DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

音楽のともしび

いま世界は新型コロナウイルスの惨禍の中にあり、各国がそれぞれの状況に応じた対応を模索しています。そういった状況の中でも、特にヨーロッパ諸国は、音楽を含めた文化・芸術については、「平時だけではなく、どんな状況にあっても守られるべきものである」という考え方に、政府も国民も立っていると思います。例えば、感染者数の多いイタリアでは、外出禁止の命令が出ている中でも、アパートのベランダ越しで、住民たちが演奏を行ったりして、それを見ている住民たちも微笑ましく応じているなど、生活の中で音楽を楽しもうとする姿勢が十分に感じられました。そして、音楽も含めた文化・芸術活動で生活ができない国民に対して、金額の多寡はあるものの、経済的支援をほとんどの国が実施すると表明しています。

一方、日本では、残念なことですが、音楽を含めた文化・芸術活動が守られるどころか、逆にスケープゴートのようにされている印象が否めません。たまたま大阪府のライブハウスで新型コロナウイルスの感染者が出たことをきっかけに、「ライブハウスで活動するやつはとんでもない」といった、音楽活動があたかも新型コロナウイルスの病原菌の発生元であるかのようなマスコミの報道がなされました。大阪市の松井市長は「ライブハウスは感染源ではない」などの事実に基づいた発表をしてくださりましたが、こういう話は報道されません。

ぼくもカラオケで楽しんだり、カラオケ大会に出たりしていますから、「音楽やっていて感染しないのか」のようなことを言われました。新型コロナウイルスの主な原因は接触感染と飛沫感染にあると言われていますが、カラオケは基本ヒトカラで楽しんでいますし、カラオケ大会についても、飛沫や接触を避ける一挙一動を厳密に管理して、空気感染の可能性は低いとの見解はあるものの、換気状態を良好な状態に保っていれば、これはどのようなイベントについても、開催可能であると考えています。

一蓮の報道を真に受けて、音楽を無意味に批判する方たちには、おそらく感染への恐怖心が勝っているのだと思います。それは各人の感情のことですから、そうなんだと思いますが、ライブハウスにいったこともなく、カラオケに行ったこともない方々が、現場の状況も確認したことがないのに、見てきたようなことを言わないで頂きたいとは感じています。

ぼくは音楽が好きな人間で、歌うことも好きな人間ですから、音楽の実現を守っていくという考え方に立っています。ですから、どのような状況にあろうとも、その実現の可能性はとことん探っていきます。もちろん、ぼくとは違う考え方の人も多数いらっしゃいますけど、人様に感染の迷惑をかけないという前提があって、自粛する自粛しないの判断はあって然るべきだと考えています。

少なくともカラオケチェーンの店舗を回りましたが、感染防止の対策をしっかりと実施していることが、どの店舗においても感じられましたし、ヒトカラで楽しむ分には安全上の差し支えはないものと思います。

いわれなき槍玉に上げられた音楽業界の人たちはこういった努力を行っています。少なくとも今の日本では、政府も国民も音楽を大事にしていないと感じています。でも、音楽は人間に安らぎや癒しを与えるものであり、それは人間の精神を大いに支えるものであるとぼくは信じています。音楽の好きなひとたちはいま、活動の舞台をSNSに移して、歌や演奏の動画を配信しています。

先人たちは戦禍や惨禍の中にあっても、時には共に歌い励まし、いくつもの危機を乗り越えて生き抜いてきました。それは日本人も同じです。随分前ですけど、兵庫県豊岡市で洪水が発生して、バスに乗っていた乗客たちはバスの屋根に避難して、すぐ下まで水位が上がっている中を、歌って励ましたというエピソードもあったと記憶しています。そして、阪神・淡路大震災のときも、東日本大震災のときも、現地の人たちがいくつもの歌に励まされ乗り越えてきました。音楽のともしびを消してはならず、守っていくためにぼくも小さな力ですけど応援したいと思います。

 

バイブレーション(胸から胸へ)

先週のBSの歌番組を見たときに、郷ひろみさんをゲストに迎えて、他の出演者が郷さんのヒット曲を歌っていくという企画がありました。

郷さんは1972年8月1日にシングル「男の子女の子」でデビュー以来、2019年5月15日に発売した最新シングル「JAN JAN JAPANESE」まで104枚のシングルを出しています。そして、郷さんは年齢を重ねると共に、違った歌の側面を見せていくことで、エンターテイナーとして長年活躍してきたという意味では、日本の歌謡界では珍しい存在であると思います。

