の音と一体になって歌の雰囲気を作りたいと思いながら歌っています。バンドのボーカルはフロントマンという言い方があって、文字通り前面に立つ人なんですけど、魅力を発揮する存在性を発揮する役割も担う意味も含んでいます。今回の練習は素人のぼくがプロの演奏の下でただ歌うとか、プロに頼り切ることで終わってはいけないんだろうなと思っていました。演奏者と歌唱者は分離するものではなく一体となって音を作っていかなきゃいけないし、たとえ素人のぼくでもボーカルとして時にはリードする場面も作らないといけないんだろうなと考えていました。プロのバンドのボーカルの方がフロントマンとしての役割についてコメントされていた記事を読んだことがあったので、ぼくも初めての経験の前でドキドキしていました。

バンドはピアノ、サックス、ドラム、ベース、ギターの5人の皆さん。1回目の演奏は本当に歌と演奏を合わせる感じでした。カラオケと違って目の前に歌詞のテロップはないので、歌詞とメロディーが合ってるかなと確かめながらでした。2コーラス目の1小節が抜けていることに気づいたので付け加えていくようにお願いしましたが、それよりも演奏者の方の音へのこだわりの強さに気づきました。そして、ぼくの歌をすごく聞いているという感覚が背中からひしひしと伝わってきました。2回目の演奏では1小節の抜けは治されて、ぼくも演奏の出だしがジャストになるように、歌い方も音程やリズムを合わせにいったりして、日頃のカラオケで音程やリズムを正確に練習するのってやっぱり大事だなあと考えたりしていました。ピアノの方から、最後のタメのタイミングについて提案を受けて、ぼくもそこはピアノの方を見て合わせることにしました。3回目の演奏で、ぼくも歌を少し本気を出して、最後のタメもまだ完璧とはいえないものの、まあいい感じで終わらせることができました。

生バンドの練習の前に、DAM★ともで同じ曲を歌って声出しをしましたが、バンドの音源はカラオケの音源と違ってごつい音であるし、演奏者の個性が出ているので、ぼくの歌ももっと個性を出してもいいんだなと思いました。フロントマンとしても、もっとリードして、聴いている方にももっと伝える歌を歌える努力を積もうと思います。

だきしめたい

ぼくは一日の中で空いた時間があれば、DAM★ともで歌っている曲を聴いています。聴く曲はいろいろで、例えば朝に、自分を元気づけるためにアップテンポな明るい曲や勇気を与えてくれる歌詞の曲を選ぶこともあれば、切なくて暗いバラードを聴くこともあれば、聴きたいアーティストの曲を選ぶこともあります。そういう曲の中でぼくが最近聴いている1曲が、林部智史さんの「だきしめたい」という曲です。

この作品は2017年6月28日に3枚目のシングルとして発売されました。作詞は林部さん、作曲は谷真人さん、編曲は坂本昌之さんです。

作曲家の谷さんはピアニストでもあり、ビジネスマンから音楽家として転身された経歴の方です。幼少の頃に習っていたピアノを再び独学で始められて、2000年パリ国際アマチュア・ピアノ・コンクールで優勝されたのがきっかけだそうです。

編曲家の坂本さんは徳永英明さんや鬼束ちひろさんのコンサートでバンドマスターを務めるほか、林部さんのデビュー曲「あいたい」の編曲もされました。

林部さんは、「あいたい」を全国の多くの場所で歌っていた頃、歌を通じて出会った人たちから聞いた「大切な人に対する愛惜(あいせき)の想い」に触れたことから、この作品を作られたそうです。愛惜とは、心を強くひかれ大切にすることや、心残りが多く別れるのが辛いことといった意味です。林部さんが作られた歌詞からは、あなたやあなたと過ごした日々を過ごしたことが今でも忘れられないという惜別の思いが綴られています。

ピアノのメロディーは淡々としているようでドラマチックでもあり、林部さんの歌声も合わさると切ないバラードになっているなあと思いました。

ぼくが林部さんの曲を歌おうと思うのは、林部さんの歌に向き合う姿勢が真摯な印象があって、見習うべきことが多いからです。作品はぼくにとっては声域が高めなんですけど、高音をどうやったらもっと上手く出せるだろうかというチャレンジも含めて、「抱きしめたい」も含めて歌うようにしています。

DAM★ともでの採点の点数が実に不思議で、高音域とかろくに歌えていないのに、なぜか96点とか97点だったりします。他の曲だったらこれぐらいの点が取れていれば人前で歌う曲には入れていますけど、ぼくの中ではまだ人前で出せるレベルではないと思っています。ただ、ほぼ毎日この曲を聴いていると、毎回違ったところに気づくことがあって、体の中にこの曲の描いている世界観みたいなものは入ってきているような気がします。

林部さんがピアノで「だきしめたい」を弾き語りしている映像です。歌い方も含めていつもとはちょっと違います。


渾身の力をふり絞り、だきしめたい を弾き語りで歌う林部智史さん。

 

