DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

女優

日本の女性ポップス歌手の中でデビューの頃から歌唱力に定評があったのが岩崎宏美さんです。岩崎さんは「ロマンス」、「思秋期」、「すみれ色の涙」、「聖母たちのララバイ」などの大ヒット曲を多く持っていますが、ランキング的には10位~20位の中ヒットの作品でも、印象に残る曲を多く持っています。その1曲が、1980年4月5日に発売された「女優」という作品でした。作詞はなかにし礼さん、作曲・編曲は筒美京平さんです。歌詞の内容は、たぶん駆け出しの女優が、相手役の俳優に好意を寄せながら、そんなに得意ではないキス・シーンやラブ・シーンを前に、相手に嫌われないように真剣に演じようとする思いを描いています。そしてこれは女優と俳優に限らず、女性が、付き合っている男性に嫌われないように、男性を懸命に愛そうとする姿も重ねています。

思えば役者さんたちも仕事とはいえ、好きでもない俳優や女優とキス・シーンやラブ・シーンを演じなければならないのは、大変ですよね。歌詞のように心が繊細な女優さんはおそらくいなくて、半ば男勝りだったりしないと、芸能界では生きていけないんだろうと思います。

さて「女優」のイントロは、「アクトレス ルルル…」というバックコーラスから始まります。こういうちょっと面白いバックコーラスは、昭和の歌謡曲には結構あったと思います。当時の岩崎さんの声は透明感があって、まっすぐ貫くような強さがありました。「明るすぎるわモンシェリ 少しライトを弱めて 時々外を通る車の光が素敵」で思い出しましたが、富士重工業(スバル)の「レオーネ」という車のCMソングに起用されていました。アクトレス(Actress。女優)は英語なんですけど、モンシェリ(mon chéri 。私のいとしい人)はフランス語なんですね。楽曲は岩崎さんの声量の伸伸びをうまく生かした、オーソドックスな作り方をしていると思います。

DAM★ともをやっていて、喉の調子が悪いときとか高音が出にくいときは、女性のアーティストの曲を歌っていますが、音程のフラットを修正したいときの練習に、岩崎さんの作品を歌うと、岩崎さんの歌い方を思い出しながら、音階を正しく、歌詞をはっきりと言うように、気を付けられる感じがします。それにしても、昭和の歌謡曲は色々な引き出しがあって面白いです。


岩崎宏美 女優 (紙吹雪)