昨日、第68回NHK紅白歌合戦の出場歌手が発表されました。11月16日の発表は例年の11月下旬よりも早い印象です。また、午前中の発表は記憶になく、大抵は16時頃のような気がします。かつての紅白歌合戦は歌謡界の縮図を体現していましたので、色々なジャンルの「今年の代表」歌手が大晦日に一堂に集まるからこそ、緊張感も高まり、歌手も自分の限界まで歌を表現していたように思います。ぼくもかつてはかなりの紅白フリークだったんですが、この7~8年位、紅白の番組のあり方には視聴者として何となく不満があって、フルで見ていたのが一部の歌手だけを見るようになり、ここ数年は1分も見なくなりました。インパクトのある歌手がほとんどいなくて、超一流の歌手もいなくて、正直二線級の歌手の集まりのように見えてしまいます。また、紅白のような長時間の番組を引き締めるのは司会者の進行の手際の良さなんですが、グループで5年連続司会を任されても話術に成長が見られず、1人で司会をしたら放送事故レベルの下手さ加減みたいな様子を見せられては、番組を見る気もなくしてきます。それから演奏もNHKホールで演奏しなくなってから、音に迫力がないし、音が籠っている感じがしました。これでは歌手の歌も栄えません。
21世紀の紅白の中で最大のインパクトの1つは、中島みゆきさんが、関西電力黒部川第四発電所前から上部専用軌道で約100m進んだ場所で、「地上の星」を歌ったことだと思います。中継場所はいくつかの候補の中から、中島さんが選んだそうです。NHKから40人、ヤマハから60人、計100人の大部隊で臨み、関西電力も「本番を停電させないよう」最大限の努力をしたそうです。本番では歌詞を間違えて歌っちゃいましたが、リハーサルでは完璧だったそうです。あのとき、中島さんは深紅のドレスをまとって、歌い終えた後深く一礼をしたんですが、一連のパフォーマンスを見て思ったのは、それまで出場を断ってきた中島さんの方が、紅白歌合戦のありようを実は深く理解しているのかもしれないなということでした。緊張していたからこそ、視聴者にも記憶に長く残る、素晴らしいステージができたのだと思います。