2015年8月8日にNHKで放送された「第47回思い出のメロディー」。懐メロ番組なんですが、「夏の紅白」と言われるだけあり、出演者は豪華な顔ぶれです。この年は北島三郎さんが司会を務めたほか、田原俊彦さんが華麗なステージで「ごめんよ涙」と「抱きしめてTONIGHT」の2曲を披露、高田みづえさんが1日限りの復活で「硝子坂」と「私はピアノ」の2曲を変わらぬ歌声で披露するなど、話題も盛りだくさんでしたが、ぼくが最も強い印象を持ったのが、梶芽衣子さんが歌った「怨み節」という歌でした。
この作品は1972年に梶さんが主演した映画「女囚さそり」シリーズの挿入歌として発売され、1973年3月には最高6位となるヒット曲となりました。この映画は海外でも公開され、映画監督のクエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)さんは梶さんにゾッコン惚れたらしく、2003年に彼が制作し公開となった映画「キル・ビル」(Kill Bill)の「vol.1」では、梶さんが歌った「修羅の花」を挿入歌に、「怨み節」をエンディング・ソングに起用しました。梶さんの映画を知らない世代の人たちから、「あの歌は誰が歌ったのか」と反響になったそうです。
ぼくはこういう経緯も知らず、思い出のメロディーで怨み節を歌う梶さんの凛とした立ち振る舞いを見て、「この人カッコいい」と思いました。歌詞は1番から6番まであり、楽曲はいわゆる「数え唄」のようなもので、任侠映画の主題歌でもよくあります。
花よ 綺麗と おだてられ 咲いてみせれば すぐ散らされる
馬鹿な バカな 馬鹿な女の 怨み節
梶さんは、「馬鹿な」は音階どおりに歌いますが、「バカな」はセリフのようにつぶやいて、その一瞬の一言がさすが女優だなと思わせてくれました。
Youtubeを見ていて驚いたのが、外国人の女性も、そして外国人の男性も、この「怨み節」を歌っているんです。「馬鹿な バカな」のところも忠実に再現しています。どこで「怨み節」を知って、気に入ってしまったんでしょうか。
ぼくたちが外国人アーティストの曲をかっこつけて歌っていても、当の外国人から見れば、「この日本人、ヘンテコな歌歌ってるよ」と思われているのと一緒かもですね。
Japanese Songs - Urami Bushi (怨み節) - By Meiko Kaji (梶 芽衣子) + Lyrics + translation in Subs