DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

Re

2008年12月1日に始まったDAM★ともは、ぼくも同じ日に始めて、今月から13年目を迎えました。いつもぼくの歌を聴いてくださるユーザーさんに助けられて、本当に細々とですが続けてやってこれました。最近忙しい時間を過ごしているせいか、ぼくは逆にユーザーさんの歌をなかなか聴くことができていなくて、本当に心苦しいですが、時間を作って、じっくりと聴きたいと思っています。

さて、11月のDAM CHANNELで初めて知った緑黄色社会さん。どういう曲を歌われているのか全く知らなくて、ぼくも歌ってみたいなあと思って、何曲か聴いていく中でいいなと思った1曲が「Re」という曲でした。

緑黄色社会は男性2人女性2人のメンバー4人で編成されたバンドで、2012年に高校の軽音楽部で結成されたのがきっかけで、2013年に10代限定のフェス「閃光ライネット」で準グランプリを獲得し、2017年に1stミニアルバム「Nice To Meet You⁇」を発売し全国流通を開始し、2018年11月7日に3rdミニアルバム「溢れる水の行方」を発売して実質的にメジャーデビューしました。「Re」はメジャー前の2018年3月14日に発売されたフルアルバム「緑黄色社会」の1曲目に収録されました。作詞・作曲はボーカルである長屋晴子さんです。

このバンドはメンバー全員が作詞作曲することもあって、いろいろなタイプの作品を発表されていて、ぼくが何も彼らについての情報を持たない中で、なぜこの曲を選んだのかというと、歌詞に共感するところがあったからだと思いました。「やりなおせないことなんてないさ」という一節が、いまどきにも合ってるなあと感じました。

この作品は歌っている方が少ないのも、ぼく的には興味がありました。ぼくはカラオケ大会で選曲するときも、メジャーな曲ってあまり選ばなくて、逆にマイナーな曲やレアな曲を選ぶことがほとんどです。有名でなくても、自分の感性とか自分の声に合っているとか、共感できるものが歌ってみて見つけられたのなら、人前にこの曲を出して歌ってみたいと思ってしまうんですよね。

さて、「Re」という作品は「挑戦」がテーマになっていると思いますが、何か夢や目標を持って進もうとするとき、大なり小なり壁にぶつかることはあるもので、真面目に取り組んでいるからこそ、なかなか前に進めずに苦しんだり辛かったり、心が折れそうになることもあります。でも悩んで、考えて、やっぱり自分はこの道が好きだから、もう一度やり直してやっていこう。「Re」というのは、英語の接頭辞で「再び、繰り返し」という意味ですが、続けていることを、今後も続けていこうという「決意の瞬間」なのかなと思います。ぼくの場合はそれが音楽なのかなと思います。歌もなかなか上手くは歌えません。実は「Re」というこの曲もまだ上手くは歌えません。でも何回も練習していくなかで、徐々に歌い方がこなれてきて、歌と歌詞とメロディーが次第に融合してくる箇所が1カ所、2カ所と増えてきて、歌が成長していくんですよね。そういうところが面白くて、ぼくは歌うことが大好きですし、練習したことは必ず実を結ぶと信じています。それでDAM★ともを始めてから多くの作品を歌えるようになったわけですから。

 


緑黄色社会 / Re

手紙

カラオケが大好きなぼくですけど、歌番組はあまり見ていなくて、よく見ている番組がBS朝日で毎週土曜日の19時から放送されている「人生、歌がある」という番組です。この番組を見ていると、歌手の方が歌について自分の考え方を語ってくれる場面があったり、トリビュートする歌手の曲を他の歌手が歌うのがこの番組のメインでもありますが、歌を練習しているぼくにとっては学ぶことが多い番組です。

先週11月14日の放送では、林部智史さんが出演されることを当日に知って、何を歌われるのかチェックしていたら、その1曲に神野美伽さんの「手紙」という曲が書いてありました。

