DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

河内おとこ節

プロの歌手のステージは、アマチュアのカラオケとは違って、歌にもその歌手の味わいがあって、それでいて歌が引き締まっていて、華やかさもあります。さらにバックダンサーを従えて歌っている歌手のステージというのは、客席から見ても壮観な感じがあります。

いわゆるお囃子が上手な印象のある歌手というと、昭和の時代はやはり三波春夫先生でした。花柳糸之社中を従えても、自らも負けじと派手な着物を着て、迫力ある歌声で朗々と歌うステージは圧巻でした。


三波春夫 おまんた囃子

平成の時代に、お囃子調の曲として誕生したのが、中村美律子さんの「河内おとこ節」という曲でした。「河内音頭」の雰囲気が感じられるこの作品は、1989年(平成元年)6月28日に中村さんの3枚目のシングルとして発売されました。作詞は石本美由起さん、作曲は岡千秋さん、編曲は池多孝春さんです。発売当初は関西でヒットしていましたが、徐々に曲の人気が高まり、1992年には全国的なヒットへとつながり、中村さんは1992年の紅白歌合戦に初出場し、この作品を歌唱しました。中村さんは2010年まで紅白歌合戦に通算15回出場されていますが、このうち8回の出場で「河内おとこ節」を歌唱しました。本来はいろいろな歌を歌われているので、ご本人にとっては痛し痒しかもしれませんが、中村さんの強力な代名詞であることに変わりはありません。

河内おとこ節」って、アレンジの強みが際立っていて、この曲は夏の時期になると、地元大阪の盆踊りでもこの曲が使われることが多くて、ノリがいいという印象です。最初、中村さんが歌っているのを見たときも「面白いおばちゃんが、面白い歌を歌っているなあ」という感じでした。コーラスの最後で「かわ~ち~ ぶ~し~」と一旦しゃがんでまた立ち上がるパフォーマンスが、粋でかっこいいなあと思いました。

小さい頃から盆踊りの櫓の上で「河内音頭」を歌ってきた中村さんにとって、「河内おとこ節」に出会ったとき、「これは私の歌や!」と思ったそうです。「もしこの曲が売れなかったとしても、私は満足や。この歌が私の元に来たというだけでうれしかったからね」ということだったのですが、手ごたえは最初から感じていたそうです。

歌手の方がヒットに恵まれなくても活動を続けられるのは、「歌が好きだから」なんだそうです。歌えることが幸せで、歌えることに感謝するという気持ちを持つというのはすごくその気持ちが納得できます。だから、いろいろなことに気をつけながら練習して歌うことに慣れてしまうと、「歌は楽しく歌うもの」という本来の気持ちを忘れていることに気が付いたりします。時には何も考えずにパーっと歌って、歌の楽しさを思い出して元気にさせてくれる、「河内おとこ節」はそんな1曲だと思います。


河内おとこ節 中村美津子