DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

この街

阿久悠さんの作品を探していたところ、ふと見つけたのが林部智史さんの「この街」という曲でした。

この作品は2017年11月15日に発売されたアルバム「地球の男にあきたところよ~阿久悠リスペクト・アルバム」のラストの曲として収録されました。

2017年は、阿久さんが2007年8月1日に亡くなられてから没後10年、また阿久さんがザ・モップスに「朝まで待てない」を提供し作詞家としてデビューした1967年11月5日から50年、さらに阿久さんが1937年2月7日に生まれてから生誕80年であったことから、この年は各レコード会社が合同企画として「阿久悠メモリアル・ソングス」を行いました。これに合わせて、ビクターでは阿久さんの名曲をオリジナルではないアーティストがカバーした、いわゆるトリビュートアルバムを作りました。

また、このアルバムでは、発見された阿久さんの未発表詞の中から2篇の詞が選ばれレコーディングされました。その1篇の詞「この街」に、吉田拓郎さんが作曲を行い、武部聡志さんが編曲を行い、1つの作品が出来上がりました。そして、この作品の歌唱を依頼されたのが林部さんでした。

林部さんは、「この街」について次のコメントを出されています。

未発表の詞「この街」は曲が出来上がる前に読ませていただきました。
率直に素敵な詞だと思いました。いつの時代も人間という存在は儚く、
それでいて尊い存在なんだなと感じました。
阿久悠さんの伝えたいメッセージが、吉田拓郎さんの創る曲の世界観と
合わさった時、まるで元からあったかのような、素敵な曲になりました。
実際にレコーディングにも拓郎さんに来ていただき、歌い方のアドバイス
などをしていただきました。
これからの歌手人生の中でも、このような機会はまず経験できないことだと
思います。「この街」のメッセージを、僕が伝えていけるように、
歌手として成長できたらと思います。

阿久さんが遺した「この街」の歌詞の内容は、読んでみてそんなに明るい内容ではなくて、大都会の雑踏の中で、立ちどまることもない日々を過ごし、喜びも悲しみも通り過ぎていく中でも、「人間は夢見て生きるもの」であり、誰かの心に入りたいから、という内容でした。こういう歌詞に拓郎さんが「吉田拓郎節」ともいうべき明るく、ハートウォーミングなメロディーを付けたのが何とも意外でした。もし他の作曲家の方がこの歌詞に別のメロディーを付けていたら、歌う歌手も北原ミレイさんとかあさみちゆきさんとかになったかもしれないなと思いました。

林部さんも一見アンマッチな作詞と作曲を感じられたようで、「どういう作品に仕上がるんだろう」と思われたようでした。でも、阿久さんのメッセージである「人間は夢見て生きるもの」という思いを、拓郎さんは「どこかに希望を感じられる、どこかに安住を感じられる」作品にしようと創作されたのかもしれないと思っています。そこに林部さんの綺麗な歌声が入ることで、作品が完成されているんだなあというのを強く感じました。

ぼくもDAM★ともではまだ歌っていなくて、鼻歌の段階ですけど、盛り上げる歌ではなく、歌詞を曲に乗せて伝えるような歌で、節回しも難しく感じました。ぼくは林部さんの作品では「恋衣」を歌ってますけど、林部さんの他の作品も歌ってみたいと思ってましたので、「この街」にトライしてみようと思います。


林部智史/この街 (from「阿久悠リスペクト・アルバム」) [未発表詞・新曲]


【🐈新曲🐈】 林部智史~この街