DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

いずこ〜ふたたび歌を空に翔ばそう〜

ぼくが歌を歌っていて、目標にさせて頂いている歌手のお1人である林部智史さん。林部さんみたいに高くて透明感のある声はぼくには出せませんけど、「恋衣」という作品を聴いたのをきっかけに、林部さんの歌に向き合う姿勢みたいなところに共感して、カラオケ大会でも林部さんの曲を選んで歌うようになりました。

林部さんが歌う姿を拝見できるのは、BS朝日で放送されている「人生、歌がある」ぐらいですが、最近この番組で聴いた曲が「いずこ〜ふたたび歌を空に翔ばそう〜」という曲でした。

もともと、この作品の歌詞は阿久悠さんが未発表のまま、没後に遺されていたものでした。2017年11月15日に発売された阿久悠さんのトリビュートアルバム「地球の男にあきたところよ〜阿久悠リスペクト・アルバム」では、冒頭でこの作品の歌詞をリリー・フランキーさんが朗読し、BGMとしてピアニストの奥田弦さんが演奏されています。

今回の新曲では阿久悠さんの歌詞に、往年の名コンビである作曲家の都倉俊一さんがメロディーを作られ、この作品を林部さんが歌うことになりました。林部さんは2017年の上記のアルバムでも、阿久さんの未発表詞に吉田拓郎さんが作曲した「この街」を歌唱しており、この歌唱を買われての今回の起用なんだろうと思います。

この歌詞を阿久さんがいつ頃書かれたのかはわかりませんけど、その当時の歌が、以前ほどのパワーというか影響力や訴求力を失ったと感じていたのかなと思いました。「小さな箱の中で 息もしない歌は 愛と夢の化石と同じ」とか「翔べない蝶のように 色が褪せた歌は 胸の中で 粉々になる」という例えが、その当時の音楽シーンへの批判だったのかもしれません。思えば、昭和の歌謡曲が全盛期を迎えていた1970年代や1980年代の作品には、歌にパワーがあり、ドラマもあり、主人公の生き様も感じられるものが多く、「歌は世につれ、世は歌につれ」を地で行く時代でもあったと思います。歌詞の世界も1990年代まではそれまでとは違うパワーは維持していましたけど、2000年代以降は大きなテーマを歌うものは少なくなって、取り上げるテーマが身近な出来事に近いものになっていると思います。

ただ、今この歌詞を読んでみると、この2年余り活動の制約を強いられていた音楽が、いま再び息吹を取り戻そうというメッセージに受け取ることができました。「いずこ」のMVでは空に白い風船を飛ばして、希望をつなぐイメージ映像となっていますが、最近数ヶ月前からさまざまな音楽活動が再開されていることと付合しているように感じました。

「人生、歌がある」で「いずこ」を歌われる林部さんは、歌詞の一言を大切に、伸びやかに歌われていました。DAM★ともでもやっとこの曲が歌えるようになったみたいなので、今週歌いに行こうと思います。ぼくの小さな白い風船も、空に翔ばすようにと願いつつ。

 


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Habit

ぼくの音楽リストの中で「眠り姫」を聴いたのをきっかけに急浮上しているのがSEKAI NO OWARI。そして、今の音楽シーンの中で人気MVの1位になっているのが、セカオワの新曲「Habit」です。

ぼくは自分がカラオケで歌えそうな曲とか、或いは歌いたい曲とかいう視点でいろいろな曲を聴くことが多い代わりに、今人気の曲とか今人気のアーティストとかで飛びつくことがほとんどなくて、だから「Habit」には最初は興味はありませんでした。

でも、「新曲ってどんな曲なのかな」って聞いてみたら、MVのダンスがめちゃめちゃ面白いし、歌詞が何だか毒づいてる感じが気に入ってしまい、すっかり病みつきになり、絶対歌いたいと思い、練習しはじめました。

この作品は彼らのシングルとして、2022年4月28日に先行配信され、2022年6月24日にリリースされました。作詞はFukaseさん、作曲はNakajinさん、編曲はSEKAI NO OWARIとなっています。映画「ホリック xxxHOLiC」の主題歌に起用されています。主演の神木隆之介さんは、「サザンカ」のMVではFukaseさんと兄弟役を演じられました。監督の蜷川実花さんからは主題歌について「一歩前に踏み出せるような、背中を押してあげるような、勇気づける曲を」というオーダーだったようですが、出来た作品はそのオーダーとは一味違うものになり、Fukaseさんは「だってごまかしきれなかったんだもん」と笑って答えていました。

