DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

コーラス・ガール

Youtubeで往年のアーティストの初期の曲を聴いたりすると、ぼくにとっては新たな発見があって面白いものです。和田アキ子さんの初期のヒット曲を聴いている中で、いい曲だなと思ったのが「コーラス・ガール」という曲でした。

この作品は1978年3月5日に、和田さんのデビュー10周年記念のシングルとして発売されました。作詞は竜真知子さん、作曲は川口真さんです。歌詞は、同じコーラス・ガールの仕事仲間の女性が結婚することになり、仕事を離れることになり、主人公の女性が結婚する女性へメッセージを送る内容となっています。竜さんは割とおしゃれなポップスの作品の歌詞を書かれるイメージがありましたので、ちょっと意外な感じもしました。こういう内容だと、阿久悠さんかなと一瞬思いました。作曲は、基本に忠実で、無駄のないメロディーの展開がされているように思います。同じ1978年に川口先生は、由紀さおりさんには「トーキョー・バビロン」を提供し、和田さんには「コーラス・ガール」を提供しています。「トーキョー・バビロン」は東京の大都会の華やかさの中で女性が生きていくことをテーマにしたさきがけのような歌で、「コーラス・ガール」はアメリカの女性コーラスシンガーたちが、全土を渡り歩いて、歌っている様子を思い起こさせるような歌です。どちらの作品も発売当時はヒットせず、由紀さんも和田さんもそれぞれの作品を1978年の紅白歌合戦で歌唱しましたが、2人とも翌年の紅白歌合戦には落選してしまい、以後8~9年紅白から遠ざかることになりました。

ただ、1970年代後半の和田さんの作品は独自の世界に挑戦していて、R&Bの歌手としてのパフォーマンスを示していたように思います。「コーラス・ガール」を歌う和田さんは真摯な歌い手のように感じました。この作品は歌う歌手によって生まれる世界も変わってしまうと思います。普通の歌手が歌ったら、いわゆる歌謡曲としてできあがると思いますが、和田さんの歌は、どこかにソウルフルな味わいを残しているので、コーラス・ガールの強さも表現してくれたように思います。「ゴッド姉ちゃん」のキャラクターは微塵も見せず、当時は今よりも繊細で研ぎ澄まされた声が、歌の世界を引き締めていたように思いました。1986年に「もう一度二人で歌いたい」で紅白歌合戦に復帰されてからの和田さんの作品は、パワフルな歌を歌う方向に変化されましたが、1970年代後半の路線を我慢して続けていたら、R&Bの世界がもっと広がっていたかもしれないなと思いました。でもヒットを出さないと歌手は続けられないから、難しいところです。


コーラスガール 和田アキ子