DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

正義の味方はあてにならない

ぼくがDAM★ともでお気に入りにしているアーティストのSMAPSMAPは男性アイドルグループとしての活躍のレベルを超えて、国民的グループとして幅広い年代からの支持を集めたことは、日本の歌謡史においても特筆すべき存在であったと思います。

そんなSMAPは、デビュー当初はジャニーズ事務所内部では、先輩アイドルたちのスタートダッシュと比べて「期待外れのグループ」としての烙印を押されていました。SMAPのシングル全曲の中で最もチャートの最高順位が低かったシングルが、2枚目のシングルとして1991年12月6日に発売された「正義の味方はあてにならない」という曲でした。
デビューシングルの「Can't Stop!!-LOVING-」はオリコン最高2位で、15万枚のセールスでしたが、この作品はオリコン最高10位で、12.9万枚のセールスでした。ちなみに、最も売れなかったシングルは4枚目のシングル「負けるなBaby!~Never  give up」で、オリコン最高5位、9.5万枚のセールスです。

「正義の味方はあてにならない」は、作詞が小倉めぐみさん、作曲が馬飼野康二さん、編曲が新川博さんです。小倉さんは南野陽子さんの「はいからさんが通る」や「楽園のDoor」への作詞提供もありますが、その後のSMAPの大ヒット曲「がんばりましょう」や「たぶんオーライ」の作詞を提供するなど、初期からブレイクまでのSMAPへの作品に関わってこられました。馬飼野さんは多くの歌手への楽曲提供を行ってきたヒットメーカーですが、歴代のジャニーズ事務所の歌手への楽曲提供も行っており、SMAPの初期からブレイクまでの作品として、「オリジナルスマイル」や「しようよ」などのヒット曲を提供されています。新川さんはハイ・ファイ・セットのバックバンドとしてプロデビューされた方で、松任谷由実さんのステージの音楽監督としてツアーに参加した後、本格的な編曲活動を行ってこられた方で、ジャニーズ事務所では光GENJIへの楽曲提供を行ってきました。新川さんのお仕事の履歴を拝見しましたが、Kinki Kidsの「青の時代」、堂本剛さんの「街」、荻野目洋子さんの「六本木純情派」、1986オメガドライブの「君は1000%」など、ぼくの興味を惹く作品がいくつも出てきてびっくりしました。

それで今再び、「正義の味方はあてにならない」を聴いてみると、そんなに売れなそうな歌には聞こえませんでした。デビュー曲「Can't Stop!!-LOVING-」が、ジャニーズ事務所の可愛い男性アイドル路線の無難な曲とすると、この作品は今から思うと、その後のSMAPの大ヒットに繋がる萌芽だったのかなと思います。当時の先輩アイドルだった光GENJIや少年隊がとても歌わなそうな、ぶっとんだ面白い歌詞に、かっこよさを売りにしない曲を、当時のビクターの人たちが採用したことに先見の明があったなあと思います。1980年以降のスーパーアイドル歌手が輩出され活躍した時期がピークアウトし、アイドルそのものが飽きられてきた頃でもあり、芸能事務所やレコード会社はアイドルのプロモーションの方向転換を模索していた時期であったし、視聴者やファンはまだ新しいアイドル像を受け入れられる体制ではなかったからこそ、SMAPはデビューしてから数年は苦戦を強いられてしまったのだと思います。

昔の動画を振り返って思うのは、SMAPは、今のジャニーズ事務所のアイドルグループと比べても、個々の存在感があったんだろうと思います。


正義の味方はあてにならない


正義のみかたはあてにならない


テレ東音楽祭SMAPデビュー2曲目正義の味方はあてにならない

最近は、「SMAP」という言葉を使ってはいけない旨のジャニーズ事務所からの通達があるやに聞いていますが、テレビ東京は上記の動画のように、SMAPの、しかも「正義の味方はあてにならない」の映像をしっかりと流しています。この番組にはジャニーズ事務所のタレントも出演していましたが、しっかりと放送しました。NHK香取慎吾さんをニュースで紹介するときに「元SMAP香取慎吾さん」とニュースでアナウンスしました。それにひきかえ、最近TBSで放送された「歌のゴールデンヒット」という番組は、「年間売上げ1位の50年」と銘打ちながら、見事にSMAPの「世界に一つだけの花」だけを省略し、SMAPに触れない放送を行いました。ジャニーズ事務所に忖度したとしか思えません。しかし、日本の歌謡史を支え、記憶に留めているのは、それぞれの歌手や歌を支持した我々大衆なのであり、一芸能事務所がその歌手を毛嫌いするからといって、日本の歌謡史から抹消することはできません。できもしないような無理筋な番組に仕立て上げたから、ネットで炎上騒ぎになっているのは、起こるべくして起こったまでのことだと思います。