DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

愛し君へ

ぼくがDAM★ともでお気に入りのアーティストにしている森山直太朗さん。直太朗さんの作品はカラオケ大会でも歌われることが多いですが、その代表曲の1つが「愛し君へ」という曲です。

この作品は2004年5月26日に発売された直太朗さんの3枚目のアルバム「新たなる香辛料を求めて」の中の1曲として収録されました。2004年4月~6月にフジテレビで放送されたドラマ「愛し君へ」の挿入歌としても起用されたため、その後カラオケでも歌う方が増えたのだろうと思います。

ドラマ「愛し君へ」の原作はさだまさしさんの「解夏」(げげ)という短編小説で、ベーチェット病を発症した若者が次第に視力を失っていく過程の苦悩と、そこから立ち直っていくまでを描いた作品です。「愛し君へ」の歌詞もドラマに即したものというか、おそらく亡くなってしまった恋人を思う主人公の気持ちを描いています。

ぼくは直太朗さんの作品をDAM★ともで歌うときに、元々マイナーな曲を選曲する傾向があるものですから、あまりにも多くのユーザーさんが歌っている「さくら」と「愛し君へ」は選んできませんでしたし、敢えて「愛し君へ」を聴こうとは思いませんでした。

直太朗さんの魅力の1つは、ご自身の声質は勿論ですが、作曲家としてはどんなテーマでも歌にしてしまう、研ぎ澄まされた感性なのだろうと思っています。直太朗さんと作品を協働して作っている作詞家の御徒町凧さんの存在も欠かせないものがあります。ドラマ挿入歌としての依頼は、作詞や作曲にも制約があったのではないかと思いますが、そういうものを乗り越えた先に、歌の世界観の中にも1つのラブストーリーを作り上げることができたから、「愛し君へ」を聴いた人たちが感動するのだと思います。

「いっそ 抱きしめて」や「いっそ 最後まで」とAメロの冒頭の歌詞の「いっそ」については、他のレビューでも言及されている方がいらっしゃいますが、「いっそ」という言葉の裏には、それまで色々な心の葛藤があって、その中から何か踏ん切りをつけて、思い切るという前段があるんですね。だから、「いっそ」という一言には、それまでの恋人との思い出や、一緒に歩んできた道を想像させてくれる気がします。

直太朗さんご自身の「愛し君へ」は、歌詞の一言一言を語っているように、それほど声を張り上げて歌うのでもなく、かみしめて歌っているように聴くことができました。

DAM★とものユーザーさんの「愛し君へ」は、一貫して強い声で歌い上げている印象が強いんですが、直太朗さんの歌を聴いて、必ずしもそういう歌い方ではないのだなということに気づきました。「愛し君へ」はバラード曲ということもあり、カラオケ大会でも選曲されることが多いです。そして、歌った方と選曲の相関性はわかりませんが、「愛し君へ」を歌った方はカラオケ大会でも入賞している記事を多く見ています。

バラードって、自分の声を張り上げられるし、自己表現がやりやすいんだと思いますし、バラードは聴く側にとってもわかりやすいのかもしれません。でも、本当に上手いのは、小さな声で歌っても、心が伝わるような歌なんでしょうね。自分には遠い道のりです。


森山直太朗 愛し君へ(LIVE)