夜が明けて

今年1月23日に歌手の坂本スミ子さんが亡くなられました。1960年代に日本でブームとなったラテン音楽の曲をカバーし、「ラテンの女王」として活躍されました。ラテン音楽といっても一言では言えませんが、坂本さんは1959年に、来日したアメリカのラテン音楽グループのトリオ・ザ・パンチョス(Trio los Panchos)の前座公演に出演されていて、彼らはメキシコの音楽の影響を受けていました。

坂本さんの歌はYouTubeの動画で聴くことがありました。1965年の紅白歌合戦で歌唱された「グラナダ(Granada)」は、1932年にメキシコ人のアグスティン・ララ(Agstin Lara)が作詞と作曲をした、スペイン南部のアンダルシア地方の古都であるグラナダの町を賛美した曲で、世界のクラシック歌手が好んで歌うラテンのナンバーですが、坂本さんはパワフルな歌唱力と独自の解釈で見事なステージを披露されていました。また、1996年の映像で歌われている、エル・クンパンチェロ(El Cumbanchero)はプエルトリコの作曲家ラファエル・エルナンデス(Rafael Hernandez)が1943年に発表した作品で、今の日本では高校野球の応援でよく使われる曲ですが、当時60才にしてこのパワフルな魅せるステージの迫力が凄いと思いました。


エル・クンバンチェロ 坂本スミ子 1996' 25 UPG-0418

ぼくがDAM★ともで歌っている坂本さんの曲は「夜が明けて」という曲でした。ラテン風なサウンドって割と心地よい感じで、例えばKinKi Kidsの「ボクの背中には羽根がある」は、フォルクローレ(folclore)という、アンデス地方民族音楽をベースにスペインの音楽が融合した感じの音楽がベースに感じられます。ポルノグラフィティの「アゲハ蝶」もフォルクローレのアップテンポなサウンドかなと思います。そういう曲を歌ってた頃に「夜が明けて」を聴いたとき、これってフォルクローレだと思い、歌い始めた記憶があります。この作品は1971年10月21日に発売されたシングルで、作詞はなかにし礼さん、作曲と編曲は筒美京平さんです。日本で知られているフォルクローレの曲というと、サイモン&ガーファンクルがカバーした「コンドルは飛んでいく(El Condor Pasa)」ですが、筒美さんもフォルクローレで使われるケーナ(quena。縦笛)やチャランゴ(charango。弦楽器)を使って、なかにしさんが書いた女性の哀しい感情の歌詞に合うようなサウンドを作られた感じです。

坂本さんが1977年頃に、川崎市高津区の「カラオケとダンス ムーンライト」というお店でライブをされた音源を見つけました。「夜が明けて」は2曲目で歌っています。坂本さんの歌や音楽を楽しむ姿勢が一貫して感じられました。歌をお客さまに聴いて頂く姿勢や見せる姿勢も勉強になることがありました。


60 /70年代デナーショー坂本スミ子

この2週間、ブログを書く気にはならず、SNSで呟く気にはならず、歌を投稿する気にはならずでした。カラオケではいつもどおり歌っていました。いろいろな曲を歌って、自分の答えを見つけていくことは変わらないです。

 

 

悲しみのニューヨーク

ぼくが初めてカラオケ大会に出た時に歌ったのが、松原健之さんの曲でした。

初めて松原さんの歌を聴いたのは、たぶんNHKの歌番組だったと思いますが、村下孝蔵さんの「初恋」を歌われていたときでした。


松原健之~初恋~

綺麗な声質とか、軽やかに柔らかい歌い方で、「初恋」をカバーで発売すればいいのにと思うほど、いっぺんで松原さんの歌を気に入ってしまった瞬間でした。

松原さんは一般的には「演歌歌手」として紹介されますが、他の歌番組でも松原さんが歌謡曲やポップスを歌われているのを聴いていると、ぼくはポップス系または叙情歌系の歌手だと思っていまして、そういう作品をシングルとしてリリースして欲しいと思っていました。そして、最新シングルに収録された1曲が「悲しみのニューヨーク」という曲でした。

この作品は2020年9月30日に17枚目のシングルとして発売された「雪風」の両A面カップリングとして収録されました。作詞は伊藤薫さん、作曲と編曲は鈴木豪さんです。伊藤さんは野口五郎さんの「19:00の街」や欧陽菲菲さんの「ラヴ・イズ・オーヴァー」のヒット曲で知られた方ですが、松原さんとは2013年に「悲しみの雨」という作品を発表しています。鈴木さんは松原さんの多くの作品で編曲を手掛けられていて、2018年に発売されたアルバム「松原健之がうたう平尾昌晃永遠の名曲選集」の全曲、2016年に発表された「みちのく ふゆほたる」などの作品があります。鈴木さんのお父上の鈴木宏昌さんはジャズピアニストとして活躍されました方ですが、手塚治虫さん原作のアニメ「海のトリトン」で音楽を担当され、今のアニメ音楽の礎を築いたと言われており、歌謡曲では大橋純子さんの「シルエット・ロマンス」の編曲を提供されました。

