DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

送春曲

2年前に何のテレビ番組だったのかは忘れましたが、今まで聴いたことのない歌が耳に入って、それが野口五郎さんの「送春曲」という歌でした。この作品は1978年12月にシングルとして発売されました。作詞は阿久悠さん、作曲・編曲は筒美京平さんです。

「春は行く 春は行く ぼくらの春は行く」でこの歌は始まります。「送春」とは聞きなれない言葉ですが、中唐(7世紀ごろ)の詩人である白居易漢詩にも「送春」という漢詩があり、「送春」とは「春の帰りゆくのを送る」という意味だそうです。

「送春曲」では、びしょ濡れの髪をした女性が「泊めてよ」といきなり男性の家に来て、「泣いて眠り 話して眠り」と日々を過ごしているうち、「そしてぼくらは一つになった」わけですが、「それもこれも 季節の出来事 春に別れる約束だった」ということで、ある時期が来たら別れようという一時の恋を描いています。歌っている時は歌詞を見ていますが、「ぼくらの春は行く」っていうのが、約束どおりに春に別れたのか、それとも別れずにぼくらの春は続いているという意味なのか、ちょっとわからなくなっています。


野口五郎 送春曲

作曲はいつもの筒美さんということで、またも難解なメロディーを作っています。この作品は次々とフレーズが展開していくパターンで、冒頭のフレーズの後に、Aメロ→Bメロ→Cメロ→Dメロ→Eメロみたい感じで、徐々に歌を盛り上げていく感じです。Eメロのところは「それもこれも 季節の出来事 春に別れる約束だった」は、歌唱力を試すような難しさです。野口五郎的な節回しがこの当時に完成しつつあったような気がします。さっきyoutubeを見たら、「夜のヒットスタジオ」で歌ったものがありました。ぼくはこの作品がきっかけで、DAM★とも野口五郎さんの作品を歌うようになっていきました。

五番街のマリーへ

ぼくは女性ボーカリストの作品もDAM★ともで歌うことが多いですが、今まで意外に歌ったことがなかったのが高橋真梨子さんの作品でした。検索してみて、歌ってみたのが「五番街のマリーへ」という作品でした。

作詞は阿久悠さん、作曲は都倉俊一さんで、1973年10月にペドロ&カプリシャスのシングルとして発表されました。当時、ペドロ&カプリシャスの2代目ボーカルであった高橋まりさん(現在の高橋真梨子さん)が歌ってヒットしました。高橋さんは1978年にソロ歌手として独立してからもこの作品をよく歌っていて、2015年の紅白歌合戦でも歌ったそうです(ぼくは見てませんが)。

五番街(5th Avenue)とは、ニューヨークのマンハッタンを南北に縦断するアベニューです。マンハッタンは、南北の道路をAvenue、東西の道路をStreetと呼んでいます。

今のように世界の色々な都市を知る情報がそれほど多くなかった当時は、ロンドン、パリ、ニューヨークというと、外国の華やかさの代表的な都市のように日本人も感じていたと思います。五番街も、エンパイヤ・ステート・ビルとか、ロックフェラーセンターとか、プラザ・ホテルとか、ティファニーとか、富の象徴のような建物が林立しています。

ただ、それは五番街の中でもミッドタウンのイメージで、八神純子さんの「パープルタウン」はここのイメージだと思います。「五番街のマリーへ」のイメージは、マリーと暮らした家は、セントラル・パークを眺めるような高層の高級マンションではなく、お金持ちの大邸宅でもなく、セントラル・パークを少し北上したあたり、ハーレム地区のイメージがしてきます。古くからの住人たちが昔の話も知っているような、ちょっと古い町を、阿久悠さんは描きたかったような気がします。

一方、都倉さんの曲だけを聴いていると、ニューヨークというよりは、アメリカのちょっといい田舎の町を思い起こさせてくれます。むしろ、アメリカの大半の町はオールド・カントリー的な雰囲気が残っていますし、都倉さんはそれをわかっているから敢えて歌詞に合わせてみたのかなとも思いました。

高橋さんはさらっと歌っていますが、歌ってみたら、高音のところが思っていた音より半音高かったという箇所がいくつもあって、意外に難しかったです。改めて高橋さんの実力を実感しました。

あなたが好きで


森山良子「あなたが好きで」(from 『Concert Tour2007-2008』)

ぼくがDAM★ともで公開しているのが、森山良子さんが2004年にシングルとして再発売した「あなたが好きで」という曲です。大人のラブソングそのものといえる作品で、長年連れ合ってきた男女の愛の深さが描かれています。ともすれば平凡になりがちなテーマを、森山さんが独特の透き通った声と、歌にいろいろな表情を付け加えていって、素敵な作品に仕上がっています。2004年の紅白歌合戦で森山さんは「あなたが好きで」を熱唱し、NHKホールの観客から「ブラボー!」の声が上がったほど、高いパフォーマンスとして今も記憶に残っています。歌の表現の仕方としては、この曲を歌っているぼくにはとても参考になりました。

明治チェルシーの唄


2003年頃のCM 明治 チェルシー Meiji CHELSEA ケミストリー CHEMISTRY

カラオケで歌っている楽しい時間も、終了10分前の電話コールが来ると、「あと2曲ぐらいしか歌えない」と焦ってしまうものです。特に、調子がいまひとつで、公開に出そうと思っている曲がいまひとつ納得できない感じのときは、もっと焦ってしまいます。そんなときは、時間に余裕を持つためにも、短い曲を歌おうと気分を変えてみます。そんなときのレパートリーの1つが「明治チェルシーの唄」です。3コーラスで2分半ぐらいと短いです。DAM★ともではCHEMISTRYさんの曲として公開が可能です。

