DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

YELL

今日、いきものがかりが活動休止を発表し、「放牧宣言」をしました。活動休止を発表するアーティストは毎年多くいますが、割と大きくニュースで報道されたのは、彼らが今の日本に影響力を与えているからなんだと思いました。

いきものがかりが活動休止をするのは、バンドを結成してから2回目になります。1999年2月に水野良樹さんと山下穂尊さんが2人で「いきものがかり」を結成し、1999年11月に吉岡聖恵さんが加入して、今の3人体制になりました。その直後、2000年9月から2003年4月まで、大学受験や、吉岡さんが音楽大学でのハードな練習などもあって、この期間は活動休止をしていました。2003年8月にインディーズ・デビューして、2006年3月に「SAKURA」でメジャー・デビューしてから、2016年で10年を迎えたところで、3人はそれぞれが成長するためにソロ活動を行うことにしたんだろうと思います。

いきものがかり」というと、卒業ソングのイメージがありました。そして、他のバンドと比べると、ポップスの王道を進むような作品が多くて、それは親しみやすい歌詞や曲を作るグループだなあと思いました。昨年末に、水野さんがEテレの対談番組で、自分の音楽の姿勢について、「大衆歌」という言葉を出して語っているのを見て、特定のターゲットだけではなく、幅広い世代に受け入れられる作品を作りたいという思いが感じられました。

今の歌謡界に足りないものは、1つは幅広い世代の誰もが口ずさめるような、訴求力の高い歌なんですね。各ジャンルが、その中のまた狭い世界に閉じこもってしまっている。いわゆる「売れ線」ですが、でもそれは本当に「売れ線」なんだろうか、見間違えていないかなと思う流れがあるように思えます。2つめは、一部のアーティストの売上だけが目立って、音楽の多様性が劣後してしまっていることです。3つめは良質な音楽が目立たない状況になっていることです。「いきものがかり」はそういう歌謡界の中でいい存在であるだけに、数年で活動再開になるよう待っています。

ぼくは「いきものがかり」の曲をDAM★ともで公開したことがあるのは、2009年9月に発売した「YELL」です。編曲が松任谷正隆さんだとは知りませんでした。この曲も2009年のNHK全国学校音楽コンクール中学生の部課題曲でした。歌詞は中学生が理解するには難しい内容で、水野さん自身も「彼らは理解しないで歌うでしょうね」と言われています。それでも、人は悩みながら、自分の道を見つけて、ひとりで歩み始めるものだということは、わかっていると思います。

 サヨナラは 悲しい 言葉じゃなくて
 それぞれの夢へと 僕らを繋ぐYELL
 ともに過ごした 日々を 胸に抱いて
 飛び立つよ 独りで 未来(つぎ)の 空へ

「放牧宣言」の日に「YELL」の歌詞の一節を読み、何か言い当てているのかなと感じました。