ぼくはカラオケで歌う新しい曲を常に探していますけど、ユーザーさんが歌われている曲がヒントになることが結構あったりします。最近、ヴィジュアル系バンドの曲を聴く機会がありまして、その中で気になった曲が、MALICE MIZER(マリスミゼル)の「月下の夜想曲」という曲でした。
ヴィジュアル系バンドの定義は難しいんですが、主に男性のロックバンドで、化粧とか衣装を含めたファッションで、作品の世界観を表現していたバンドをいいます。かつて、L'Arc-en-CielのHydeさんが、ヴィジュアル系と紹介されたことに腹を立てて、NHKの「ポップジャム」の収録を拒否した事件もありましたけど、1990年代の日本のロックバンドはL'Arc-en-Cielも、LUNA SEAも、X JAPANも、GLAYも多分にヴィジュアル系的色彩は一定に持っていたと思います。歌謡史的にはヴィジュアル系四天王と呼ばれたのは、SHAZNA、La′cryma Christi、FANATIC♢CRISIS、そしてMALICE MIZERの4組でした。MALICE MIZERは世界観の構築への拘りが徹底していて、彼らが活動していた時期にぼくも彼らの音楽に踏み入れるのを躊躇っていました。
「月下の夜想曲」は1998年2月11日に彼らのメジャー3枚目のシングルとして発売されました。当時のボーカルはGACKTさんで、MALICE MIZERが最も脚光を浴びた時期であったと思います。作詞はGACKTさん、作曲はギターのKoziさんが作られました。演奏に出てくるアコーディオンはcobaさんに依頼して一発録りしてもらったそうです。歌詞は童話を思わせる展開で、少年が森の小屋に行って見つけたピエロを抱いて屋敷に行って、そこにいた少女の人形とピエロは互いに見つめ合い、今日が最後の夜だからと踊り明かすという内容で、彼らのパフォーマンスにおいても、Koziさんが赤い衣装のピエロに扮し、Manaさんが青い衣装のフランス人形に扮して、舞台でも強烈な印象を与えています。
ぼくはリリースして22年が経ったいま初めて、この作品をしっかりと聴きましたが、中世のヨーロッパを思わせるような、どこか耽美的で、どこかクラシカルなものを感じて、ロックでも歌謡曲でもないような新しさがそこにはあったんだなと思いました。そして、ぼくはこの曲を歌ってみたいと思います。できたら、踊ってもみたいような。