DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

誰よりも君を愛す

平成元年(1989)年の第40回NHK紅白歌合戦では、従来の放送時間(21:00~23:45)を拡大し、19:20~20:55は「昭和の紅白」と題して、紅組からは織井茂子雪村いづみ松山恵子ペギー葉山ピンク・レディー松尾和子和田弘とマヒナスターズ都はるみの7組が、白組からは田端義夫、春日八郎、村田英雄、ザ・タイガース三波春夫千昌夫藤山一郎の7組が出場し、名曲やヒットメドレーを披露しました。この人選は昭和の流行歌をジャンルや活躍した時代を考慮して、バランス良く選んだ感じがします。和田弘とマヒナスターズは、いわゆる「ムード歌謡」というジャンルを作ったパイオニアのグループで、松尾和子さんとのデュエットによる「誰よりも君を愛す」は、1960年の第2回日本レコード大賞を受賞しました。

ムード歌謡の源流はハワイアン音楽であると言われています。1933年にホノルル出身の日系2世であるバッキー白片さんが来日しハワイアン音楽の普及を行ったり、戦後のアメリカ兵が持ち込んだハワイアンが広まり、ハワイアンを歌う日本人のバンドやソロ歌手が次々と誕生していきました。和田弘さんが演奏しているスティール・ギターはハワイアンを演奏するのに欠かせないハワイの楽器で、ウクレレと共にハワイの雰囲気を醸しだす音色です。また、ファルセットもハワイアンには欠かせない歌唱法であり、マヒナスターズでは佐々木敢一さんのファルセットは個性的でありました。そして、マヒナスターズはメンバー5人のコーラスが音に厚みを増していました。日本人にはハワイアンのサウンドは、どこか物悲しさを感じると受け止めたため、バンドがライブを行っていたナイトクラブやキャバレーの世界と相俟って、夜の世界の男と女の恋模様を舞台にした「ムード歌謡」へと変換されてしまうわけです。

懐メロ番組を見始めた頃から、マヒナスターズが歌う世界は、その時代を知らない者にとっても、個性的な歌の世界を作っているなあと感じました。DAM★ともでセルフコラボをやろうと思ったら、商標権の問題で録音ができないことになっていて、残念でした。


誰よりも君を愛す ♪松尾和子・和田弘とマヒナスターズ