DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

アイデンティティ

ぼくがDAM★ともでよく歌っている1曲に、中山優馬さんの「水の帰る場所」という曲があります。


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この作品の作詞・作曲・編曲をされたのは酒井ミキオさんですが、酒井さんご自身もタイトルを「黒い水」として歌われています。


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同じ歌詞とメロディーでありながら、酒井さんの中低音の響きある歌声とメッセージが伝わる歌い方がお気に入りで、「黒い水」がDAM★ともに配信されていないのが残念です。

ぼくは酒井さんについては、テレビのオーディション番組に審査員として出演されていた印象ぐらいしかなくて、アップテンポなポップスを歌うおしゃれなファッションのいでたちの方というイメージぐらいで、作品についてはこの「黒い水」しか知りませんでした。

最近、酒井さんの作品を何曲か聴く機会があって、今聴いてもキャッチーなメロディーと歌詞がいいなと思い、カラオケアプリのKARASTAを見てみたら、酒井さんの作品が1曲配信されていて、それは「アイデンティティ」という曲でした。

この作品は2015年10月21日にシングルとして発売され、TVアニメ「落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)」のオープニングテーマ曲として使われました。このアニメの劇伴(げきはん。映画やドラマや演劇などで演奏される伴奏音楽)を担当されている中川幸太郎さんと酒井さんは以前、TVアニメ「スクライド」でも一緒にお仕事をされていて、それ以来の共演でした。

酒井さんと中川さんの対談記事を読んでいて、「落第騎士の英雄譚」の制作に当たって求めていたものが、アニメの作品的にも男の信念と信念がぶつかるバトルのイメージとか、熱い気持ちを感じられるものにしたいということだったそうです。酒井さんには「スクライド」の挿入曲「Drastic my soul」のようなイメージでのオファーがあり、マイナーな歌謡ロックのイメージで作られたそうです。歌入れの際に、業界のトレンドとしてテンポ感が早くなっていたらしく、BPM(BEATS  PER MINITE。1分間あたりの4分音符の数)が、「Drastic  my soul」は118で、「アイデンティティ」は124で、この6の差が難しくて苦労されたとのことです。

アイデンティティ」を聴いてみると、アニメの原作を踏まえてのバトルのイメージで作られているのだと思いますが、そのアニメのことを何も知らないぼくが聴くと、前を向いて戦い進んで行く歌詞とメロディーが、今のこの状況に合っているなあと思いましたし、ある意味応援ソングなのかなと感じました。そして、熱い気持ちがビンビンと感じる作品でした。DAM★ともでも初めて歌ってみましたけど、そういうイメージどおりでした。

中川さんは東京藝術大学の作曲科でクラシックの手法をいろいろと勉強されて、でもいろいろと制約も多くて、劇伴の制作も仕上げに入ってくると「好きにやっちゃえ」と思うそうです。酒井さんも幼少から音楽教育を受けられていますが、「バンドマンの強みは、理論を知らない代わりに、感性でとんでもないものを作っちゃうこと」だと思うそうです。

ここで間違えてはいけないのは、中川さんも酒井さんも、そして多くのバンドマンも、音楽の基礎的なことは会得しているということなんですよね。ぼくのようなアマチュアであっても、一応音楽教育は受けていますし。

クラシックにしてもポピュラーにしても、歌ったり演奏したりする向こう側に聴いてくれる方がいることは変わらなくて、聴き手の求めるものが何なのかによって、綺麗な音楽がいいのか、パワーを感じる音楽になるのか、一体感を生み出す音楽になるのか、違いは出てくるのだと思います。

酒井さんが話されていた118と124の差みたいなことって、歌っているとたまに出てきたりします。自分の思い描くイメージに歌えたら、自分としてはOKなんですけど、何か見えないどこかにズレがあると感じてしまうと、何十回歌っても自分にOKが出せないループに入ってしまうんですよね。そういう時は、全く違う感じの曲を歌って、気分を替えるようにしています。「アイデンティティ」もそんな時に歌ってみました。


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