先週の番組では昭和の郷さんのヒット曲に焦点を当てるということでしたので、1970年代の10代から20代前半のアイドル時代のヒット曲や、1980年代に入って大人の歌手になった頃のヒット曲が歌われました。聞く曲が次々とヒット曲であるのも凄いんですが、ということは視聴者としては郷さんの作品には馴染みがあるわけです。だから、視聴者のハードルってある意味高くなっているので、他の出演者の歌手の方が、郷さん本人の目の前で郷さんのヒット曲をカバーして歌うというのは、結構歌いにくい企画なんだと思います。

そういうときに視聴者が期待しているのは、郷さんの歌を上手く歌うことではなくて、その作品のエッセンスはしっかりと伝えつつ、その歌手ならではの味を出すことなんだろうなと思いました。他の歌手の皆さんの歌を聴いていたんですけど、聴いていて少しフラストレーションが溜まるというか、「そういう感じじゃないんだよなあこの曲は」と感じる歌が多かったです。良かったなあと思ったのは新沼謙治さんが歌った「哀愁のカサブランカ」でした。いつもの郷さんのお決まりのスタイルとは違っていて、それはカサブランカではなくて、新沼さんのご出身の大船渡なのかもしれないんですけど、それはそれでいい歌になっているなあという納得感がありました。

さて、ぼくがフラストレーションを感じた1曲が「バイブレーション(胸から胸へ)」という曲で、1978年のヒット曲で郷さんの25枚目のシングルとして発売された作品で、同年のNHK紅白歌合戦ではトップバッターで派手な衣装でパフォーマンスを披露しました。この頃の郷さんは「新御三家」の野口五郎さんや西城秀樹さんが賞レースに参戦していたのに対して、ジャニーズ事務所からバーニング事務所に移籍して、賞レースを戦う基盤とかチームがおそらくなかった郷さんとしては、アイドルとしても歌手としても生き残りをかけて模索していた頃だったと、今から振り返るとそう思うところがありました。郷ひろみとしての華やかさとかカッコよさを試している時期だったと思うんですよね。「バイブレーション」は作詞は島武実さん、作曲は都倉俊一さん、編曲は船山基紀さんということで、アイドルのギラギラさを、まだ当時は無機質な声質だった郷さんの歌声と派手なアクションで絶妙のバランスになっているのかなと思うんですよね。だからこの曲を歌う時は、今の郷さんが備えているギラギラさを持ちつつ、攻めの姿勢で歌って欲しいなと思いました。こういう模索を経たからこそ、その後の「マイ・レディー」や「お嫁サンバ」に繋がったのかなと思います。

ぼくもDAM★ともで「バイブレーション」を歌ってみました。昭和歌謡って作品として引き締まっているし、それば職業作家が作っていた時代からかもしれませんけど、歌詞とメロディーが上手く調和して、視聴者にイマジネーションを起こさせる力が長けていたのかもしれません。説明せずとも、歌の世界が見えてくるような感じなのかもしれません。

 


郷ひろみ バイブレーション〜胸から胸へ〜

優しさの雫

ぼくはカラオケで歌うことが大好きなんですけと、それと同じくらい、他の方が歌っているのを聴くのも大好きです。DAM★ともを続けているのも、アマチュアの歌の面白さというのを感じていて、ユーザーさんたちが好きな歌を気持ちが入って歌っているのは、歌としても理解しやすいと思っています。

また、カラオケ大会で聴く出場者の方の歌というのは、最近調子の良い曲を選んで歌っていることもあり、しかも生歌でもありますので、その方の歌として完成度の高い仕上がりを感じます。目の前でそういう歌を聴いていると、ぼくも今まで歌ったことはないけど、歌ってみたいなあと思う曲が何曲も出てきます。その中で、チャレンジしてみたいなあと思ったのが、UVERworldさんの曲でした。

彼らの曲を歌っている方を今まで3人拝見したことがあったんですが、3人とも歌っているサマがカッコ良かったんです。高音が続くメロディー、パワフルなボーカル、ノリノリな歌の勢いというのは、ぼくがよく歌っている歌とは真逆の世界でした。

ぼくに歌える歌があるのだろうか…。DAM★ともに収録されている曲名を手がかりにして、YouTubeUVERworldさんの曲を聴いていきました。やっぱりパワフルな作品が多かったですけど、その中でぼくの琴線にも合いそうかもっていう曲も何曲か出てきて、この曲を歌ってみたいなあと思ったのが、「優しさの雫」という曲でした。

