DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

言えないよ

DAM★ともが始まったのが2008年12月で、ぼくはその時から続けているので今9年目になります。ユーザーさん同士で歌を聴き合うだけの交流なんですけど、何となく歌っているユーザーさんの思いもわかってしまう感じがします。別にぼくに予知能力があるわけではなくて、歌は何かを訴えたい欲求から声を出すものなので、ユーザーさんの選曲にも、ユーザーさんの気持ちが背景にあると思うのです。

ぼくがkinki kidsの作品を歌って公開していた頃、同じようにkinki kidsの作品を公開していたユーザーさんと、いつのまにかお互いに聴き合うようになりました。ぼくよりも歌の上手いユーザーさんで、繊細な声質もいいなあと思いました。時にはぼくから押しかけコラボをやったりしましたが、嫌がらずにぼくの歌も聴き続けてくれました。そんな彼が、体調が悪かったようで、この数年は公開曲もなくて、交流も途絶えていました。ところが最近、彼が久しぶりに新曲を公開してくれました。相変わらず高音は出てますけど、時折息苦しそうな感じもしました。ぼくより若い方ですけど、無理しないで、気楽に歌を続けて欲しいと思います。

その彼が公開した1曲が、郷ひろみさんの「言えないよ」です。この作品は1994年5月1日に郷さんの66枚目のシングルとして発売されました。作詞は康珍化さん、作曲は都志見隆さんです。この当時の郷さんはバラード曲に力を入れていて、1993年に「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」(ビーイング全盛期を思わせる長い曲名です。)、1994年に「言えないよ」、1995年に「逢いたくてしかたない」を発表しました。後に郷ひろみの「バラード3部作」と言われた作品です。「言えないよ」はカラオケでも浸透している曲です。当時のオリコンでは最高27位でしたが、オリコンチャート内には39週も登場し、演歌のロングセラーのようにじわじわと売れて、ヒット曲になりました。1994年の日本有線大賞・有線音楽優秀賞を受賞し、同年の紅白歌合戦でも歌唱されました。郷さんは長年のボイストレーニングの効果で、伸びやかな声量の持ち主になりました。ただご本人も言われていましたが、「いろいろな声は出せるけれど、僕は「郷ひろみ」なので、僕らしく歌いたい」と話されていたのが印象に残りました。大衆が求める「郷ひろみ」のイメージを続けていくというのが郷さんの哲学なんですね。現在も若々しい体型を維持されているのもその1つなんだなと思いました。


郷ひろみ 言えないよ

東京五輪音頭/あはがり

2020年の東京五輪パラリンピックに向けて、1964年の東京オリンピック開催時に三波春夫さんが歌って大ヒットした「東京五輪音頭」を現代風にアレンジした「東京五輪音頭-2020-」のお披露目が昨日ありました。お披露目の様子の動画を拝見しましたが、原曲の良さが全く継承されておらず、とても良い作品とは思えませんでした。

東京五輪音頭」は1963年6月23日に東京オリンピックのテーマソングとして発売されました。レコード会社8社による、多くの歌手による競作となりましたが、三波春夫さんの作品がミリオンセラーの大ヒットとなりました。紅白歌合戦では番組の最後に全員で「蛍の光」を合唱するのが恒例ですが、1963年の紅白歌合戦だけは最後に「東京五輪音頭」が合唱されました。そして翌年1964年の紅白歌合戦では、三波さんは「元禄名槍譜 俵星玄蕃」を歌唱し大トリを務めたため、「東京五輪音頭」は歌われませんでした。その後1989年(平成元年)の紅白歌合戦で、三波さんは「東京五輪音頭」を歌いました。


「東京五輪音頭&東京五輪おどり」 三波春夫

この作品を朗々と披露できるのは「歌謡浪曲」という一子相伝のジャンルを作り上げた三波先生の歌唱力があってこそのものであり、他の歌手がこの作品に挑んでも、その歌手の粗が見えてしまうだけではないかと思います。競作の中で三波さんは「東京五輪音頭」を歌って廻ったそうですが、ご自身の回顧として「戦後の日本がここまで来れた喜びを日本中に歌いたかった」と強い思いがあったことを振り返っておられます。その意味で1964年の東京オリンピックと「東京五輪音頭」は戦後の復興と高度経済成長の象徴であると思います。

