DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

RUN

オリジナル曲を他のアーティストがカバーすることによって、オリジナル曲の作品の良さを別の面から改めて認識することがあります。最近では、ロックバンドのアリス九號.が、ジャニーズのアイドルグループSexy Zoneのデビュー曲「Sexy Zone」をバンドのアレンジでカバーして話題になっています。アリス九號.のギターの沙我さんが、中島健人さん(ケンティー)の大ファンということで、中島さん主演のドラマがスタートするのに合わせて発表しました。

ジャニーズファンの女性(ジャニ担)とバンドファンの女性(バンギャ)は長年相容れない関係にあったと言われていましたが、今回のカバーはSexy Zoneのファン(セクラバ)の皆さんからも優しいコメントが数多くありました。ジャニーズのグループによって、ファンのカラーも結構違いますけど、セクラバの皆さんたちって、他のグループに比べて心の広い方が多いのかなって、ぼくも感じました。

沙我さんが「ジャニーズだから何でもカバーするのではなく、Sexy Zoneだからぼくたちはカバーした」とコメントされていて、アリス九號.としてもSexy Zoneに対するある種のリスペクトみたいなものが、長年あったように感じました。

そして、昨夜、アリス九號.は、中島さん主演のドラマ主題歌であるSexy Zoneの新曲「RUN」のカバーをYoutubeで発表しました。ぼくも今朝この動画を見ましたけど、何も聞かなければ、アリス九號.のオリジナル曲なのかなと思ったほど、歌や演奏がしっくりとはまっていました。


アリス九號. / RUN (Sexy Zone cover)

すぐに今度は、Sexy Zoneのオリジナル動画を見ました。メッセージ性がはっきりとしていて、疾走感のあるメロディーや、前向きに進んでいく歌詞が好感を持てる曲でした。

 


RUN (Sexy Zone)

Sexy Zoneはジャニーズのアイドルですから、アイドルサウンドとしての魅せ方に徹しているわけです。振付を踊りながら軽やかに歌っていく必要があるんですね。そして、彼らは生歌で歌うグループなんだということもわかりました。

一方、アリス九號.はロックバンドですから、カバーをするにしても自分たちのアレンジを入れて個性を出していくわけです。ボーカルの将さんはロックのボーカルとしての魅せ方を示していますし、演奏する4人はアリス九號.の音色を、やや重みのあるサウンドにして、バンドとしての作品を作っていっています。さらに、Sexy Zoneの原曲感も既視できるようなところも残しているところに、オリジナルの作品やアーティストへのリスペクトを感じます。

カラオケでアマチュアがプロの歌手の曲を歌っていること自体もカバーだと思っていますけど、プロアマを問わず、カバーの解釈力や表現力というのは、そのシンガーやアーティストの実力が試されるというか、あらわになると思います。アマチュアの場合は、プロの歌手の歌い方を真似るところから入りますから、それは模倣なんですよね。歌がうまければ、その模倣の完成度が高いと思いますけど、それだけではその技術が優れているだけの歌に過ぎないんです。プロの歌手の方でも、オリジナル以外の曲を番組などで歌う機会がありますが、正直なところ出来不出来の差はその曲によってはっきり出るなあと思います。

大事なのはオリジナルへのリスペクトを持ちつつ、自分ならではの歌い方や見せ方を提示するということで、オリジナルの作品がアレンジを変えることによって、歌詞やメロディーが新たな輝きを生み出せるかどうかだと思います。再生みたいなものでしょうか。

歌って、こういう風に歌わなければならないっていう、ルールや方程式はないと思うんです。歌い方は自由でいいと思います。何だか決めつけすぎて、それで満足しているように見える方もいるんですけど、それよりも自分らしい歌を追い求めた方がいいのかなって思います。