ボーカルのTAKUYA∞さんがMCで「俺たちが初めて作ったバラードなんだけど、行ってみようか」と話して、サックスのイントロが流れ出すと、観客のファンの皆さんの反応が「歌ってくれるんだ。嬉しい」的な反応なのを見て、きっとこの作品は大切な曲なんだろうなというのが、UVERworldさんのことを何も知らないぼくにもわかりました。

「優しさの雫」は彼らの1枚目のオリジナルアルバムとして2006年2月15日に発売された「Timeless」に収録されましたが、元々は彼らがインディーズの頃に作った作品だそうです。サックスの誠果さんがリハーサル中にフリーでメロディーを吹いていたら、「それいいじゃん、曲にしようよ」と言われたのがきっかけで、制作に入ったそうです。しかし、レコーディングの中で誠果さんのサックスの演奏は「まだメジャーのレベルではない」と言われ、プロのサックスプレイヤーが呼ばれて演奏したそうで、誠果さんは悔しい思いをしたそうです。でも、完成した音源に使われたのは誠果さんのサックス。驚く誠果さんは、TAKUYA∞さんに「下手でもお前のサックスがええねん」といわれ、泣いたそうです。

そういうエピソードがあるように、この「優しさの雫」は歌うのも今までのぼくの経験ではトップレベルの難曲でした。リズムやメロディーの区切り方が独特で、これがUVERworldの音楽の息遣いなんだろうなと思いました。だから10回歌ってみても、雰囲気を掴むのが難しいです。この作品の動画も繰り返し見てますけど、最近漸く曲の流れを落ち着いて掴めるようにはなってきたと思います。TAKUYA∞さんの歌い方も初めてじっくりと見ていますが、ステージングでのアクションとは対照的に、真面目に歌をまっすぐ歌う方なんだというのがわかりました。その上で、歌の世界を表現するためにアクションを要所要所で付けているのだということもわかりました。人に聴かせるレベルになるまではもう一歩ですので、何とか人前で歌えるようになりたい1曲です。


UVERworld - 優しさの雫

花束のかわりにメロディーを

グループでカラオケに行くとき、同じアーティストの同じ曲を歌う「曲かぶり」はないんですけど、カラオケ大会では「曲かぶり」は毎回あるように感じます。先週出たカラオケ大会でも2人が同じ曲というのが2組ありました。そのうちの1曲が清水翔太さんの「花束のかわりにメロディーを」という曲でした。

ぼくは「曲かぶり」をされても、自分の方が上手く歌える自信はありませんので、どなたも選ばないような曲を選びますけど、「曲かぶり」する曲を選ぶ方は、そういう自信を持っている方が多くて、清水翔太さんの曲を選ぶ方は、ものすごく歌の上手い方が多いです。

先週出たカラオケ大会では、1人は当日欠席したので、もう1人の方の歌を聴きましたが、歌で会場の雰囲気を自分の色に染めることができている方でした。ぼくはまだまだそういう雰囲気づくりができないので、歌い方や見せ方についても勉強になることが多いステージでした。

2020年のぼくの歌の裏テーマにしている「歌の食わず嫌いをなくそう」っていう気持ちにスイッチが入って、先週カラオケに行った時に、何回かDAM★ともで「花束のかわりにメロディーを」を歌ってみました。

食わず嫌いなんですけど、ぼくは今まで清水翔太さんの曲にチャレンジする気持ちが湧きませんでした。清水さんの曲を歌う方って、カラオケ大会で入賞する常連の方が多くて、ただそういう方が歌われても、申し訳ないですけどぼくの心に響くものがなくて、それだけ難しい歌なのかなと思っていました。ただ先週聴いた方の歌には響くものがあって、ぼくも歌ってみようかなと思うようになりました。こういうことも歌のチカラなのかなって思います。

先週聴いた方が「友人の結婚式で歌ったことがある」と話されていましたが、この作品のPVも結婚式の場面がテーマになっていて、新郎が新婦のためにピアノを弾きながら歌を歌うシーンとなっています。この作品は2015年10月28日に清水さんの20枚目のシングルとして発売されました。NHKのドラマの主題歌に起用されたからかもしれませんけど、清水さんの作品の中では一般大衆向けなメロディーのわかりやすさがあると思います。

