DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

5年ぶりの生しべさん

6月13日、ぼくは有楽町の東京国際フォーラムCホールで行われた林部智史さんのコンサートに行ってきました。初めて林部さんのコンサートに行ったのが2019年、渋谷のオーチャードホールでした。その時から5年、林部さんの生歌を聴きたいと思って、コンサートチケットをようやく取ることができました。

当日、開演前の16時頃に会場に到着すると、多くの人だかりで賑わっていました。会場入口で荷物検査があったものの、メインはペンライトを持っているかというチェックでした。そんなに大事なことなのかとちょっと不思議でした。チラシが入った一式の資料を渡されると、その中には「大切なお知らせ」と題した紙が入っていて、身勝手な応援を禁止しますという禁止事項のオンパレード。林部さんのファンの皆さんって、そんなにマナーの悪いお客さんが多いのかな?と疑問を持ちました。そういえば、5年前の時は手拍子禁止の案内があったことを思い出しました。

東京国際フォーラムCホールは約1,500の客席ですが、本当に満席でした。これだけのお客さんを集められる林部さんも凄いと思いました。それにしても客席の管理が少し厳戒しすぎな印象でした。他の歌手のコンサートやイベント、ライブハウスのイベントと単純に比べちゃいけないのかもしれませんが、自由な雰囲気が感じられませんでした。お客さんの客層は60代以上の方が圧倒的に多い印象でしたが、1,500人もいますので、中年層の方も一定にいた感じでした。

今回は「歌で編む無限の物語」と題するコンサートツアーの一環ですので、6月5日に発売となったカバーアルバム「カタリベ2」の収録曲を中心にした選曲のようでした。ぼく自身は前作のオリジナルアルバム「RAINBOW」の曲が聴けたら嬉しいと思っていたので、そのタイミングを逃した感じはありました。

第1幕は、カバーアルバムの中から、「桜の雨、いつか」「シングル・アゲイン」「サンキュ.」「SUMMER CANDLES」などが歌われました。ぼくが期待していた「RAINBOW」からは「もうひとつの未来」が聴けて嬉しかったです。ですが、この統制がかかったコンサートの雰囲気はなんなんだろう。お客さんたちは禁止事項の言いつけをしっかりと守って、曲の始めと終わりにきちんと拍手をして、あとは静粛を保っている。今回は林部さんから曲に手拍子を求める場面が何回かありました。あれ、手拍子解禁したのかなって思いました。バンドの皆さんの演奏は上手だし、林部さんの歌唱も、全体の構成を考えてと思いますけど、抑えめにしつつも安定感の高い歌唱。ぼくは「人生、歌がある」でみる林部さんの思いをこめた、解釈力の高い歌唱が好きで、そういうものを期待していましたが、上手いんですけど正直単調な印象で、選曲の彩りとか解釈力がもうちょっと欲しいなあと感じました。トークも最低限で、もうちょっとサービスしたらいいのにと思いました。

第2幕は、そういう客席の一部の反応を、ステージ側が少し気にしているのかなと感じました。林部さんも少しずつ、曲紹介をしながら歌うようになりました。やっぱり長年歌っている「木蓮の涙」とか、ご本人も思い入れが強い「PIECE OF MY WISH」は、歌唱に説得力があってよかったです。構成上最後の曲は、カバーアルバムの中から「名前のない空を見上げて」を歌いましたが、「カタリベ2」の選曲の振り幅に面白さを感じませんでした。綺麗すぎるのかなって思いました。前回はアンコールのサービスもなかったのでこれで終わりかなと思いきや、まさかのアンコールがあり、林部さんが普通に話すようになって、ピアノの追川さんに作ってもらったという「カタチ」という新曲と、「無限に広がるストーリー」というこれも新曲を披露してくれて、やっと最後の最後に林部さんらしいオリジナリティを見せてくれたと感じました。

林部さんの今日のトークの中では、カラオケ番組でカバー曲を歌ってきたことがきっかけで歌手デビューを掴めて、だからこそ今につながっている。カバーは自分の中でも大切な部分。でもオリジナルは自分の歌の生命線。どちらかというのではなく、カバーがあるからオリジナルがあって、オリジナルがあるからカバーがあるという話が、とても印象的でした。

5年前のコンサートに比べると、林部さん自身は歌手としてものすごく成長されているのを感じましたし、総合的に見ればコンサートのサービス部分も増えたように思いました。ですが、音楽を楽しむ雰囲気はもう少しフランクにしてもいいのかなと感じました。

1500人のお客さんの最大公約数を求めるのは難しいことなのだと思います。でもお客さんは林部さんが言うことなら聞いてくれると思うんです。だからこそ、歌手がお客さんに言葉を発することで、会場の雰囲気に柔らかさや和やかさを加えたら、もっともっと歌や演奏の素晴らしさが引き立つのかなという気がしました。