DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

ゆうぐれ文庫(ものがたり)

ぼくはDAM★ともで多くの曲を歌うようになってから、ジャンルを問わず、いろいろなプロの歌手の方への関心を強く持つようになりました。特に、まだ有名にはなっていない歌手の方がどういう作品を歌っているのかなと思って聴いてみると、いい歌を歌われている方が何人もいらっしゃいます。最近、そう思った1曲が西山ひとみさんの「ゆうぐれ文庫(ものがたり)」という曲でした。

西山ひとみさんは1987年にデビューをされた演歌歌手の方です。ぼくがよく見ている千葉テレビの「ザ・カラオケトライアル」で、出場者の方が西山さんの曲を歌うことがたまにあり、その歌詞や曲調を聴いていると、演歌というよりはムード歌謡を歌われる方なのだろうと思っていました。

「ゆうぐれ文庫(ものがたり)」は2020年2月19日に発売された新曲で、作詞が朝比奈京仔さん、作曲が杉本真人さんです。朝比奈さんは猪俣公章さんに師事し、1991年に坂本冬美さんの作品で作詞家デビューされた方で、多くの演歌歌手への作品を提供されています。杉本さんは、歌手の「すぎもとまさと」として「吾亦紅(われもこう)」が大ヒットして、2007年のNHK紅白歌合戦に初出場していますが、作詞家・作曲家としても、小柳ルミ子さんの「お久しぶりね」や「今さらジロー」(作詞と作曲)、ちあきなおみさんの「かもめの街」や「冬隣」(作曲)、あさみちゆきさんの「聖橋で」など、記憶に残るヒット曲を提供されています。

「ゆうぐれ文庫」の歌詞は、男を愛した嫁と姑の人間関係をドラマチックに描いていますが、姑にとっては息子であり、嫁にとっては夫である男性が亡くなって、2人で男性の彼岸参りをした夕暮れの帰り道、姑は嫁に「あの子のことは もういいの どうか幸せ 見つけてね」と言って、男性の子供の頃の話を話します。男性を亡くした2人の悲しみは競い合うようにまだ癒えておらず、妻は「ただささやかに生きていく」と心に決めていくという話です。

西山さんのハスキーボイスも歌の味を引き立てると思いますが、歌詞に主人公の気持ちを込めて、語るように歌っているのが何とも説得力があって、息子を亡くした母親の気持ちとか、夫を亡くした妻の気持ちとか、すごく伝わってきました。

ぼくもDAM★ともで「ゆうぐれ文庫」を歌って見ましたけど、やはり語るように歌うといっても、絶妙な音程と雰囲気を両立させるバランスを作るのは難しくて、何回も歌っていくうちに、その間合いとか加減を空気感で掴んでいくようなものだと思いました。

「ゆうぐれ文庫」は歌の物語の構成がしっかりとできているいい作品だなと思いました。

2000年以降の音楽界で、ヒットする曲のバラエティが乏しくて、悪い意味での偏りがあると思っています。ハイトーンで歌うのがトレンドと捉えると、そういう楽曲ばかりがプッシュされていきますけど、音楽の良さに高音か中低音かという選択肢などそもそもないと思っています。演歌の世界も昭和にあったバラエティ感が、何だか演歌歌手の型みたいなものを決めてしまっているがゆえに、特に女性の演歌歌手の歌の個性が薄れていると感じることがあります。一方でロックもポップスも演歌も歌謡曲も、しっかりとした作品を歌っているアーティストは多くいるわけで、そういうところに注目していけば、音楽の裾野は広がっていくんじゃないかなあと思います。

西山さんの動画をアップしたかったんですが、最近YouTubeの本人動画アップはNGなようで、ガイドボーカルの動画で雰囲気を感じて頂ければと思います。


ゆうぐれ文庫、Gm, ガイドボーカル