先行配信されたMVでも「自分で自分を分類するな」というテーマがありました。Habitは「習慣、癖」という意味ですが、この作品では歌詞でも「習性」という意味で使われています。冒頭の「君たちったら何でも 分類、区別、ジャンル分けしたがる」という歌詞にアンチテーゼがあるわけで、世の中に蔓延る二元論的なものを風刺しています。MVを見てると、先生の前ではいい子に振る舞い、先生の指図に従って同じようにダンスを一糸まとわず踊るのは周りに合わせているだけで「そんなHABIT捨てる度見えてくる 君の価値」があるんじゃないのかと疑問を呈しているように感じました。

集団の中で生き抜くことはもちろん必要だけど、自分の存在価値を示していくことはもっと大事だし、何かに所属するだけでは本当に自分の身を守ることはできないと思うんです。こういう作品の真意がわかって共感する人が多いのであれば、自分はこの先どうしたいのかって考えるように思考してったらいいなって思います。

さて、歌はとにかく早口で歌っていかないと歌詞を読むことができないんですけど、とにかくメロディーに乗せて、韻を踏むような感じでリズミカルに歌詞を歌っていくがポイントになるのかなと思いました。歌の動画が載せられなくて、下にはボーカルトレーナーのおしらさんのHabit攻略動画を載せてます。

ぼくはおしらさんの動画はまだ見てなくて、MVを見て、Fukaseさんの歌い方とか言葉の切り方を見ながら練習してます。作品の底流にある「人間は複雑で不明瞭なナニカ」みたいな隠美な雰囲気を歌の随所に醸し出せたら面白い歌になるだろうと思います。

 


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歌うよ

ぼくが6月4日に参加した高松国分寺ホールカラオケ大会。この大会の「入賞者部門」で特別審査員を務められた歌手の中村つよしさんと、幸運にもお話させて頂くことができました。

ぼくは昨年もこの大会に参加していて、中村さんも昨年も同様に特別審査員を務められましたが、「雨ニモマケズ、覚えてますよ」とぼくが歌った曲のこともはっきりと覚えてくださっていたので、すごく嬉しかったです。中村さんから「どうして東京から高松まで来られるのですか」と聞かれたので、2020年からのコロナ禍で現場でのカラオケ大会が開催されなかった時に、この大会の主催をしているPräparatさん主催の「ぷれぱCup」というオンラインカラオケ大会に参加したのがきっかけで交流するようになったことや、2021年も東京では現場でのカラオケ大会が開催されない中、この大会は開催されることを知ったので参加したことを中村さんにお話しました。

中村さんも数年前まで音楽活動を休止されていて、2020年に活動を再開して、昨年のこの大会で審査員を務めたことと、併せてコンサートを開催できたことが、前向きに進めるきっかけとなったことを話してくださいました。そしてぼくに「そうだ、この曲を歌ってもらえませんか」と1枚のパンフレットを渡されました。そこに書いてあったのは、音葉潤さんという方の「歌うよ」という作品でした。「これ、ぼくが作詞したんですよ」と中村さんが言われました。パンフレットにも「作詞/中村つよし」と書いてありました。そして、「この作品は去年のこの大会がきっかけで、作ってみようということになったんです」とエピソードまで教えて頂きました。なんかこの曲名、見覚えがあるなあと思っていたら、歌仲間の方がオンラインカラオケ大会でこの曲を歌って優勝したことを思い出して、中村さんにそのことをお話したところ、「それはものすごく嬉しいです」と喜ばれて、「その方にこの喜びをお伝え頂けませんか」とお願いをされましたので、ぼくは「承知しました。ぼくから伝えておきます」と答えました。(数日後、Twitterでその方にお伝えしたところ、めちゃめちゃ喜んでくれまして、「これからも「歌うよ」を歌うよ!」とリプが返ってきました。

作詞家ご本人様から歌ってと言われて、もう歌うしかありません。大会の帰路の寝台車の中でさっそく原曲を聴き始めて、翌日からDAM★ともで練習を始めました。サビで「歌うよこの場所から あなたに届くように 歌うよこの場所から あなたを思って 歌うよ」という歌詞を歌っていると、今回の大会のステージで歌った自分のことを思い出しました。

