ぼくがDAM★ともでお気に入りにしているアーティストの福山雅治さん。福山さんの作品は数多く歌わせていただいていますが、「東京にもあったんだ」は自分にとっても、CLUB DAMの歌唱検定に初めて応募した思い出の曲です。
この作品は2007年4月11日にシングルとして発売されました。作詞・作曲は福山さん自身ですが、編曲は服部隆之さんがされています。福山さんと服部さんの共作って珍しいのかなと思ってましたが、「IT'S ONLY LOVE」や「虹」や「泣いたりしないで」も服部さんが編曲されていたのでちょっと意外だったのと、幅広い仕事ぶりに感心しました。
6分近い曲で、歌詞は東京に出てきた男性が生活にもすっかり慣れた今、故郷にいる君を思って、男性が今の思いを語っている姿を描いています。福山さんがこの作品をリリースした頃の取材で、「長崎よりも東京での生活が長くなった」、そして「チャンスを生かさないと、次の大きなチャンスに繋げられなかった」という趣旨のコメントがありました。「いま以上 自分以上に なりたかったんだよ 急いで 急いで… 勝つために覚えたこと この街のルールに 少しだけ染まったよ」という歌詞には、福山さん自身が投影されている気がしました。
「東京にもあったんだ こんなキレイな月が」「東京にもあったんだ こんなキレイな夜空が」「東京にもあったんだ こんなキレイな夜明けが」と、故郷で見た空の景色と同じキレイな空を、歌詞の男性は見て、うれしい、君に見せたいなと思います。歌謡曲の世界では、内山田洋とクールファイブの「東京砂漠」のようなイメージや、あるいは沢田研二さんの「TOKIO」のようなイメージが「東京」のイメージです。でも東京に住んでいるぼくからみると、それらも東京の1つの景色だけれど、下町もあればおしゃれな町も混ざり合っていて、それに東京は土地の起伏があるので、思わぬ場所から富士山も見えたりしますし、キレイな夜明けも太陽も月も夜空も、都心で見える場所もあります。それまで地方での生活に慣れてきた人にとっては、東京での生活は最初は戸惑いもあると思いますけど、東京は地方から来た人たちが集まっているので、それほど排他的でもなく、何となく東京の雰囲気に馴染んでしまうのかなと思います。
ぼくは自分の歌声が好きではなくて、「東京にもあったんだ」で歌唱検定に応募したときに録音した自分の声を聞いたときも「なんか嫌だな」と思いましたが、審査員の先生から自分のその声質を初めて褒められて意外に感じたのと、他人が聞けば自分の声はそういうものなんだとわかって、自分が歌うことに少し自信を持てるようになったのが一番良かったことです。