神野美伽さんといえば、代表曲の「男船」のように男勝りの威勢のいい歌を歌われるイメージがあって、その神野さんの曲を林部さんが歌うイメージが浮かばなくて、「手紙」とはどういう曲なのか、番組の放送数時間前にチェックしたのがこの動画でした。


手紙 神野美伽

いい意味で、ぼくが神野さんに持っていたイメージをぶち壊してくれた、とっても心にじんとくる歌でした。この作品は2004年6月23日に神野さんの32枚目のシングルとして発売されました。作詞は荒木とよひささん、作曲と編曲は宮川彬良さんです。宮川さんは作曲家宮川泰さんのご子息であり、ミュージカル音楽を手掛けているイメージが強いですが、松平健さんの「マツケンサンバII」を作曲されてもいらっしゃいます。荒木さんは数多くの演歌・歌謡曲の大ヒット曲を作られた作詞家ですが、神野さんとは1999年から2015年まで結婚していました。この「手紙」の歌詞は、主人公の男性がおそらく死ぬ前に、見送る妻への置き手紙のような内容で、当時2人は結婚していましたから、荒木さんが神野さんに話すイメージで作ったのかなとも考えました。「ボクがもしも死んだなら 悲しいけれど少しづつ 忘れていいよ ぼくのこと」とか「雲の上で 母さんに 君のことを 伝えるよ」という歌詞には、本当は忘れて欲しくないけど、君には幸せに生きてほしいという、主人公の愛の深さを感じました。それと、この曲は切々と、言葉を選ぶようにしてゆっくりと歌う曲なので、こぶしをまわしたり、うなりを上げることもなく、素直に歌っていくことで、じわじわと心に響く曲なのだなと思いました。そして、この曲調だからこそ林部さんとベイビー・ブーさんが、番組では歌うことになったのだなと思いました。

そして、この日の放送は神野さんがトリビュートゲストであり、他の歌手が次々と神野さんの持ち歌を歌っていきました。この番組で司会を務めている中澤卓也さんは「カモメお前なら」を歌っていました。中澤さんは毎週、トリビュートゲストの持ち歌で、割に難しめな曲を歌わされていますけど、本当は畑違いな曲でもソツなく歌いこなしてみせるなあと感心します。

コーナーの中盤あたりで、林部さんとベイビー・ブーさんが登場して、「手紙」のイントロが流れたとき、神野さんは「ええ、この曲誰が歌うの?」みたいな驚いた表情を見せました。この日の林部さんは、この曲を歌う前、後方でもどこか緊張されているような表情を見せていました。もともと歌への感情移入を強く持たれる方なのかなと思っていますけど、1コーラスを歌ったところでも、ちょっと感極まっているのかなと思うところがありました。ベイビー・ブーのリードボーカルの桜井貴之さんもTwitterで「こみ上げるものを抑えて歌いました」とコメントされていました。歌詞が夫が妻に話す言葉なので、男性が歌う「手紙」もまた感動がありました。歌っている途中で神野さんが涙を流す一幕もありました。

この曲はDAM★ともにも入っていたので、さっそく歌ってみて公開に出してみました。この曲は中低音だけで構成されているので、高音の盛り上がりはありませんけど、十分にいい音楽が出来上がることが認識できた、とてもいい作品でした。

まだ世に広く知られていない素晴らしい作品を歌って伝えるのも、音楽を愛するものにとっては大事なことだと思いました。


手紙 林部智史・ベイビー・ブー

冬のあとがき

カラオケに行ってDAM★ともをやっていると、歌う曲を予約していない間は、部屋のモニターの画面ではDAM CHANNELが放送されます。ぼくはいつも次々と歌う曲を入れていくので、DAM CHANNELはあまり見ないことがほとんどなんですけど、最近はカラオケの部屋に行って、カラオケアプリに投稿する作業もやっていて、DAM CHANNELも珍しく見ていました。11月のゲストでぼくが見たのは、アイビーカラー、緑黄色社会、YOASOBI、神はサイコロを振らないの4組でした。この4組の会話を聞いていて、不思議と彼らの歌を聴いてみようと思いました。真っ先に聴いたのがアイビーカラーの「冬のあとがき」という曲でした。イントロを聴いた瞬間、「すごくいい曲だな」と思い、ぼくが歌ってみたい冬ソングに加えたいナンバーになって、最近は毎日リピって聴いています。