ぼくは客席の中のどなたかに、自分の歌を届けられただろうか。直接ぼくに感想やお褒めの言葉を言ってくださった方もいたから、何人かの方には届いたと感じました。そして、歌を届けようという熱い気持ちを、この「歌うよ」という作品の中に入れていくことで、自分らしい歌になって欲しいなあと思います。

中村さんがぼくに歌ってと勧めたのは、「「歌うよ」を歌うよコンテスト」という企画を音葉さんが実施されていて、「DAM★とも」や「うたスキ」で歌ったものを応募して、優勝者にはオリジナル曲を提供、という内容のようです。もう少し歌えるようになったら、ぼくも応募してみようと思います。


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雪の華

ぼくはカラオケ大会が終わった後は、自分の歌を振り返ったり、他の参加者の歌を振り返ったり、主催者や参加者の皆さんと話したことを振り返ったりするなかで、どこを直したらもっと良くなるのかなとか色々考えてみます。

先日の高松国分寺ホールカラオケ大会。ぼくは「讃岐国分寺部門」で歌った「讃岐国分寺」は優勝することができましたけど、そういう歌への周りの反応って、みなさんすごく正直なんです。歌い終わって、スタッフの方に「よかったわあ。いい声してるわ」って褒められましたし、「すごく良かった」って言われているのが、なんとなく聞こえてきました。

大会の会場では皆さんの歌を貶すことはなくて、誉める言葉を言うものですけど、「素敵ですね」というのは普通の出来、「よかった」は少し良い出来、「とってもよかった」は素晴らしい出来なのかなと思ってます。ただし、審査員の審査結果と、客席の反応は一致しないこともあります。今回も入賞を逃した方でも、ぼくがいいと思った歌はたくさんありました。

最近思いますけど、カラオケ大会に参加する方は、日常的に歌の練習をしている方が多くて、趣味で楽しむレベルはとうに超えていて、結構ストイックなんですよね。だから、選曲した歌についてはほぼ全員が歌えていて、音程とかリズムとかではあまり差がついていないと思います。差がつくのは表現力ではないかと思いました。

今回も超上手い方には、他の人にはない+αがあったと思いました。パワフルに歌ってみせたり、優しさを全面に出したり、心の内面を切々と語るようであったり、持ち味は人それぞれ違うと思うます。ただ、そういう歌を聴いて、「いいな」って素直に思える歌は、一段上のレベルなのかなって思いました。

+αのある歌ってどんな歌だろうって思いながら、この1週間も色々な曲を聴いている中でいいと思ったのが、SixTONES京本大我さんが歌っていた、中島美嘉さんの「雪の華」という曲でした。

この作品は2003年10月1日に中島さんの10枚目のシングルとして発売されました。作詞のSatomiさんはこの作品で日本レコード大賞作詩賞を受賞されていますが、ぼくはKinKi Kidsの「Anniversary」のイメージが強いです。作曲と編曲は松本良喜さんです。松本さんは柴咲コウさんの「月のしずく」で日本レコード大賞作曲賞を受賞されていますが、こちらもぼくはKinKi Kidsの作品でお名前をお見かけした印象がありました。

雪の華」は中島さんの代表作品でもありますが、その後数多くのアーティストがカバーをしていることが、この作品が評価されていることの表れだと思います。

京本さんは、お母さんが「雪の華」を電話の着信音にしていた時があって、小学生当時だった自分には強い印象が残っていたそうです。その番組では、日頃のSixTONESでは歌えない女性の曲をということで「雪の華」を歌いたいと思ったそうです。そして、「何を大切にして歌いたいと思いますか」との問いかけに、京本さんは「自分が切なさに寄っていくのではなく、あえて相手を真っ直ぐに思う気持ち、温かい気持ちを優先して歌いました」と答えられました。

中島美嘉さんの「雪の華」はどこか悲しげで儚げな表現のイメージがあって、それは中島さんのアーティストイメージの代表的なものとされています。

京本さんの「雪の華」をぼくが聴いてすごくいいなと思ったのは、言葉を大切に歌われているということでした。「雪の華」の歌詞って、男性が主人公の目線なんですよね。女性といる幸せと思える日々を大切に守っていきたいというところがすごく伝わってきました。そして、京本さんの歌声は儚い表情を見せながらも、強く芯のある歌い方が決意みたいなものを示してくれていて、希望を歌に与えてくれていると感じました。司会のリリー・フランキーさんも「ミュージカルのシーンのように、物語性が伝わりました」と評価していました。