でも歌ってみると随所にR&Bな匂いを感じますし、清水さんはそういう面も見せて歌っているなあと思いました。そして、この曲の解釈って人によって、歌に対するアプローチが違ってくるのかなあと感じました。結婚式の歌というアプローチも1つですけど。ぼくはカップルの2人を見ている友人の男性目線を感じました。ちょっと変わったアプローチかもですが。

歌い方も清水さんの歌い方では余りに難度が高いので、素人としては別のアプローチがあるのかなと思いました。綺麗に歌ってみる歌い方もありますけど、もっとストレートに強い気持ちを表現する歌い方もあるのかなと思いました。そして、難度が上がってきたら、サビのメロディーが何回も登場してきますので、メロディーに違ったアプローチをしてみて、メロディーと遊んでみるというか、ジャジーでグループ感のある歌い方なんでしょうね。そんなことを思いながら、清水さんのライブ映像をみたら、まさにそんな感じでした。


清水翔太 Live「花束のかわりにメロディーを」Live映像

ジェネステ2019DAYー2東京第一会場大会

3月21日、ぼくはジェネステ(NEW GENERATION LIVE STAGE)の2019DAY-2東京第一会場のカラオケ大会に行ってきました。

2月下旬に出る予定だったカラオケ大会が延期となり、3月上旬に出る予定だったカラオケのオーディションが中止となったため、ぼくにとっては今年初めてのカラオケ大会でした。

カラオケ大会でしっかりと歌うためにいっぱい練習をしていたので、延期や中止の連絡を受けた後はモチベーションが寸断されました。

これはぼくの考え方ですけど、感染症であれ何であれ、対策をしっかりと施せば、イベントは安全に実施できると考えています。とりわけ、最近の音楽に対する、まるで音楽がコロナウイルスを発生させているかのような一連の報道に対しては疑問を持ちました。コロナウイルスであれば、対応上の不明点について、厚生労働省や開催の都道府県・市町村にとことん聞いて、開催の可否についても意見や助言を仰ぐことが、主催者としては確認すべきだと考えます。一方、参加者側においても、健康状態が問題ないことを自ら確認した上で、イベントに出席することが必要だと思います。そして、イベントの会場においては、飛沫感染接触感染を防ぐための対策を徹底的に措置を行う、つまりカラオケ大会においては、マスク着用の上、マイクや画面について除菌措置や限定管理を行うのであり、会場内においては手洗いを徹底することが必要であると考えます。こういう対策を尽くしてイベントを実施することについては、ぼくは差し支えないと考えています。

そして、昨日ぼくが参加したカラオケ大会は、上に書いたことを開催方針としてホームページにも明記されていましたし、昨日も開始前の約1時間をかけて十分な説明がありました。そして、参加者の健康状態の確認を何度も行い、体調が少し悪い参加者には退場して頂く措置も取られました。関係者全員でイベントは安全に運営されるべきものだと思います。

さて、今回はこういう状況を踏まえて、参加者も歌いたいという気持ちが強い方が来られていますので、歌が上手い方の歌を次々と聴くことができました。

ぼくは1年前もこの大会に出まして、その時も周りが歌の上手い方ばかりで「来るんじゃなかった…」と半分後悔しつつ、人前で歌を歌うのも自分のチャレンジと開き直って歌いました。

昨日のMCでも話したことですけど、1年前のステージで歌い終わった後、初めて悔しい気持ちを感じて、もっと歌が上手くなりたいと強く決意してしまい、今思うとここでカラオケ大会沼に落ちたわけですが、カラオケに行く回数がそれまでの3倍増になりました。自分に理論があるわけではありませんので、歌ってみて、自分の歌を聴いてみて、改善点を見つけて、直していくという繰り返しで、とにかく練習しました。カラオケ大会でお見知りした方の考え方も知りたいと思いましたので、Twitterで交流をさせて頂くようにもなりました。そういう方のツイートが自分の歌を成長させることについて参考となることが多かったですし、それよりもぼくと同じようにカラオケ大会に出る方は、歌うことに対して多くの努力をしているのだということがわかったのが驚きでした。趣味のレベルを時に超えているようなストイックさをビンビンと感じました。そういうインセンティブが良い効果を生んでくれたみたいで、この1年でぼくも歌が上手くなったなあと思います。

