DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

delete

ぼくはカラオケで歌うときに、喉に負担をあまりかけないような歌い方で歌うように心がけています。そう考えるようになったのは、一人カラオケヒトカラ)を始めた頃、何時間も全力で歌うことを毎週続けていたら、喉が痛くなったり、声がかすれたりということが続いたことがきっかけでした。病気にはなりませんでしたけど、歌いたい気持ちがあるのに、喉や声の調子が悪くては気持ち良く歌えないから、歌い方を改めようと、喉の痛みを治す薬や、喉に良い飲み物を口にしながら、ちょっと反省したものでした。

喉や声は消耗しますので、プロのボーカリストも、スケジュールが多忙な時期に全力で歌うステージが多かった影響で、声帯ポリーブを手術したり、あるいは経年劣化で高音が出にくくなったりしている方は多くいらっしゃいます。そういう声の悩みにぶつかったボーカリストさんって、ぼくも歌うことを趣味にしているので、すごく気になります。そんな気になるお1人がロックバンドのシドのボーカリストのマオさんです。

マオさんはハードなボイストレーニングから2012年頃に喉を壊しかけて、2013年にはメニエール病も発症して、でもその辛い状況を公表せずにステージを無理して続けていたら、声帯ポリーブの診断を受けてしまい、2014年に手術をされたそうです。それでもファンや周辺からマオさんの歌に心配の声が大きくなって、2015年に一連の病状について公表をされました。そこから、ボーカリストとしてのご自身の声を探していく努力をされたようなんです。ぼくはシドの曲を聴くようになっていた中で、最近の曲はどういう歌い方をしているのかなと思って聴いた1曲が「delete」という曲でした。

この作品は2020年3月4日に彼らの24枚目のシングルとして発売されました。作詞はマオさん、作曲はベースの御恵明希(Aki)さんです。シドの作品というと歌謡曲の雰囲気をベースにしたロックが多い印象ですけど、この作品はアニメのオープニングソングに採用されたこともあって、ロックを前面に出した疾走感のあるサウンドが印象に残る感じでした。

タイトルの「delete」は「削除する」という意味ですが、マオさんは「前に進むために何かを消すのは大事なことというか、当たり前だと思っているんです。抱えすぎていて前に進めなかったり、“こういう自分になりたいけどなれない”とか自分の考えにとらわれていたら、1回消しちゃえって。そういうメッセージを込めていますね。自分の体験談でもあります」と意図をコメントされています。その上で、希望を持ったメッセージソングにされたそうです。

「delete」を聴いたとき、これまでの作品よりも音域が少し低いのかなとは思いましたが、新たなシドの一面を、低音の安定度が増したマオさんのボーカルが、メンバーの演奏と融合している印象を持ちました。ヴィジュアル系バンドからスタートした彼らは、今はメイクもせず、アーティストとしての音楽を表現するカタチに変わったわけで、そういう彼らの成長をファンが受けとめるのかどうかということなんだろうと思います。実はこの作品はセールスとしては歴代の作品に比べて良くはありませんでした。でも、セールスの多寡が作品の質の良さを示す訳ではなくて、彼らが今後10年、20年の自らの音楽活動の姿を見据えての道筋であるなら、根気強く続けていくのもまた音楽の道であろうと思います。

ぼくも自分の歌を成長させたいと思うなかでは、成功体験とか失敗体験にいつまでもとらわれないのが肝要なのかなと思うようになりましたし、失敗は反省して改善に行かせばいいですし、成功もその時は良かったというだけであって、別に勝利の方程式ではないので、また別のアプローチで良い結果が出るのか研究する、頭や発想を切り替えれば新たなアイデアが浮かぶのかもと考えています。にしよう上で決めたことであれば、人気が全盛だったことに歌い過ぎたています。


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