DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

スカイレストラン

冬晴れの日で、風が適度に吹いていると、遠くの景色までよく見えたりします。富士山も今ぐらいの時期は東海道新幹線の車窓から、東京を出発して早い時だと品川を出てまもなく見えたことがありました。昨日は上越新幹線の車窓から、遠くの山脈がよく見えるなあと思っていたら、大宮に着く前から、予想もしていなかった富士山の姿が遠くに大きな姿で見えました。

風が適当に吹くと、霞(かすみ)や靄(もや)も吹き飛ばしてくれて、本当にすっきりとした空模様を見て、ぼくの歌もスカッとスッキリとしたいなあと思いました(笑)。

さて、前回紹介したハイ・ファイ・セットの「土曜の夜は羽田に来るの」が収録されていたメインのシングル曲が「スカイレストラン」という曲でした。1974年11月5日に4枚目のシングルとして発売されました。作詞は荒井由実さん、作曲は村井邦彦さん、編曲は松任谷正隆さんです。

「スカイレストラン」という作品は当初は荒井由実さんが、ドラマの主題歌のために書き下ろしましたが、歌詞の内容がドラマの内容にそぐわないということで、歌詞が書き換えられたのですが、その作品が、1975年10月5日に荒井さんの6枚目のシングルとして発売された「あの日にかえりたい」でした。作詞と作曲は荒井さん、編曲は松任谷正隆さんです。このシングルは週間チャートで初の1位を獲得し、ユーミンの初期の代表曲ともなりました。

ところで、このドラマとは1975年8月〜11月にTBS系で放送された「家庭の秘密」というドラマで、幸福な生活と思われていた家族の過去が、19年前に誘拐された実子とその家の養女の偶然の出会いから分かり、肉親の愛とは何かを問いながら展開していくあらすじだったそうです。

ドラマで採用されたのは「あの日にかえりたい」の2番だったそうです。2番の歌詞の前半は「暮れかかる都会の空を 想い出はさすらっていくの 光る風 草の波間を かけぬける私が見える」という内容です。

一方、このドラマでは採用されなかった「スカイレストラン」の2番の歌詞の前半は「もしここに彼女が来たって 席を立つつもりはないわ 誰よりもあなたのことは 知っているわたしでいたい」という内容です。たしかに、ドラマの内容には合わなさそうですが、ユーミンがこのドラマの主題歌の話を聞いて着想したのは「スカイレストラン」だったわけで、その辺りの思いはあながち的はずれではなかったのではと思ってしまいます。

そして、不採用になってしまった歌詞に、村井邦彦さんが曲をつけて出来上がったのが、現在の「スカイレストラン」になるわけです。この歌詞に「スカイレストラン」という言葉は出てきませんが、主人公の女性が男性に誘われて、今日が最後で別れると感じていながらこの店で食事をするという話です。次の好きな女性がいることも感じているけど、2番の歌詞の前半にもあるように、女の意地を垣間見せる気持ちも忍ばせている、結構ヘビーな感情が出ている歌詞です。ちょっとドロドロしそうな歌の世界を、ハイ・ファイ・セットのコーラスがなぜか清々しく感じさせてくれて、お洒落なレストランのイメージと、入り混じった感情を、大人の恋愛としてまとめてくれて、お洒落な曲に思わせてくれるような気がして、子供で訳もわからず聴いていたぼくは、かっこいい曲だなあと思って聴いてました。

というわけで、「スカイレストラン」の歌詞で「あの日にかえりたい」を歌うことはできるわけです。複雑な事情を乗り越えながら、生まれた2曲も、それぞれの良さがあります。

 


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