翻って、2020年の東京五輪は、戦後復興でも高度経済成長でもありません。日本は成熟国家に入っており、少子高齢化をはじめ、様々な社会問題が出ている現状です。加えて2011年の東日本大震災福島原発事故により、日本国土が大きく毀損してしまい、その復興に向けた努力が今なお続いています。東京五輪でのエンターテイメントは様々なジャンルのステージが披露されると思いますが、賑やかしく派手なステージが披露されるように、静かに平和を祈るステージが披露されてもいいのではないかと思います。

そこで思い起こしたのが、朝崎郁恵さんの「あはがり」という作品です。NHKBSプレミアムで放送中の「新日本風土記」のテーマ曲になった作品です。朝崎さんは奄美シマ唄の第一人者と言われる歌手で、「あはがり」の歌詞もシマの言葉で歌われるので、意味はわかりません。でも歌の旋律を聴いていると、そもそも人間の歌の原点は、自然や生命への祈りであったんだなあということが感じられました。そして、日本語がわからない世界の国々の方も、朝崎さんの歌を聴いて、心を揺り動かされるのではないかと思いました。


朝崎郁恵  あはがり 2011

アメリカ橋

作曲家で歌手の平尾昌晃さんが7月21日に亡くなられました。ここ1、2年のテレビ番組でのお姿を拝見すると、体調が悪いのかなとは思っていましたが、突然の訃報に接し驚きました。ぼくにとっては平尾先生は、clubDAM歌唱検定の審査員として審査をしていただいたことが思い出です。水谷豊さんの「カリフォルニア・コネクション」を原曲キーで歌ったんですが、平尾先生の審査コメントで「キーを1つ上げて、歌ったらいいと思いますよ!」と返ってきたので、もう1回キーを1つ上げて歌ったものを出しました。それに対する平尾先生のコメントが「良くなりましたねえ!」でした。素人の人にも優しく接してくださるお人柄が何となく感じられました。

平尾先生のヒット作品の中で、1998年にヒットしたのが山川豊さんの「アメリカ橋」という作品です。作詞は山口洋子さんで、山口さんと平尾さんのコンビは、「よこはま・たそがれ」で五木ひろしさんを演歌の大スター歌手に押し上げたコンビでもあります。

「アメリカ橋」はJR山手線の目黒駅と恵比寿駅の間に実在する橋で、恵比寿ガーデンプレイスの近くにあり、山手線の線路の上を通っている跨線橋です。正式には「恵比寿南橋」というんですが、1904年にアメリカでのセントルイス万国博覧会に展示されていたものを、当時の明治政府の鉄道作業局が買い取って、1906年に鉄製の橋のモデル橋として、現在の場所に架設されたことが、「アメリカ橋」の由来でもあります。

 

f:id:aufheben1:20170723231045p:plainP1000201.JPG

山口さんの歌詞では、アメリカ橋の風景と、かつての恋人同士の再会と別れを描いています。「アメリカ橋のたもと ふと通うぬくもり やるせない恋 埋めた街 角部屋の灯り」と、恵比寿あたりの情景が目に浮かんできます。平尾さんはこの歌詞に3拍子のリズムをつけたメロディーを作られました。1番の「いつか いつか 熱かった青春」、2番の「遠い 遠い かえらない青春」、最後の「はるか はるか あの頃が青春」あたりは、この3拍子をうまく歌の表現に使っていて、青春の思い出を振り返る様がよく出ているように感じました。

山川豊さんが「アメリカ橋」を歌われているのを初めて聴いたとき、「これはヒットするだろう」と思いました。山川さんは1998年と1999年の紅白歌合戦で「アメリカ橋」を歌唱しましたが、1998年の紅白では山川さんと平尾さんがデュエットで歌唱しました。そして「アメリカ橋」は1998年の第31回日本作詩大賞を受賞しました。