もともとは1971年に、当時の明治製菓(現在は株式会社明治)のロングセラー商品「チェルシー」のCMソングとして発表されまして、最初に歌ったのはシモンズさんです。作詞は安井かずみさん、作曲は小林亜星さんという超大物コンビです。このCMソングに起用されたアーティストはほとんど女性なんですが、2003年にはCHEMISTRYが起用されました。

でもぼく、チェルシーを食べたことがほとんどないんです。CMで「アナタニモ、チェルシー、アゲタイ」って言ってるのはよく覚えてますけど。

 

L'Appuntamento

 


Ornella Vanoni - L'Appuntamento

ぼくが好きな番組「小さな村の物語 イタリア」のOPで使われているのが、Ornella Vanoni(オルネラ・ヴァノーニ)さんが1970年に発売した、「L'appuntamento」(ラプンタメント。邦題では「逢いびき」)という作品です。イタリアの小さな村の風景にすごく合っていて、毎回この曲を聴くと心が洗われます。DAMでも外国曲は歌えるんですが、著作権の関係でDAM★ともでの公開はNGというケースが多いようです。Ornella Vanoniさんはイタリアン・ポップスの代表的な女性歌手で、82才になられた現在もご健在です。

$10

SMAPの活動を振り返るなかで、彼らのターニングポイントとなった作品が「$10」(テンダラーズ)であったと思います。この作品はもともと林田健司さんが1992年に発売した2枚目のアルバム「Unbalance RAPHLES Ⅱ」に収録されていました。林田さんの当時の作品はカッコよさをとことん追求してるなあと感じるものが多くて、「$10」もダンスミュージック全開で、ファンキーでぶっとぶ感じで林田さんが歌っています。SMAPは仕事で林田さんの作品を歌う機会が多かったようで、森くんが林田さんの作品がお気に入りで、「$10」もSMAPのステージでは森くんがソロで歌っていたらしいです。好きが高じて、結局SMAPが1992年5月に10枚目のシングルとして「$10」を発売しました。作詞も作曲も編曲も全部林田さんなのかなと思っていたら、作詞は林田さんと森浩美さん、作曲は林田さん、編曲は林田さんとCHOKKAKUさんだったんですね。

歌詞の世界は当時の世の中のメッシー君やアッシー君を彷彿とさせます。ミツグ君も当時はいました。「愛さえなんてあれば 何も要らないなんて 全部ウソさ C-10 dollars」「どうして愛はお金がかかるんだろう?Oh 抱きあうだけじゃダメ」「僕のふところにはわずかなMoney 破産しそうな C-10 dollars」お金がないと、愛も続かないのが、特に1990年代の前半はそんな雰囲気、バブルな空気感が充満していました。

後に中居くんと林田さんが何かの番組で当時を振り返っていて、中居くんは「SMAPが売れてきた」と実感してきたし、林田さんのおかげでSMAPは大きく成長したと言いたかったようでした。SMAPから見たら、あんなにカッコよく歌っている林田さんの曲を自分たちがカバーすることには、俺たちにできるのかなという若干の思いがあったようです。でも林田さんは「SMAPには合うと思いました」というんですね。結構2人のこの対談は興味深い内容がありましたが、林田さんは最初ロックから入ったんですが、自分の音楽を作っていって「平たい」ことを感じ、ダンスミュージックを追い求めるようになり、踊れるものが欲しいと思っていたそうです。林田さんは、アメリカのロックバンドであるKISSのファンだそうで、来日の度にコンサートに行かれるそうですが、彼らの音楽を「ロックだけど、結構ポップス」と評していました。林田さんが目指している音楽との親和性が、SMAPが踊って歌う姿と重なったんだろうと思います。

あいたい

林部智史さんが2016年2月24日に発売したデビュー・シングルの「あいたい」は、最近の音楽界では珍しく、オリコンチャート100位以内に長期間とどまるロング・ヒットを続けています。こういう傾向は、古くは千昌夫さんの「星影のワルツ」、「北国の春」を始め、演歌に多いパターンです。

ぼくはDAM★ともで林部さんの企画オーディションを見て、この作品を初めて知って歌うようになりました。林部さんはavex traxの所属なんですが、この作品はavexとは思えない、昭和から平成初期までのバラードの香りがする作品です。おそらく、彼の透き通った伸びやかな声質を活かした作品を作ってみようとしたのだと思います。

作詞は林部さんが書いていますが、ぼくは何回か歌ってみて、この歌詞の世界の中に、「あいたい あいたい 歳月(とき)は止まったまま」とか「幸せも背負って 生きていきます」という一節に、なんとなく東日本大震災で亡くなられた方のお話を思い出すところがあって、心の中で辛く思うことがありました。

作曲は七海光さんという方ですが、曲の構成が、Aメロ→Aメロ→Bメロ→間奏→Aメロ→Cメロ→Cメロ→Aメロという感じで、Cメロがサビ的な盛り上げて歌う所になります。歌っている中で難しいと思ったのは、日頃テンポの早い曲を歌っていると、この作品は最初はやや冗長に感じられて、歌詞とメロディーをどう貼り合わせていこうかなと思いました。また、曲の構成はわかるんですけど、継ぎ接ぎのような印象があって、各パート間をどういうふうにつなげていったらいいのかなと考えました。

DAM★ともにはいったん公開したんですが、納得がいかない箇所があって公開しなおしたことがありました。

林部さんは「カラオケバトル」によく出演されているんですが、ぼくはこの番組を見たことはありません。DAM★ともでいろいろなユーザーさんの作品を聴いていますが、超高得点だから上手いと必ず感じるものでもなくて、点数はゲームですから。80点台でも味のある歌い方だなと思ったユーザーさんはいましたし、聴く自分の気持ちだって日々変化しているわけで、聴いているその時にどう感じられるかなのかなと思っています。