アイビーカラーは2016年に大阪で結成された、男性2名女性2名の4名からなる、ノスタルジックピアノロックバンド、だそうです。男性はボーカルとギターの佐竹惇さんとドラムの酒田吉博さん、女性はキーボードの川口彩恵さんとベースの硯奈緒さんです。バンド名の表記はibeCALLER となっていますが、決して消えることのない君への愛(アイビー=永遠の愛)を描く繊細で切ない感情を強く発信する(発信者=CALLER)という意味からだそうで、なかなか凝ってます。

ピアノとコーラスをメインに入れているのも、ノスタルジックという立ち位置での表現を目指すのだと思いますが、ぼくが聴いて思った彼らの魅力は、肩に力が無理に入っていなくて、等身大の自世代の感情を表現できていることなのかなって思いました。ボーカルの佐竹さんの、こちらも無理に力の入っていない歌声が魅力的だと思いました。「離れてどれくらいかな 別れてどれくらいかな」と囁くような語るような佐竹さんの歌声は、繊細で切ない感情を表現できる声質を持っているなあと思いました。

彼らは2020年11月25日に4枚目のミニアルバム「WHITE」を発売する予定で、このアルバムのリード曲として収録されているのが「冬のあとがき」で、作詞と作曲は佐竹さんがされています。

DAM★ともでは既に歌えるようなので、さっそく練習してみたいと思います。

 

 


アイビーカラー【冬のあとがき】Music Video

点描の唄

曲に対する第一印象というのは、ぼくが初めてその曲を聴いたときに歌った方の歌の印象に影響されることが結構あります。ぼくはDAM★ともやカラオケ大会やカラオケアプリなど、アマチュアの方の歌を聴くことが多いので、そこで初めて聴いた曲は、オリジナルの歌手の方の曲はまだ聴いていないので、歌った方の歌の印象で、歌に対する好き嫌いも出てしまいます。歌がすごく上手い人に結構ありがちなんですけど、歌っている自分のアピールが強すぎるのか、「私って難しい曲をこんなに上手く歌いこなせるのよ」みたいなオーラを出している歌とか、「ぼくはこんなに高音を歌いこなせるんだぞ」みたいなオーラを出している歌とか、割と聴く機会があるんですけど、ぼくはそういう歌が苦手なんですよね。だから、その方が歌っている曲も敬遠してしまうようになってしまいます。

先日、フォロワーさんから「1コーラスコラボして」と誘われた曲が「点描の唄」という曲でした。この曲も、歌の上手さだけをアピールしている、何となく好きになれない歌い方の歌を聴いたことがあった曲でした。でも、このフォロワーさんがソロで歌ってた「点描の唄」は、朴訥げに歌いつつ、どこかに心の暖かさを感じられる歌声でした。ぼくはこの曲をそれまで歌ったことがなかったんですけど、この人とならコラボしてもいいかなという気持ちになったので、まずはオリジナルの曲を聴くことにしました。

「点描の唄」は、男女5人組のロックバンドであるMrs. GREEN APPLE(ミセス・グリーン・アップル)が、2018年8月1日に発売した7枚目のシングル「青と夏」のカップリング曲として収録されました。作詞・作曲・編曲はこのバンドのボーカルを務める大森元貴さんです。「feat.井上苑子」とクレジットがあるように、この作品は井上さんと大森さんが歌でコラボレーションをしています。フィーチャリングというのは、他のアーティストの作品に参加する場合に使われる言葉です。