平尾さんは男性の歌手に提供する曲は「ぼくが歌ったらどうなるかなと思って作っていた」そうです。山川さんの歌もいいですけど、もし平尾さんがオリジナルで「アメリカ橋」を発売していたら、もっと大ヒットしていただろうなと思います。

在りし日の歌いたがりな平尾先生をしのび、ご冥福をお祈り申し上げます。


山川豊 アメリカ橋 作曲家 / 平尾昌晃とのコラボ

そんなんじゃない

DAM★ともでは、歌のオーディション企画が紹介されていて、公開した曲で応募することができるものもあります。いま紹介されているオーディションの1つに「Sony Music 課題曲オーディション」があり、課題曲となっているのが青柳翔さんの「そんなんじゃない」という曲でした。

青柳さんのこともお名前以外は知らなかったので、YoutubeでMVを見たんですが、青柳さんの歌声を聴いて、やや低めの声でストレートに思いが伝わる歌い方で、好感を持ちました。LDHEXILE三代目J Soul Brothersなどが所属の事務所)に所属している俳優さんなんですが、ある意味EXILEや三代目のカラーに染まらないタイプの歌だなあと思いました。

青柳さんは2006年に「EXILE VOCAL BATTLE AUDITION」を受けて2次審査で落選したものの、LDHのスタッフに「俳優にならないか」と声をかけられ、劇団EXILEのメンバーとして俳優活動を続けていましたが、2016年6月にソロ歌手としてもデビューしました。歌手への道が10年越しで開かれたのも凄いですが、大事なのはタレントの可能性を見抜くスタッフの眼力なのかなと思います。オーディションでは途中で落ちたけど、何か気になって、このままさよならしたくはなくて、声をかけたっていうところなんですね。

青柳さんが課題曲の応援メッセージ動画をアップされていて「声が低い男性でも歌いやすい曲だと思います」と言われていたので、ぼくも先日、DAM★ともで歌ってみました。歌詞は小竹正人さんが書かれていますが、どこかもどかしい恋の普遍的なところを描いていて、彼女を泣かせてしまったり、彼女と会いたいのに会えなかったり。ただ、「そんなんじゃない」って思いは恋だけではなくて、生活のさまざまな局面でありますし、歌詞の一節で、「また夜が 空から逃げて 朝が来た…一日の始まり 同じ繰り返しの日常の中 失くしたヒカリ捜せば オレとアナタは繋がるの?」というところがあって、ここは前後とどう繋げて歌ったらいいかなと考えました。

ぼくも忙しい時間を過ごしてましたが、久しぶりにカラオケに行ける時間が作れたので、「そんなんじゃない」ともう1曲を録音して、DAM★ともに公開しました。青柳さんが課題曲の応援メッセージ動画で「あまり気負いせず、リラックスして歌ってくれたら嬉しいです」ともう一言言われてましたが、とてもそんな余裕はなかったです。まだ10回も歌っていませんので、気負わずリラックスして歌えるためには、まずは何回も歌って練習していかないといけませんね。

青柳さんの動画はアップできませんので、「そんなんじゃない」をフルで歌っている方の動画で、作品の雰囲気を感じていただければと思います。(ぼくではありません。)


【フル歌詞付き】そんなんじゃない/青柳翔 cover

キューティーハニー

DAM★ともではアニメソングを公開するユーザーさんも非常に多いです。ぼくはアニソンは詳しくないんですが、聴いているとユーザーさんがたぶん、その曲を歌っている歌手になりきって歌っている感じで面白いと思います。広い世代の方が知っているアニソンの1曲というと、前川陽子さんが歌った「キューティーハニー」が挙げられます。