人の心に触れる歌を歌いたいなと強く思うぼくにとっても学べる歌でした。


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初優勝と悔しさと

6月4日、ぼくは高松国分寺ホールで開催された令和4年度高松国分寺ホールカラオケ大会に行って、歌ってきました。この大会は、主催者のPräparatさんの作品である「讃岐国分寺」を歌う「讃岐国分寺部門」、DAMのAiで採点を競う「採点部門」、カラオケ大会での入賞者が争う「入賞者部門」の3つから構成されています。ぼくは1年前もこの大会の「入賞者部門」に参加して、「雨ニモマケズ」という曲を歌って「高松国分寺ホール賞」を頂きましたので、今回も「入賞者部門」に申し込みました。その後、「讃岐国分寺部門」にまだ空きがあると聞いたので、追加で申し込みました。

1つの大会で2部門の2曲をオンライン大会でエントリーしたことはありましたが、現地で歌うリアル大会では初めてでした。昨年のこの大会の出場者はどの部門も歌の上手い方が参加していましたし、今回は更に全国レベルの上手い方が何人も出場される話を聞いていました。ぼくの今回の目標は「2つの部門とも入賞できること」でした。「二兎を追うものは一兎をも得ず」という諺が何回も頭の中をよぎりましたけど、チャレンジャーの気持ちでやってみようと決断しました。

讃岐国分寺」という曲は、Präparatさんが主催したオンライン大会でこの曲が課題曲だったときに参加して入賞したことがありました。久しぶりに歌ってみたら、当時よりも肩の力を抜いた感じで歌えるようにはなりましたが、DAMの採点をやってみると、表現力が低くて、点数も95点前後という感じでした。

「入賞者部門」でぼくが選んだ曲は、佐良直美さんの「いのちの木陰」という曲でした。この曲もDAMの採点で94点〜95点ぐらいでしたが、他のオンライン大会で歌ってみたら入賞することができたのと、参加者の方からも高い評価を頂けたこともあって、リアル大会で通用するか試してみようと思いました。

2曲とももう少し点数を上げたいと思って、何十回も練習していくと、その日のゴールでは97点を超えられるんですけど、数日空けてまた歌ってみると93点〜96点を行ったり来たりで、なかなか安定した歌唱が続きませんでした。

それと、これは思惑が半ば外れたんですが、入賞者部門は2コーラスのルールで、昨年歌った「雨ニモマケズ」は元々2コーラスの曲なのでフルで歌うことができました。今回の「いのちの木陰」も2コーラスの曲で、2番の後に間奏なしでサビが繰り返されるので、他の大会での経験もあるので、フルで歌えるだろうと思い込んでいました。ところが、DAMの「2コーラス予約」で試してみたら、2番が終わったらカットされることがわかりました。これが開催1週間前のことでした。ラストのサビの盛り上がりなしでこの曲をどう伝えようか考えているうちに、開催前日の練習で煮詰まってしまうメンタルに陥ってしまいました。

歌唱力の問題というよりも、心の拠り所が掴めなくてバランスを崩して悩んでしまった感じでした。そんなぼくの心に希望を与えてくれたのは「リズム」というキーワードでした。「讃岐国分寺」は3拍子だった…なんて前提みたいなことに気づいたら、表現力も点数も嘘みたいに上がっていきました。「いのちの木陰」は「リズム」を2拍子のところを、8拍子で細かく刻んでいくことによって、ロングトーンをしっかり出すところに意識が向けられて、こちらも表現力や点数が同じように上がり、突き落とされた気持ちは安堵に変わりました。

そして開催当日。最初に「讃岐国分寺部門」から始まり、10人の参加者でぼくは7番目に歌いました。ステージでは緊張してないつもりでも、声は練習の時よりも緊張していました。それでも歌い終わった後に色々な方から「良かった」と言われたので、入賞への感触が持てました。次に「入賞者部門」が始まり、33人の参加者でぼくは25番目に歌いました。緊張はあまりなくて、あまり知られていない「いのちの木陰」という曲を客席の皆さんに伝えたいという気持ちで、強く訴えるように歌いました。こちらも歌い終わった後に同じように「良かった」と言われたので、ひょっとして入賞できるのかなと期待しました。