「青と夏」は2018年に公開された映画「青夏 君に恋した30日」のために書き下ろされた作品で、「点描の唄」もこの映画の挿入歌となっています。映画のテーマがひと夏の恋心なので、映画の主人公である理緒と吟蔵の距離感が、井上さんパートと大森さんパートで上手く表現されているなあとわかりました。お互いに告白はしていないけど、お互いに「私はあなたを好いている」ままでいて、心の叫びが歌になっているわけです。

井上さんと大森さんのコラボ自体は音の高低が逆転するところもあったり、結構難解なコラボだと思いました。すぐに合わせられるメロディーではありませんでした。

さて、この作品は男性と女性のコラボなんですが、ぼくとフォロワーさんは男同士で、この作品でコラボが成り立つのか、ちょっと疑問もあったんですね。でも、「点描の唄」を男同士で綺麗にコラボしている動画もあって、こういうのもありなのかなとちょっと納得しました。

 


点描の唄を男子高校生2人が歌ってみた

ぼくは井上さんパート。声域が高すぎて、半分以上ファルセットでしたが、1コーラスでしたので、思ったほどボロボロにはならずに、聴けるぐらいには何とか収めることができました。

上の動画の男子高校生みたいな綺麗な声は出ませんけど。

コラボした後、「点描の唄」をソロで、キーもかなり低くして歌ってみてもいい雰囲気が出るかもしれないと思いました。ぼくもやっと、この曲が好きになりそうです。

 


【男性キー(-6)】点描の唄(feat.井上苑子) / Mrs. GREEN APPLE【ピアノカラオケ・ガイドメロディ付】映画「青夏 きみに恋した30日」挿入歌

 

 

 

 

四畳半の蝉

11月に入りました。今は暑くもなく寒くもなく、体を動かしやすい季節です。今日は文化の日ということで、ぼくもカラオケや音楽の活動に勤しみました。

ぼくがカラオケで歌う曲は、ジャンルが割と広めでして、演歌も歌謡曲もジャニーズもポップスもロックも歌いますし、男性歌手の曲だけではなく、女性歌手の曲も歌います。

長時間同じ曲とか、同じジャンルの曲とか歌っていると飽きてくるのもありますけど、新しい曲を探して、自分との相性を確かめたり、色々なジャンルの曲を歌ってみて、自分のこのメロディーの歌い方はどこで不安定になるかを確かめたりしています。違う曲でも音階やフレーズが似ている曲ってあるんですよね。

そういうわけで、ぼくは女性演歌歌手の曲も歌ったりします。あさみちゆきさんの「聖橋で」は、カラオケ大会でも何回か歌いました。因みに、「あさみちゆき」さんは、苗字が「あさみ」で、名前が「ちゆき」です。

あさみさんの作品は、CDセールス的には大ヒットはありませんが、井の頭公園でのストリートライブや、阿久悠さんの晩年の作品を歌われたことから、強く印象に残るものが多いです。カラオケ大会でも「聖橋で」の他に「鮨屋で…」や「新橋二丁目七番地」などいくつかの作品が歌われています。

ぼくは「聖橋で」しか知らなくて、他のあさみさんの作品も歌ってみたいと思い、見つけた曲が「四畳半の蝉」という曲でした。この作品は2017年2月22日にあさみさんの20枚目のシングルとして発売されました。作詞は結木瞳さん、作曲は山崎ハコさん、編曲は伊戸のりおさんです。伊戸さんは、千葉テレビで放送している「カラオケ大賞」で審査委員長を務めていて、朗らかなトークの印象が強いんですが、こんなに暗い曲のアレンジも作られるんですね。

この作品は第50回日本作詩大賞で新人賞・最優秀賞を受賞しましたが、もともとはあさみさんが歌うための歌詞を募集したところ、約2,000通の応募があり、その中から結木さんが作られた「四畳半の蝉」が選ばれました。あさみさんは歌詞を読んで物悲しい内容に衝撃を受けたそうですが、暗くマイナーなメロディーをよく歌われていることもあり、歌えることにはワクワクしたそうです。

