DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

キューティーハニー

DAM★ともではアニメソングを公開するユーザーさんも非常に多いです。ぼくはアニソンは詳しくないんですが、聴いているとユーザーさんがたぶん、その曲を歌っている歌手になりきって歌っている感じで面白いと思います。広い世代の方が知っているアニソンの1曲というと、前川陽子さんが歌った「キューティーハニー」が挙げられます。

キューティーハニー」は1973年に漫画家の永井豪さんが作られた漫画ですが、ほぼ同時にテレビアニメ化され、その主題歌としてこの歌は生まれました。作詞のクロード・Qさんは岩崎富士男さんという、博報堂のクリエイティブ・ディレクターの方でした。歌詞の一節にある「このごろはやりの」や「こっちをむいてよ」は、当初は別のCMのプランで検討されていたそうなんですが、これを聞いた別の同僚の方が「アニメの主題歌に使いたい」と岩崎さんに言ったので、岩崎さんは「勝手にどうぞ」という感じで、いつのまにか歌詞ができてしまったそうです。作曲は渡辺岳夫さんで、この方はアニメ主題歌としては、「巨人の星」、「天才バカボン」、「アルプスの少女ハイジ」、「フランダースの犬」、「機動戦士ガンダム」など、日本のアニメ史の代表作の多くを手掛けています。

キューティーハニー」は、セクシー路線なので子供には刺激が強い漫画なんですが、歌詞は「このごろはやりの女の子 お尻の小さな女の子 こっちを向いてよハニー だってなんだか だってだってんだもん」と、ドキドキするような言葉を織り交ぜています。この歌詞を受けて、作曲も弾むような感じで、サビは引き締めるような絶妙なメロディーに仕上げています。そしてこの作品を前川陽子さんが独自の個性的な歌い方で、キューティーハニーを演じているかのように雰囲気を出して、パワフルでセクシーな歌唱力で表現したからこそ、この作品はヒットしたのだと思います。

キューティーハニー」は2004年に実写映画化され、「キューティーハニー」の主題歌を歌った倖田來未さんは、これがきっかけでメジャーアーティストへの道を切り開きました。

倖田さんの歌い方は疾走感があるアレンジにしていますが、ぼくは前川さんの歌い方の方がこの歌には合っていると思います。アニソン歌手の方々の歌は、今のJ-POPの歌手に比べると、歌の表現や表情が豊かだと思います。やはり、音階どおりに歌うわけではなく、時にアニメのキャラクターを思わせるセリフのように歌うからなんだろうと思います。元々、昭和の戦後の歌謡シーンは、芸者歌手の市丸さんしかり、ブギの女王の笠置シヅ子さんしかり、アニソン歌手の楠トシエさんしかりで、ステージで歌だけではいエンターテイメントを披露していました。その系譜を今に至るまで継承したのがアニソン歌手の皆さんたちだろうと思います。良くも悪くもカラオケが浸透しすぎてしまって、今の歌手が「カラオケのものすごく上手い人」にとどまっているとしたら残念なことで、それが今のエンターテイメントの燻りの1つではないかと思います。

前川さんの40年以上変わらない歌唱力とエンターテイナーぶりは見習うべき点が多いと思います。


キューティハニー / 前川陽子