DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

あなたが化粧をする理由

ぼくが歌を練習している中で、よく聴いているアーティストの1人が林部智史さんです。林部さんのいろいろな作品を聴いていると、歌詞の解釈が歌声に現れていて、そういう姿勢から学べることが多いと思っています。

2022年11月1日に林部さんのオリジナルアルバム「Ⅲ」(サード)が発売されました。YouTubeでも動画が配信されていたので、1曲ずつ聴いていった中でいいなと思った曲が、「あなたが化粧をする理由」という曲でした。この作品は今回のアルバムのために書き下ろされたということで、作詞と作曲を関取花さん、編曲を伊藤ハルトシさんが作られました。

関取花さんのお名前は、ぼくのTwitterのフォロワーさんが彼女の「親知らず」という曲を歌ったことがあって存じていましたが、どういう方なのか全く知りませんでした。大学在学中の2009年に「閃光ライネット2009」で審査員特別賞を受賞したのをきっかけに音楽活動を開始され、作品がCMソングに起用されることも多くあったり、2019年5月8日にミニアルバム「逆上がりの向こう側」でメジャーデビューされました。

関取さんがTwitterで「あなたが化粧をする理由」を作る原案になったとのことで、ご自身が神奈川新聞に連載されているコラムを拝読することができました。「私が見ている」と題する内容は、欲しかったアイシャドーを買ったことにまつわる話でした。

最近はリモートも多くて、メイクもしない。欲しかったアイシャドーは高くて、安いアイシャドーでも雰囲気は作れた。でも心まではキラキラしない。ある日、欲しかったアイシャドーを買いに行って、店員さんにメイクをしてもらった。店員さんは「誰が見ているわけじゃなくても、自分は自分の顔を見るじゃないですか。どうせなら少しでも自分を好きでいたいから、休日でも私はちゃんとメイクするんです」と話してくれた。その笑顔は凛としていて、内側から溢れ出るエネルギーで満ちていた。自分の愛し方を知っている人は、どこか心に余裕があって美しい。帰り道の電車の窓に映る自分の瞳はキラキラしていて、今朝よりも好きだなと思えた。自己満足でもいい。自分を好きになる努力をしよう。誰かじゃなくても、私が見ている。

そして、関取さんは、以前の作品「むすめ」の主人公の女の子が大人になり、母にメッセージを送るつもりで、この作品を作ったそうです。林部さんが関取さんに楽曲の依頼をしてきたときに、関取さんは「次に男性に歌ってもらう機会があったらこういう歌を提供したいと思っていた」と言われたそうです。

自分のことなどいいと後回しににしてきたお母さんに、自分のために綺麗になってほしいと願う娘。誰かのためのあなたじゃなくて、あなたのためのあなたでいて欲しいと願う娘。綺麗にして、鏡の中を覗き込めば、あなたが笑っている。

歌の世界は女性ばかりなのに、男性に歌ってもらいたいという心は何なのかなって、この曲を時間を変えて、いろいろ聴いてみました。林部さんの歌声は朝も昼も夜も、話しかけてくれてるような歌を聴かせてくれました。

表のテーマは綺麗に美しくなって欲しいということであっても、自分の内面に輝きを与えようとか、自分への慈しみみたいなものって、男性も女性も共感するテーマがあるんだなって思えてきました。ぼくがもしこの曲を歌うとしたら、自分自身へのやさしさとかいたわりを持って、前向きに生きていけるものを探して欲しいという願いをこめて、歌いたいなと思います。

原曲は是非YouTubeを聴いて見て頂きたいと思います。