最近、あるオンラインカラオケ大会で、1997年に流行した男性アーティストの曲を8月の課題曲にしますという予告が出て、いろいろなアーティストさんの楽曲が予想されました。正解は斉藤和義さんの「歌うたいのバラッド」でしたが、ぼくにとって1997年を連想させる男性アーティストといえば、河村隆一さんでした。
河村さんはロックバンドのLUNA SEAのボーカルとして活躍されていましたが、1997年は「LUNA SEAが大きくなるための充電期間」として、メンバーが個人活動を行った1年となり、河村さんはソロアーティストとしてデビューしましたが、この年に発売した4枚のシングル「I love you」「Glass」「BEAT」「Love is…」がいずれも大ヒットし、アルバム「Love」は300万枚を超えるミリオンセラーとなり、男性ソロアーティストのアルバム売上枚数としては、現在も最多記録となっているそうです。そして河村さんはこの年のNHK紅白歌合戦にも初出場し、「Love is…」を歌唱しました。
結果的にこの1997年の「充電期間」の活動を契機として、LUNA SEAはコアなファンに支えられたバンドから、一般大衆にも知られるバンドへと変わった気がしますし、戦略的な充電というのも特筆すべきアクションだったと思います。
話題になったこともあり、ぼくも久しぶりに河村さんのシングル4曲をカラオケで歌ってみました。当時の歌番組で、河村さんはやけにナルシストなキャラクターで出演されて、今までのLUNA SEAの RYUICHIとしての激しいボーカルとは全く違う、時に爽やかで、時にねっとりとした、癖の強い歌い方をされていました。ぼくもそんな河村さんを思い出しながら、河村さんの真似をするかのように歌ってみると、メロディーに歌がハマっていく感触を得ました。
ソロデビュー曲は「I love you」。海の景色を思い起こすような爽やかなポップスで、今はこういう楽曲がまた欲しいなあと感じました。癖の強い歌い方も、こういう楽曲の表現には必要だと思いました。そして、今の歌に足りないものって、1つは歌とか楽曲に込められるアクの強さなのかなって思いました。大体のアーティストさんの楽曲って、綺麗なメロディーだし、聴いていても心地よいんです。でも、綺麗すぎて、そこで終わってやしないかなって気もしたりします。
ぼくも歌っているようなカラオケの歌い手さんも、無難にまとめすぎている歌い方にとどめなくてもいいのかなって思うことがあります。久しぶりに1997年の河村隆一さんの曲を歌いながら、当時の音楽って今よりもっと盛り上がっていたし、楽しかったなって思い出しました。
楽曲の中にある言葉の思いをもっともっと強く伝えて、作り上げた音に込められた楽しさとか遊び心とかはきだしてみて、魂の叫びみたいなものを起こしていく必要性ってあるんだなっていい刺激になった楽曲との再会でした。