キューティーハニー」は1973年に漫画家の永井豪さんが作られた漫画ですが、ほぼ同時にテレビアニメ化され、その主題歌としてこの歌は生まれました。作詞のクロード・Qさんは岩崎富士男さんという、博報堂のクリエイティブ・ディレクターの方でした。歌詞の一節にある「このごろはやりの」や「こっちをむいてよ」は、当初は別のCMのプランで検討されていたそうなんですが、これを聞いた別の同僚の方が「アニメの主題歌に使いたい」と岩崎さんに言ったので、岩崎さんは「勝手にどうぞ」という感じで、いつのまにか歌詞ができてしまったそうです。作曲は渡辺岳夫さんで、この方はアニメ主題歌としては、「巨人の星」、「天才バカボン」、「アルプスの少女ハイジ」、「フランダースの犬」、「機動戦士ガンダム」など、日本のアニメ史の代表作の多くを手掛けています。

キューティーハニー」は、セクシー路線なので子供には刺激が強い漫画なんですが、歌詞は「このごろはやりの女の子 お尻の小さな女の子 こっちを向いてよハニー だってなんだか だってだってんだもん」と、ドキドキするような言葉を織り交ぜています。この歌詞を受けて、作曲も弾むような感じで、サビは引き締めるような絶妙なメロディーに仕上げています。そしてこの作品を前川陽子さんが独自の個性的な歌い方で、キューティーハニーを演じているかのように雰囲気を出して、パワフルでセクシーな歌唱力で表現したからこそ、この作品はヒットしたのだと思います。

キューティーハニー」は2004年に実写映画化され、「キューティーハニー」の主題歌を歌った倖田來未さんは、これがきっかけでメジャーアーティストへの道を切り開きました。

倖田さんの歌い方は疾走感があるアレンジにしていますが、ぼくは前川さんの歌い方の方がこの歌には合っていると思います。アニソン歌手の方々の歌は、今のJ-POPの歌手に比べると、歌の表現や表情が豊かだと思います。やはり、音階どおりに歌うわけではなく、時にアニメのキャラクターを思わせるセリフのように歌うからなんだろうと思います。元々、昭和の戦後の歌謡シーンは、芸者歌手の市丸さんしかり、ブギの女王の笠置シヅ子さんしかり、アニソン歌手の楠トシエさんしかりで、ステージで歌だけではいエンターテイメントを披露していました。その系譜を今に至るまで継承したのがアニソン歌手の皆さんたちだろうと思います。良くも悪くもカラオケが浸透しすぎてしまって、今の歌手が「カラオケのものすごく上手い人」にとどまっているとしたら残念なことで、それが今のエンターテイメントの燻りの1つではないかと思います。

前川さんの40年以上変わらない歌唱力とエンターテイナーぶりは見習うべき点が多いと思います。


キューティハニー / 前川陽子

ジェットコースター・ロマンス

kinki kids堂本剛さんが突発性難聴が完治しないため、予定されていたイベントやテレビ出演をキャンセルされています。アーティストのコンサートは大きな会場の場合だと演奏の音も爆音になってきます。ステージで歌手はその爆音をまともに受けて歌っているので、耳への日頃からの影響も大きかったんだと思います。

カラオケの部屋も結構密室空間で、その中でミュージックやエコーやマイクのボリュームを上げすぎると、耳にキンキン響いてきます。ぼくはDAM★ともで公開曲を出すときのミュージックとエコーとマイクのバランスのよい調整というのがなかなかできなくて、上手く歌えたと思う公開曲を聴いてみたらエコーが大きすぎてハウリング気味だったり、マイクの位置が悪かったらしく声を上手く取れていなかったりと、いろいろあります。

kinki kidsは2017年がデビュー20周年なので、いろいろな仕事が入っているようですが、30周年を目指すなら、今は剛さんはゆっくりと治療に専念された方がいいと思います。休まれているなかで、新たな作品のアイデアが生まれるかもしれません。というわけで、夏らしいkinki kidsのナンバーというと、「ジェットコースター・ロマンス」です。

