DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

WANT ME,WANT ME

先ほどまでNHK総合の「安室奈美恵・告白」を見ていました。安室さんがNHKの番組に出演するのも珍しいですが、音楽番組ではなく歌手としての心境を語る番組が放送されたのも異例だと思います。色々な思いを語る安室さんを見て思ったのは、ステージで激しく歌って踊るイメージとは違って、デビュー前から現在まで、冷静に物事を見つめてきた方なんだなということでした。デビューした時に「この仕事は一生やるものではない」と思い、「デビューがあれば引退がある」と思ったとのこと。夢をかなえようという頃になかなか考えられることではありません。そしてデビューしたもののなかなかヒットが出ず、メインボーカルを辞めたいと事務所の社長に話したこと。その後歌手として紅白のトリを取って、レコード大賞も取ってピークが終わったあと、「歌手・安室奈美恵」がわからなくなって、辞めようと思っていたこと。でも、その思いを止めたのは、「歌手を引退するときは、大きなコンサートホールで歌って辞めよう」というデビューからの夢。そしてデビュー20周年でその夢を実現した安室さんは、本当に引退をしたいと伝えましたが、結果的には周辺の事情で引退ができませんでした。やりきった感の後の空虚な思いの中で、自分を支えてくれたファンに近いところでお礼をしたいという気持ちで、この5年間は小ホールでも小さな都市でも年間100近くのコンサートをやってきたそうです。そして、ファンに喜んでもらえる作品を制作したいと、25周年までのリリース計画を綿密に立ててきたそうです。

安室さんは辛く苦しい時に、ファンの声援に支えられたという思いが強くあるようでした。それがコンサートで稼げる歌手という強みを持てた要因だろうと思います。日本もCDの売上が全般的には低迷していますが、それはアメリカも同じで、例えばマドンナはアメリカでも最も稼いでいる歌手の1人ですが、その大半はコンサートによるものです。安室さんのシングルは、他のアーティストのように「デビュー以来連続1位」といった記録は意外になく、1位になるものもあれば、ならないものもあります。おそらくシングルのリリースタイミングを始めとする大人の事情に媚びない所があったのだと思います。

ぼくも時に安室さんのCDを買ったことがありますが、その1曲が「WANT ME,WANT ME」です。三味線を使ったサウンドが新鮮だったのと、過激な歌詞なんですけど、エッジの効いたリズムと、安室さんの声と踊りがそれらをうまく昇華させてくれる感じで、ノリがいい感じの作品です。でも最高順位は2位でした。試行錯誤しながらも歌手の道を切り拓いた安室さんは、プロフェッショナルとしてのレベルが高いからこそ、そのレベルを永遠には保てないので、引退を決断したのだろうと思います。


WANT ME,WANT ME / 安室奈美恵 (Namie Amuro)