DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

生しべの一日

今日10月9日、ぼくは林部智史さんのコンサート「林部智史~希望~CONCERT TOUR 2019 秋 in 東京」で、東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホールに行ってきました。

コンサートのチケットをゲットしたのが7月24日でしたから、そこから約2ヶ月半、待ちに待ったこの日でした。

今回のオーチャードホールでの東京公演は2日間で、10月8日は18:30開演、10月9日は14:00開演でした。

久しぶりに渋谷の街を楽しんで、13:20頃、オーチャードホールに到着して驚いたのがお客さんの客層でした。平日の午後の公演ということもありますけど、お客さんの9割以上が女性の方で、それも大半がご年配の女性の方でした。男性はというと、ご年配の女性のご主人が同伴という方がほとんど。ぼくみたいに1人で来ている若い男性は、3階席では他に1人いただけでした。オーチャードホールって、総客席数が2,150席なので、1,900人以上は女性!学生の頃に彼女に無理やり連れて行かれたジャニーズの映画で、同伴の彼氏さん以外は全部女性だったときのことを思わず思い出しました。たぶん10月8日の客層はまた違っていたと思います。

林部さんは「自分のコンサートは聴いていただくコンサートである」という主旨を言われていたように、お客さんたちには親衛隊もいませんし、応援グッズを持った人もいませんでした。公演の演出上、他の歌手ではよくある掛け声などもご遠慮してくださいとの看板もありました。

さて、ぼくの席はというと、3階席4列28番(泣)。発売開始の7月24日にチケットを取ったのに、最後列の前の列だったんです。オーチャードホールは客席の勾配が急で、1階席を平地とすると、3階席はビルの4階くらいの高さで!正面のはるか向こうに林部さんらしい人がいるんですけど、顔はまったくわかりません。歌声を聴いて、「林部さんの声!」ってよくわかりました。演奏の5人の皆さんも同様で、先ほどTwitterを見て、ご尊顔を拝見しました。(笑)

以下は、ネタバレにならないようにしつつも、ぼくが強く感じたことについては、個人の感想ということで書かせていただきます。

14:00過ぎに第一部がスタート。オーチャードホールは映像で風景を映しながら、照明も多彩な使い方ができるのがいいなと思いました。演奏によるアンサンブルの後で、林部さんが4曲を立て続けに歌いました。客席の皆さん、掛け声とか一切なくて、歌のアウトロの最後の最後まで確認して、一斉に拍手ということで、クラシックコンサート並みのお行儀の良さでした。林部さん、MCとかないんだろうなと思ったところで、ご挨拶。しゃべりも綺麗なお声でした。林部さんからは「今回の公演、10月8日も10月9日も完売でしたが、10月9日の方があっという間に完売!でした」と一言。おそるべしおばさまパワー!続けて、「今日は昨日よりも全力で歌えると思います!」と頼もしいお言葉が!その後、6曲を歌って、第一部終了。昨日の公演も全力で歌っていたみたいだったので、最初の2曲あたりは「今日は調子悪い?抑え気味?」と思いましたが、「あいたい」を歌ったぐらいからスイッチが入ったみたいで、第一部のトリの曲も圧巻でした。

ぼくは林部さんのファンというよりは、林部さんの曲をカラオケ大会で歌わせて頂いている1人にすぎなくて、本当に知っている曲は「恋衣」と「この街」だけなので、今日のセトリで聴いた曲はこれから調べようと思ってます。ご婦人の皆さんが林部さんを歌の上手い「泣き歌の貴公子」と見ている見方と、ぼくはちょっと違っていて、林部さんの歌い方や歌の中での力の入れどころはどこなんだろうと思って聴いていました。高いラの音(hiA)を、時にファルセットで、時に力強く、使い分けていたのが印象的でした。

休憩を挟んで、15:20過ぎから第二部。アップテンポな2曲では、珍しく客席から手拍子が。林部さんも「手拍子OK」のサインを出してくれてはいましたけど、やっぱり手拍子はやめておきました。この後で2回目の林部さんのMC。カラオケの番組をきっかけにプロの歌手になれたものの、「歌は本来点数をつけるものではないし、競うものではない。そんな葛藤がありましたが、プロになるために、高い点数を取りに行きました」と思いを語ってくれました。また、プロでデビューしても、最初は「カラオケの人」と言われ、デビュー曲の「あいたい」がヒットすると「泣ける人」に変わったそうです。林部さんとしては、「カラオケの人」から、プロの歌手として、歌を伝える人として、覚えてもらいたかったので、「泣ける人」に変わったことは、とても嬉しかったそうです。そして、オーチャードホールに対しての思いがあったようで、初めてこのホールでコンサートをしたのが3年前のデビューの年の10月だったそうです。そして昨日が2回目、今日が3回目だったそうです。

このMCの後、林部さんの歌声が次第に精魂込めて歌っているように感じてきました。カバー曲も結構難曲なものを選ばれて歌われていました。ぼくが林部さんについて感心することの1つが、オリジナルの作品が持っている原風景をしっかりと読解した上で、ご自身の歌を作りにいっているなあと、どの曲のカバーを聴いても思うことがあります。あくまでも林部智史の歌として披露しているんですよね。そして、最後の曲はもちろん、今回のテーマでもある「希望」でした。CDの音源よりも、気持ちがぐっと入って歌われていたように感じました。その歌前の林部さんのMCで、「プロになる前は、好きな歌を歌いたくて歌っていて、プロになっていろいろな楽曲に出会って、人に寄り添うような歌を歌える歌手になりたいと強く思うようになりました」と言われたのは、グッとくるものがありました。彼は最後に「皆さんにとって、楽しみとか、生きがいとか、心の中に入れる歌い手になりたい」と言ってました。林部さんのこういう真摯な姿勢が好きです。「希望」が歌い終わった後、数分間、拍手は続きました。客席の大半はアンコールを期待したのかもしれません。でも、それは無理だと思いました。特に後半は言葉通り、全力で歌ってましたし、「希望」で締めると決めている林部さんには、それ以上のパフォーマンスをすることはプロとしてやらないと思いました。

コンサートの余韻に浸りつつ、いいなあと思った曲を歌ってみたくて、カラオケに直行しました。「この空を飛べたら」「木蓮の涙」「あいたい」の3曲。ぼくが歌ってみたら、音程は安定しないし、柔らかさは出ない。安定した心地よさを保って歌っている林部さんの歌唱力の凄さを改めて感じました。そして、「生しべ」(林部智史さんの生歌を聴くこと。本人が「生しべ智史です」と紹介したことによる造語)を聴いた思わぬ効果がありました。いつもは低い表現力が、この3曲を歌ったら、なぜか表現力が90点以上取れました。点数も95点以上でした。でもね、林部さんがいうとおりで、歌の良さは点数とは違うんですよね。「あいたい」は本人映像なので、歌いながら3年前の林部さんが画面に現れました。今よりもどこか少年らしさがまだ残っていて、MCでの話を思い出しながら、林部さんのこの3年の努力と成長をまた、じっと感じました。