詞の内容は、男性に捨てられた女性が、部屋の隅で布団にくるまり、蝉のようにじっとしている様子を書いています。究極の悲しみを受けた女性は、ただひたすら悲しみに耐え忍ぶという救いがない状況です。作曲した山崎ハコさんはこの作品について、「ストリートライブで歌っている感覚ではなく、四畳半の中にいることを忘れずに歌って欲しい。それと、リズムを崩すことなくしっかりと歌って欲しい」と、あさみさんにアドバイスしたそうです。

ぼくはこの歌詞を読んで、これって失恋した女性だけにあてはまることではないなと思ったんです。今の日本は全世帯の3分の1が1人世帯と言われていて、辛いことや悲しいことがあったときに、この主人公のように耐えている人たちは他にももっといるのだろうなと。そういう生き様に焦点を当てて、悲しみに寄り添えるのもまた、歌が持つ力なのだと思います。

ぼくもハコさんのアドバイスに従って、DAM★ともで歌ってみたら、歌えていない箇所もあったのに、いきなり96点が取れました。さすがはプロのアドバイスですが、この曲、常に気を張って雰囲気を作らないといけないのが難しいです。

最近ご本人の動画はNGが多いので、この作品のカラオケを貼ります。

あさみちゆき【四畳半の蝉】カラオケ

こちらは演歌男子Shinさんが「四畳半の蝉」を歌っている動画。ぼくがShinさんのことをこのブログで書いた当時は、YouTubeのチャンネル登録者数が12,000人でしたが、今現在で49,700人。Shinさんの歌声が多くの方に広がっているのが嬉しいです。


四畳半の蝉 / あさみちゆき cover by Shin

歌うま

10月も今日でおしまいですね。ぼくは歌のこととか、音楽のこととか、毎日考えて楽しんでいる生活に変わりはないんですけど、自分の歌についてあれこれと思いを巡らせることが多かった、この10月でした。

歌が上手い人を「歌うまさん」とSNSとかでは言ったりします。その中でも、特に歌が上手い人は「歌の化け物さん」と言われたりします。「歌うまさん」って世の中にはたくさんいらっしゃいます。ぼくでさえ「歌うまさん」扱いされてるんですから。

今月ぼくが参加したカラオケ大会は、全国から「歌の化け物さん」が多数集まる大会でした。それだけに審査員の審査も厳しいものでした。プロの方は、「歌うまさん」だろうが「歌の化け物さん」だろうが、アマチュアとしては一括りで見ます。審査の総評として言われるのは、「脱『上手い歌』を目指しなさい」というものです。出場者が歌が上手いというのは同じなので、ここでの差はつかなくて、当日の歌の些細な箇所のミスとか不足で、入賞するかしないかが決まってくるわけです。もう1つは「皆さん歌いすぎています。もっと語ってください」というものです。ぼくも審査員の皆さんから寸評で書かれた点がこのことでした。自分としては結構語るように歌っていると考えていましたけど、「欲を言えばここの歌詞のところは、私的には語って欲しい」とか「まだ歌いすぎています」とか書かれてしまいました。ぼくとしては自分が考えている歌で他のカラオケ大会では入賞したこともありましたので、歌っている作品へのスタンスとか崩れてしまいそうになりますし、心も揺れ動いたりしました。

カラオケ大会が終わって、ぼくがよくおじゃましているお店で、初めてご一緒したお客さんにもぼくのその歌を聴いて頂きましたけど、「いい歌ですよ。どこが悪いんですか」とお世辞抜きで言って貰って、少し折れていた心が取り戻せました。

ぼくたちがプロの歌手の歌を好きだ嫌いだとか勝手に思っているのと同じように、ぼくの歌を良く思わない人もいれば、褒めてくださる人もいるのは十分わかっているんですけど、なかなか割り切れないときもたまにはあります。