でも上には上の方が何人もいらっしゃるので、まだまだ入賞できるレベルではありません。それでも会場で初めてご一緒した方から、いい歌だったとか、元気を貰えましたとか、熱さが伝わりましたとか、声をかけてくださる方が何人も来てくださったのが、とても嬉しかったです。ぼくが歌ったのは、林部智史さんの「この街」という作品で、地味な曲ではあるので、どう歌ったら、聴いている皆さんに伝わるのか、よくわかりませんでした。まして今回は関係者全員がマスクを着用しているので、歌っているぼくから見ると、顔の表情がほとんどわかりませんでした。それでも会場の中で何人かの方が体でリズムを取ってくださっているのがわかりましたので、良かったとホッとしながら歌ってました。ぼくはカラオケ大会で歌う曲にどういうわけか悲しい曲ばかり選んでしまいますので、聴いている皆さんがノリノリになるとか、手拍子してくださる場面はありません。

今回失敗したなあと思うことが2つありました。1つは練習をしすぎたということで、前日に何時間も歌ってしまったので、声のコントロールが上手くできなかったです。もう1つは会場の音響を見据えた上での歌ができなかったということです。昨日はライブハウス(もちろん安全です)だったんですが、ステージで自分の歌を聴いているとやや歌声が小さく感じられてしまい、これじゃ聴いている方に聴こえないのかなと心配して、全般的に大きめな声を出して歌ってしまったのですが、客席では良く聴こえたそうです。やっぱりまだ自分の経験値が足りないというか、自信をもって歌声の強弱を付ければ良かったんだと後悔しました。それと、舞台の上では慣れたつもりでいても、喉は正直で、緊張していました。

その証拠に、本番の歌唱が終わった後に参加した「採点チャレンジ」という企画でステージに上がった時の歌声は、すごくリラックスができていて、そのせいかこの時歌った歌についても、会場で「歌良かったです」とお声掛けを頂いたのは嬉しかったんですが、こちらの歌の方が本番の歌よりもそのお声掛けが多かったので、半分複雑な気持ちでした。

ぼくはカラオケ大会で歌うことは好きですけど、大会で勝つことを目的にはしていません。勝てる曲というものを把握していませんし、審査員の方の審査基準に自分が合わせにいくつもりもありません。本番の曲も採点チャレンジの曲も、一応他のカラオケ大会で入賞を頂いた曲ではありますけど、ぼくがカラオケ大会で歌う曲の選曲基準はあるとすれば、その曲を歌うことがその後の自分の歌の成長につながると思える曲なんです。一言でいうとチャレンジングな曲です。歌うことで成長したいという気持ちは変わりません。チャレンジングな曲を歌って自分を試したいという気持ちがぼくは強いです。だからそれはおのずと入賞から離れてしまうのかもしれませんけど、時には入賞することもありますので、そんな奇跡を信じて、また練習しようと思います。

夜明け

DAM★ともを始めてから、いろいろなアーティストのいろいろな曲を歌ってきたと思います。それでもぼくの選曲には偏りがあるわけで、他のユーザーさんが歌っているのに、ぼくは歌ったことがないアーティストっていうのは、いくらでもあるわけです。2019年の秋頃からぼくのカラオケの中の裏テーマができまして、それは「歌ったことがないアーティストの曲を歌えるようになろう」というものでした。

どんな作品でも、歌詞やメロディーを1回で覚えられるはずはなくて、何十回も歌っていくなかで、ある1カ所のフレーズから音が当たるようになって、それをきっかけに2カ所、3カ所と歌の雰囲気が掴めるようになって、まず1回フルコーラスで歌えるようになってくるというプロセスは面白いものです。歌ったことがないアーティストの曲を1曲歌えるようになると、自分の引き出しが新たにできた感じがします。

歌ったことがないアーティストの曲というのは、ぼくの場合はもう1パターンありまして、それは多少その曲を知っていても、カラオケで選曲して歌おうとは思わなかったというパターンです。その1つが松山千春さんの曲でした。松山さんはテレビ番組でも「歌が上手いのは俺と美空さんぐらいだろ」と自負するほど歌が上手い方で、高音の伸びやかで強いボーカルが魅力的な歌手であります。今の日本の歌謡界で歌が上手い歌手として挙げられるのが玉置浩二さんで、玉置さんの歌の上手さというのはいくつもの声色を使い分ける表現力の広さにあると思います。一方、松山さんはフォークソングの歌手ということもあり、書かれる作品もストレートで熱い思いを込めたものが多いとぼくは思っているんですが、松山さんの歌唱力は天性の歌唱力だと思っていて、何を歌っても歌が上手い方だと思います。