さて、彼らが作った「悲しみのニューヨーク」は2020年3月に当初発売予定でしたが、当時はアメリカでも新型コロナウイルスの感染が蔓延し始め、タイミングが悪いとのことで9月に延期されました。ピアノをベースとしたオーソドックスなラブバラードで、ニューヨークを舞台に、叶わない夢でもまた君に会いたいと回想する主人公を描いています。松原さんご自身はニューヨークは行ったことがないそうですが、歌詞に出てくる「海風吹き抜けて 遠く振り向けば摩天楼」とか「まだハドソン川に 暮れ残る夕陽の色」とか「ニューヨーク七番街に サイレンの音が響く」とか、歌によってその情景が思い起こされてきます。ぼくも1回だけ行ったことがあるニューヨークの街は、どこか混然としている雑踏もあれば、歌詞に出てくるような不思議な穏やかさもあった記憶があります。

松原さんは声を抑え気味にしつつも、軽やかで柔らかく簡単そうに歌われています。ぼくもこの曲を練習していますけどさ、サビの「君に会いたい もう一度君に会いたい 叶わない夢でも」の第1ハードルも高音でブレスのタイミングが難しいながら何とかクリアしても、第2ハードルの「思わず空 見上げれば」で声量が失速してしまいます。ぼくにとっての課題なんですけど、高音のロングトーンを入れつつ、高音域でのメロディーを乱さずに歌えるか、というのがなかなか難しいです。とにかく何十回も歌って、ベストなブレスのタイミングを掴みつつ、サビでの声量をいかにキープできるようになれるかで、歌ってる時になぜか「これじゃ水泳選手だよなあ」となぜか思ってしまいます(笑)。

ぼくがいつも参考にしている松原さんの動画はアップNGですので、この曲を歌われている方の動画をアップします。この方はぼくが課題にしているサビの息継ぎもできておられます。

 


松原健之の(悲しみのニューヨーク)を邦しんやがcoverしてみました。

 

この瞬間、きっと夢じゃない

ぼくがDAM★ともでお気に入りのアーティストにしているSMAP。2016年12月31日をもってSMAPが解散してから4年以上が経ちましたが、改めて彼らのエンターテイナーとしての影響力の大きさとかプロフェッショナルさとか、発表した多くの作品の質の良さとか、折に触れて感じています。

今年の初め、KARASTAでユーザーさんが歌っているのを聴いて、思い出した1曲が「この瞬間(とき)、きっと夢じゃない」という曲でした。

この作品は2008年8月13日に43枚目のシングルとして発売されました。当時のTBS系の北京オリンピックのテーマソングにも採用されました。作詞・作曲はHi-Fi  CAMP、編曲は長岡成貢さんです。Hi-Fi CAMPはメンバー4人が宮城県仙台市に在住するバンドで、2008年6月4日にシングル「キズナ」でメジャーデビューしました。メンバーの脱退を契機に、2013年6月4日に解散しています。長岡さんはSMAPの「雪が降ってきた」「たいせつ」など多くの作品を提供されているほか、CHEMISTRYの「almost in love」、KinKi Kidsの「シンデレラクリスマス」も編曲されています。またご出身である三重県の伊勢をテーマとした活動もされており、伊勢神宮での奉納演奏として、第六十二回式年遷宮「白石献上歌」や巫女舞「祈りのとき」の作曲もされています。

さて、「この瞬間、きっと夢じゃない」を初めて聴いたとき、こういう方々が作られたとは知らず、作詞も作曲もラッパーの方が作ったのかなと思うくらいに歌詞がものすごく多くて、リズムも早い作品という印象でした。歌のパートが、1コーラス目Aメロ稲垣さんソロ→Bメロ香取さんソロ→草彅さんソロ→サビ全員→2コーラス目Aメロ中居さんソロ→Bメロ稲垣さんソロ→木村さんソロ→サビ全員→Cメロ草彅さんソロ→香取さんソロ→中居さんソロ→稲垣さんソロ→木村さんソロ→ラスサビ全員、という構成になっています。

SMAPの歌唱力については下手という評価が多いのかもしれませんが、ぼくは下手とは思っていません。この曲を歌うのはすごく難しいと思いますし。それじゃ上手かというと、いわゆるボーカリストの歌唱力の圧倒さで歌い上げるものではありませんけど、ぼくは楽曲の世界観はしっかりと作っていると思います。SMAPが5人で歌った声の調和感のパワーとか魅力こそ、彼らが多くの人々に愛されたところなのではないかと思います。歌の中で歌唱力の上手下手は1つの要素にすぎず、そういう次元を乗り越えて、歌を伝えることがもっと大切なんだろうと思います。この5人の中でも稲垣さんの歌はこの曲に限らず、芯があってしっかりと伝えているものがあったんだなあと最近感じています。ぼくも、こんなに上手く歌えるんだみたいな歌よりは、作品の世界を伝えられる歌を歌いたいと思います。


SMAP- この瞬間とき、きっと夢じゃない