DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

春おぼろ

昨日テレビを見ていたら、岩崎宏美さんが「春おぼろ」を歌われていました。

この作品は1979年2月5日に岩崎さんの16枚目のシングルとして発売されました。作詞は山上路夫さん、作曲と編曲は筒美京平さんです。山上さんは多くのヒット曲を手掛けられた方ですが、由紀さおりさんの「夜明けのスキャット」、梓みちよさんの「二人でお酒を」、野口五郎さんの「私鉄沿線」、ゴダイゴの「ガンダーラ」(奈良橋陽子さんとの共作)、川中美幸さんの「遣らずの雨」など、聴いていて、ああこの歌と思わせるような味と気品を感じるものがあります。

4月ですから、ぼくが「桜ソング」を調べていた時に、あまり多くの方に歌われていない「隠れ桜ソング」を探していた時にも、実はこの「春おぼろ」も見つけていました。歌詞が「桜の花はもう六分咲き」で始まるこの曲は、彼氏が彼女の家を訪ねて、彼女の父親に結婚の許しを願い出たのですが、「まだ早い 若すぎる」と一蹴されて、 家から駅へ歩くまでの間、優しい彼氏は何も言わないけれど、桜の花を見ることもなく帰っていって、そんな状況が許せない気持ちの高ぶりと他の人の楽しそうな様子が裏腹のようで、「春おぼろ」とつぶやく、せつない歌です。筒美さんのアレンジが上手いというか、AメロからBメロの間に話の展開を感じさせるメロディーを入れていたり、Bメロからサビの盛り上がりをしっかりと繋げていたり、歌のドラマチックさを引き立てていると思います。そして、この曲を当時の若さで歌いこなしている岩崎さんの歌唱力って、改めてすごいなと思いました。

岩崎さんの数多くのヒット曲では地味な作品ですけど、ここで歌われている気持ちは今も変わらないのかなって思います。懐メロ番組でも、大ヒットではないけど知られている曲を、もっと歌って頂きたいと思います。 


春おぼろ 岩崎宏美