この作品は1998年4月22日に彼らの3枚目のシングルとして発売されました。デビュー後3年目ぐらいのリリースかなと勘違いしていたので、「愛されるより愛したい」の次のシングルだったとは意外でした。作詞は松本隆さん、作曲は山下達郎さんの「硝子の少年」のコンビ、編曲は船山基紀さんです。kinki kidsの作品の底流にある「哀愁」とかどこか明るくないイメージとは違い、この作品は明るくて開放的だし、真夏のギラギラ感を表現していると思います。PVでは剛さんと光一さんが海辺の砂浜を走り回っています。作曲の山下さんが編曲の船山さんにアレンジのオーダーをしたんですが、返ってきた船山さんのアレンジが山下さんのイメージと違って驚いたそうです。でもこれでよかったんじゃないかなと思います。

ぼくはこの夏らしい曲をある年の冬にDAM★ともで公開しました。季節感逆だし…とは思ったんですが、冬でも歌いたかったんです。DAM★ともではkinki kidsの公開曲は非常に多く、ユーザーさん同士のコラボ公開曲が多いのも特徴です。

Youtubeでもkinki kidsを歌っているYoutuberは多いですが、長年アップされている2人組の動画をアップします。右の人の声が剛さんに似てるなあといつも思います。


KinKi Kids ジェットコースターロマンス

 

 

DAM★ともでぼくが最近お気に入りのアーティストに加えたのが森山直太朗さんです。森山さんの曲はこれまでも公開したことはありましたが、「さくら」や「愛し君へ」のような大ヒット曲ではなく、ぼくが出会った「高校3年生」や「春の空」といった、森山さんのインディーズ時代の作品に触れて、歌の世界の広さを感じて、もっと森山さんの作品を聴いて歌ってみようと思うようになりました。森山さんの作品を歌っているアーティストの1人が、「花」を歌われている中孝介(あたり こうすけ)さんです。

「花」は、2007年4月11日に中さんの3枚目のシングルとして発売されました。作詞は御徒町凧さん、作曲は森山直太朗さんのいつもの森山作品のコンビです。編曲は河野伸さんで、池田聡さんや森高千里さんのサポートバンドから音楽活動に入られましたが、その後は広いジャンルのアーティストに作品を提供されています。「花」はロングヒットとなり、中さんの代表曲となっています。

中さんは奄美大島の出身で、元々は奄美のシマ唄を独学で始め、奄美民謡の世界で活躍されていました。2000年にシマ唄のインディーズアルバムを発売したところ、歌唱力が認められて、2006年3月1日にシングル「それぞれに」でメジャーデビューを果たしました。中さんはアルバムを中国・台湾で発売したところ、台湾のチャートで1位を獲得してしまい、日本よりも先に海外で有名になってしまった異色の経歴を持っています。

「花」の歌詞は、傷ついた人や途方に暮れる人に、「花」のように手を差し伸べる人でありたいという心が込められています。何かに深く傷ついた人には、「せめて私は 手を結び 風に綻ぶ 花になりたい」と思い、夢破れ、信じることができない人には、「せめて私が 声にして 明日に揺蕩(たゆた)う 歌をうたおう」とするのです。

「花のように 花のように ただそこに咲くだけで 美しくあれ 人は今 人は今 大地を強く踏みしめて それぞれの花 心に宿す」というサビの部分は、歌詞とサウンドがマッチしていて、そこに中さんの奄美民謡を思わせる独特の節回しが、空に向かって歌っているようで、どこか郷愁を感じさせ、穏やかな心を取り戻せる、柔らかな気持ちにさせてくれる気がします。

奄美のシマ唄というと、NHKの「新日本風土記」のテーマ曲「あはがり」を歌われた朝崎郁恵さんの、命の叫びを伝えるような独特の歌声を思い出しました。

ここのところ、秘書を罵倒する女性の国会議員や、一緒に生活していた夫を動画で連日罵倒する女性芸能人の話題を目にし、甚だ呆れかえっていますが、一般社会でもセクハラ・パワハラは日々顕在しています。喜怒哀楽を表現するのが人間なんですが、怒るばかりの世の中だけではなく、自分を生かせるよう見つめ直してみる、そんなことを考えさせてくれる「花」は素敵な1曲だと思います。


『花』:中孝介 2013/ LIVE