「上手い歌」を脱して目指すのが「いい歌」なんですけど、「いい歌」ってどういう歌なんだろうって、いつも考えたりします。

昨日もそのお店に言って、初めてお会いする多くのお客さんとご一緒しまして、ご高齢のお客さんから「何か歌って」と言われたので、若手のお客さんだったぼくを含めて3人が、演歌や歌謡曲を歌いました。ぼくは若手の演歌歌手の曲を何曲か歌ってみまして、どういうふうに反応してくれるかなあと思いながら歌いました。ご高齢のお客さんたちからは、「その歌手もその曲も知らないけど、お兄さん上手いよ。いい声してるよ」と言われて、その優しさに感謝して嬉しかったです。お店でお客さんは会話を楽しんだり、お酒を楽しんだりしているのがメインなわけで、そういう環境で歌を歌って見て、お客さんが何だかぼくの歌に耳を傾けてくれていたり、体で乗って聴いてくださったり、拍手したり声を掛けてくださる歌は、いい歌が歌えたのだろうと思っています。

ご高齢のお客様が帰られて、残った3人で、今度はヴィジュアル系ロックやポップスに変えて順番に歌ってましたけど、他のお2人は高音の伸びに強みを持つ上手い人であり、どの声域も厚みのある声に強みを持つ上手い人でした。ぼくはもともと高音の声域は地声が出なくて裏声じゃないと歌えないので、歌える2人のお声が羨ましくも、逆にぼくはどんな強みを持ったらいいのかなあと考えてしまいました。ママさんは「あなたもいい歌を歌っている。それぞれ皆さん違う上手さなのよ」とぼくを励ましてくれました。

この後、ご常連のお客さんが来られたんですが、事前に歌は上手くないという話を聞いてたんです。それでその方の歌を何曲か聴いたんです。確かに音程はかなり合っていない。でもリズムにはちゃんと付いていっていました。だからぼくはその方に「リズム感がいいですね」って申し上げました。ぼくはお世辞は言わないんです。それで前半の高齢者のお客さんの歌声とあわせて、気づいたことがあったんです。どの方も歌う曲は気に入っていて、その曲を歌おうという気持ちが強くあって、音程やリズムが合っていないところがあっても、伝わるものってあるんですよね。

翻って、ぼくはカラオケ大会という業界に足を踏み入れてしまって、歌い方の技術を向上させることや、歌の聞き心地を重視する考え方に縛られてしまって、変に中途半端にカッコつけた歌になってはいないかなあって思うことがあります。歌って、もっとストレートに、何も考えずに、歌えるのが結果としてはいいと思います。楽しく歌うことは忘れてはいませんけど、テクニックを越えた先の歌を、1曲だけでも歌えるようになりたいなあと思います。

 

 

 

大空を舞う

最近、音楽活動も少しずつ、再開してきているなあと感じています。ぼくもこの数ヶ月、放置していたことを、動作確認も含めて、再開したこの1週間でした。

再開した1つは、nanaというカラオケアプリで、ユーザーさんが演奏等して作った音源に、ユーザーさんが歌うしくみで、演奏時間は1分30秒以内となっています。たまたまフォロワーさんたちも久しぶりに投稿していて、その1人がアニメのオープニングを連想させるような、壮大な雰囲気のあるサウンドを投稿していました。

その作曲家さんが「歌詞はまだ付けてないので付けていただくと喜びます」とコメント。ぼくもそれを見て「それなら歌詞を書いて見ようかな」と急に思い立って、今まで書いたこともない作詞を、誰にも頼まれていないのに、やってみることにしました。

