パワフルな女性ボーカリストである大橋純子さんが1978年に発表した「たそがれマイ・ラブ」。大橋さんというと「シルエット・ロマンス」の印象も強いので、てっきり作詞は来生えつこさんで作曲は来生たかおさんの姉弟コンビの作品かと思いきや、作詞は阿久悠さん、作曲は筒美京平さんという当時の黄金コンビの作品だったんですね。
いま改めてこの作品を聴くと、歌詞は1番では夏の、2番では冬の、大人の恋心を熱さも込めつつ描いてたんだなと思いました。そして曲のアレンジはまさに歌謡曲スタイルで、かちっと決めてきているのが筒美さんは上手いなあと思いました。この曲を歌謡曲とレビューする方は多いんですけど、ぼくは当時でいうニュー・ミュージックの範疇なのかなと思ってます。それは大橋さんのハイトーンボイスにあるんだろうと思ってます。大橋さんにしては結構抑え気味でこの曲は歌われてますが、当時の70年代の湿ったテイストとはやや違って、メロウなチューンなんですけど、一方でサバサバと突き抜けていくような雰囲気が表現されているように感じます。
阿久悠さんの歌詞は、他の作品とはやや異なり、結構詩人なんです。
1番では「しびれた指 すべり落ちた コーヒーカップ 砕け散って」
2番では「ひきさかれ 愛はかけらになって それでも胸で 熱さをなくさない」
愛が失われていってしまう、でも愛は消えていないっていう思いが見事だなあって。
そして各コーラスの終わりは
「さだめといういたずらに ひきさかれそうな この愛」で締めています。
この最後のフレーズをパワフルなボイスで歌っていた大橋さんの姿は、子供の頃のインパクトとして残っていて、DAM★ともでも歌ってみましたが、歌い方が大橋さんみたいになってしまいました。