昨日はBSで京都のお寺からの紅葉の生中継の番組を見ました。ぼくも1週間前ぐらいに京都の紅葉を見に行きましたが、11月の初めに冷え込んだ日が続いたおかげで、今年の紅葉は色づきやグラデーションが映えていて、ここ数年では最も良い色どりを感じました。そして、今年の紅葉は見頃が続いていて、昨日の紅葉は1週間前よりもさらに紅色の濃さが増していて、紅葉を堪能できました。その番組で、秋の歌を何曲も歌っていたのがボニージャックスの皆さんでした。
ぼくもリアルでは知りませんが、男性コーラスグループが歌謡界に席捲していたのは昭和30年代~40年代の頃でした。慶應義塾大学の男声合唱団ワグネル・ソサエティ出身のダークダックスは1951年に結成、1957年にロシア民謡の「ともしび」をヒットさせ、コーラスグループの第一人者となりましたが、メンバーチェンジは一切しなかったので、メンバーの高齢化による死去により2016年で活動を停止しました。デューク・エイセスは1950年に結成しましたが、「いい湯だな」や「女ひとり」(京都 大原 三千院で始まる歌)などの「にほんのうた」シリーズのヒット曲が有名ですが、本来はジャズコーラスや黒人霊歌も歌うグループでした。全盛期のメンバーが次々と交代し、今年の年末での解散を発表しました。ボニージャックスは早稲田大学の男声合唱団グリークラブ出身のメンバーで1958年に結成されました。歌のレパートリーの広さが特徴であるのと、今では広く歌われ、音楽の教科書にも掲載されている「ちいさい秋見つけた」や「手のひらを太陽に」などを積極的に歌って広めていった功績のあるグループです。
「ちいさい秋見つけた」は作詞がサトウハチローさん、作曲が中田喜直さんによる童謡です。元々は伴久美子さんという女性の童謡歌手が歌っていましたが、当時キングレコードのディレクターだった長田暁二さんが「合唱に適している」と見て、ボニージャックスがレコーディングしたそうです。1962年の日本レコード大賞でこの作品は童謡賞を受賞しています。
かつての3大コーラスグループもオリジナル・メンバーは80代の高齢となっていて、日本の音楽シーンを作っていたジャンルは消えようとしています。勿論現在でもコーラスグループは数多くいますし、一時期ブームになったアカペラグループもYoutubeを見れば、面白いグループもいます。彼らに共通しているのは、ただ歌を歌うのではなく、そこに自分たちの味を加えているのであり、だからこそレコードやCDが売れたわけなんですね。そういうのが、最近の紅白歌合戦のお題目になっている「歌の力」なんじゃないかなと思います。だから、ただ歌っているようにしか見えないコーラス集団の歌は、どこか味気なくて面白みを感じないんです。
紅葉の下で歌っているボニージャックスの「ちいさい秋みつけた」を聞きながら、こういう歌の表現もまた次世代に受け継ぐべきものだなと感じました。