ぼくは自分が熱い思いを歌えるわけではないので、松山さんの曲は「季節の中で」も「長い夜」も「恋」も知っていても、自分で歌おうとは思いませんでした。ただ、数多くの松山さんの作品の中で、「人生(たび)の空から」みたいな雰囲気の、どちらかというと淡々とギター1本で歌うような歌なら、自分の相性に合うかなとは思っていました。そういう感じの曲で、ぼくが気になっていた曲が「夜明け」という曲でした。この作品は1979年8月に7枚目のシングルとして発売されました。作詞と作曲は松山さんで、編曲は青木望さんです。青木さんはフォークソングの編曲も提供していて、松山さんの「大空と大地の中で」や雅夢の「愛はかげろう」が知られています。たしかNHKのドラマの主題歌になっていた記憶があり、子供の頃にこの曲を聴いた時に、誰の歌なんだろうとテレビを見ていたら、テロップに松山千春さんのお名前と「夜明け」の曲名が出ました。

おぼろげに覚えていた曲でしたが、初めてDAM★ともで歌ってみたら、すんなりと歌えました。松山さんの曲の中では高音が少ない方でしたぢ、でも静かに語るような曲でも、メッセージとして歌を歌わないと、歌が映えない難しさを感じ、フォークソングってこういうものなんだなあということを改めて感じました。

自分の中にある食わず嫌いとか敬遠とかいう気持ちをいったん封印して、1度歌ってみたら、自分の歌も広がりを見せてくれるんじゃないのかなあと思いますし、それをきっかけに意外な歌との出会いがあったら嬉しいなと思います。


松山千春 夜明け

行かないで

ぼくがカラオケ大会に出るようになってから1年半ぐらい経ちましたけど、当日の朝は慌ただしくて、支度をして家を出て、午前中空いているカラオケ屋さんに入って1時間ぐらい声出しも兼ねて歌って、当日の会場に入って受付をして、席に座って、自分が歌う曲の歌詞を読み返している、といった感じで、自分の出番まではそんなにゆったりとした気持ちにはなりません。ただ、カラオケ大会の楽しみは、いろいろな方の歌を生で聴けることです。それと出る方の選曲もなかなか面白味があって、すごく歌の上手い方は、すごく難しい曲にチャレンジされていて、ご自分の歌として歌っているから、見てるぼくは「さすが上手いなあ」と感心しています。そんな風に感じた1曲が、玉置浩二さんの「行かないで」という曲でした。

玉置さんがボーカルを務める「安全地帯」は1982年にメジャーデビューして、1983年に「ワインレッドの心」が大ヒットして有名になりましたが、1987年には玉置さんがソロとしてもシングルデビューを果たしました。「行かないで」は1989年に5枚目のシングルとして発売されました。作詞と作曲は玉置さん、編曲は安全地帯の作品にも大きく関わっている星勝さんです。

ぼく自身は安全地帯の曲は知っていてもあまり歌うことはなくて、玉置さんのソロ曲も「田園」以外はほとんど知りません。ただ、カラオケ大会では安全地帯や玉置さんの曲を歌われる方はいらっしゃいます。やっぱり玉置さんの歌唱力に憧れてというのが強いのかなと思います。今の玉置さんはプロの歌手もその素晴らしさを認めていて、歌の表現のためにいろいろな声色を使い分ける幅広さというのが際立っているように思います。

ただし「行かないで」が発売された当時の玉置さんの歌唱力はもちろん色気のある上手さがありましたけど、今ほどではなかったです。初めて「行かないで」を、カラオケ大会で歌った方の歌で聴いたとき、何てはかなくてむなしい歌なんだろうと思いました。改めて、玉置さんの歌で聴いたとき、その思いは一層強くなりました。そして、発売当時31才だった玉置さんが、どうしてこの作品を作ったのだろうかと思いましたが、騒がしい日々の中で、隔絶された環境の中に身を置いて、音を奏でてみたら、心からの叫び声のような歌は、生まれるのかもしれないと思いました。

ぼくもDAM★ともで「行かないで」を歌ってみました。どういう感じの曲なのかが掴めなかったので、ユーザーさんが公開されている歌を次々と聴いてみた上で、歌ってみました。抽象的な歌詞であるがゆえに、言葉の発し方が歌の雰囲気を決めるんだなあと思いました。2コーラスとラストの間の間奏のところでフェイクを入れる方がほとんどでしたけど、ぼくはフェイクの入れ方がわからないせいもありましたけど、入れずに間奏のメロディーに身を委ねた方が歌も映えるかなあと思いました。シングルの録音では玉置さんも何も歌ってませんし。表現力が問われる曲だなあと思います。


行かないで [玉置浩二 ]