今回はできた曲に詞を付けますので、いわゆる「曲先」になります。付けられていた曲の題名は「ダンセダンルシエル(Danser dans le ciel)」とフランス語で、「大空を舞う」という意味のようでした。でもどこから手を付けたらいいのかがわかりません。曲を聴いて、本能のままに口から言葉を発していくことを何回か繰り返しました。最初に口から出た言葉は「ふたり 紡いでいた ときのは こぼれ落ちて」うーん、何のことだろうか。これがインスピレーションなのかなと思いながら、ぼくは何を作りたいのかなと問いかけながら、さらに何回も曲に言葉を乗せていくことを繰り返しました。

何回も繰り返して歌っていくと、曲の構成も見えてくるようになりました。4フレーズから構成されていて、起承転結の流れがベースにはありました。ただ、4フレーズとも入りのメロディーはほぼ同じで、各フレーズの終わりのメロディーのところで起承転結を表現しているんだとか、徐々に見えてきました。ぼくはこうやって歌ってみないと、作曲家さんの意図が見えませんけど、プロの作詞家さんはこういうことやらなくてもわかるんだろうなあ(苦笑)。

壮大なメロディーだったので、歌詞にもドラマチックな展開があるといいなと思いました。作曲家さんがX JAPANやL'Arc-en-Cielを頭に描かれていたようだったので、ぼくがイメージしたのがヴィジュアル系のロックバンドで、彼らがメジャーデビューの記念ライブを行うその日に、過去を振り返りつつ、ステージで思うことを歌詞にしてみようと思いました。

それで言葉をメロディーに合わせていくんですけど、こういうのって俳句や短歌と同じで、制約された文字数の中で、どうやって曲のイメージを言葉で表現しきれるのかって勝負なんだなとわかりました。ドラマをわずかな文字数で凝縮していく作業なんですよね。

やっとのことでできた歌詞を、曲の音源に乗せて何回も歌っていきました。いわゆる仮歌みたいなことです。そうやっていくと、歌っててしっくりこない箇所がいくつか気づきました。今まで「流れる」で歌ってたけど、「こぼれる」で歌った方が語感も合うのかな、みたいな感じでした。

歌詞を調整して確定できて、曲の音源にぼくの歌をコラボしてみました。上手く歌ってみようというカラオケでの感覚とは違って、「こういう言葉を乗せて、こういう気持ちで歌ってみましたけど、どうでしょうか」と作曲家さんに伝えようという感じで、TAKE8ぐらいで感触が掴めたので、その音源を投稿しました。何だかこれってデモテープなのかな(笑)。

作曲家さんはすぐにぼくの音源を聴いてくださって、「ぼくもこういう詞を作りたいと思ってました」とコメントして頂き、ぼくが作った歌詞や音源も紹介して頂きました。イメージが違っていたら、ぶち壊してしまったらどうしようかなと心配しましたけど、「イメージに合ってます」と言ってくださったので、ホッとしました。実はこのメロディーはぼくには声域が高すぎて、ろくに歌えていないんですけど、nanaをやり始めて一番リアクションが多いので、ちょっと驚きました。こういう曲が好きな方って多いんだなということもわかりました。

ぼくが日頃歌っているカラオケでの作詞や作曲や編曲って、ものすごい労力をかけて作っているんだということが、自分がこうやって詞を作ってみて、改めて実感しましたし、だからこそ、歌詞やメロディーをもっと大切に歌わなきゃいけない、と身が引き締まる感じがしました。

思わぬ作詞デビューでした。勝手に言葉を並べた歌詞もどきを記録に残しておきます(笑)。

 

あの日 傷ついてた ぼくらは 夜の海で

鳥のように 悲しく ただ泣いてた

こぼれる涙は ただ夢を 信じてた

時はもう 走り始めて 壁はもう 乗り越えていた

心に見た 夢の証しを 空に羽ばたかせ 放つんだ

この世界で ぼくらはずっと 生きてゆくと

ただ信じてくれた みんなに 今この前で 誓いました

この大空に ぼくたちの歌は

舞い上がり 奏でるようさ

(「ダンセダンルシエル(Danser dans le ciel)」作詞 たくと♪)