結果は予想外でした。「讃岐国分寺部門」はまさかの優勝でした。「入賞者部門」や「採点部門」に比べれば人数も少ないし、レベルも低いかもしれない。それでもカラオケ大会に出るようになって4年目で、やっと初めて優勝できたことがとても嬉しかったです。自分には縁がないと思ってました。後で審査員の方やMCの方に「断トツでしたよ」と言われ、そういうものなのかなと思いました。一方、「入賞者部門」では入賞できませんでした。後で審査員の方に言われたのが「あの歌い方は大ホールの歌い方なんです。ここは中ホールなんだから、少し抑えて歌えば良かった」ということでした。特別審査員の方にも「熱さは感じた」と言われました。そうか、中ホールに合った歌い方とか今まで考えたこともありませんでした。でもこれって前提みたいなことで、そういうことに気づけてなかった自分に悔しさを感じました。振り返ると、優勝した方や入賞した方は歌のコントロールができていると思いました。そして単にその曲が上手く歌えているというだけではなくて、さらに上質のいい味がありました。ぼくの歌にはそれがなかったわけじゃないんだろうな。いいと褒めてくれたのも嘘ではないと思うし。でも何かが足りなかった。ホールに合った歌とか、そのホールで聴く方に合った歌とか、配慮しなきゃいけないことをやれてこそ、伝わる歌になるんだろうな。まだまだだけど、引き続き頑張ります。

 

誰に愛されても

ぼくはカラオケで歌う曲の中で、若手や中堅の演歌歌手の方の曲を歌うことが多いです。中堅だと松原健之さん、竹島宏さん、山内惠介さん。中堅と若手の中間ぐらいだと松阪ゆうきさん、川上大輔さん(4月から「奏大翔(かなた たいが)」さんに改名されました)。若手だと中澤卓也さん、新浜レオンさん。彼らの作品は、ド演歌とは異なり、昭和の歌謡曲やニューミュージックの系譜を継承しているものが多く、もともとそういう音楽が好きなぼくにはとっつきやすいところが多いです。

カラオケで歌っても相性のいい作品も多くて、採点も95点以上が出ることが多いんですが、この中でぼくがなかなか点数が取れないのが、山内惠介さんの作品です。最近、チャレンジしている曲が「誰に愛されても」という曲です。

この作品は山内さんの23枚目のシングルとして2022年3月2日に発売されました。作詞は売野雅勇さん、作曲は水森英夫さん、編曲は馬飼野俊一さんです。売野さんというと、中森明菜さんの「少女A」やチェッカーズの初期の「ジュリアに感傷」を始めとする一連のヒット曲の印象が強く、ポップスのイメージです。山内さんには以前に、「スポットライト」のカップリング曲「六本木界隈・夢花火」(曲名がなんとも売野さんらしい)を提供されたことがあります。水森さんは山内さんの師匠であり、デビュー以来すべてのシングルの作品は水森さんの作曲です。師匠以外の曲を歌ってはいけない掟でもあるのでしょうか。馬飼野俊一さんは山内さんの作品では2017年の「愛が信じられないなら」、2018年の「さらせ冬の嵐」、2019年の「唇スカーレット」の編曲をされています。どの曲もぼくの好きな曲です。因みに馬飼野康二さんは俊一さんの弟さんです。

ぼくが初めて「誰に愛されても」を聴いたときに、「この曲、「さらせ冬の嵐」に似てるなあ」と思いました。作曲家と編曲家が同じですから納得しました。それで、山内さんの作品は水森メロディーなので、独特の節回しがあると思っています。なので、雰囲気は掴みやすいので、多少メロディーが違ってしまっても、それっぽい歌にすることはできるんです。ぼくは「愛が信じられないなら」がかなり好きな曲で、その雰囲気だけで歌うと、山内さんの曲は結構盛り上がることが多いです。でも、きちんと歌おうとすると、実はいろいろな難しいところがあるのが山内さんの曲だと思います。

まず1つめは、水森メロディーをいかに安定的に歌えるかということです。「誰に愛されても」だと、例えばBメロの「あなたに溺れていたい」の「たに」のところを息が切れないように支えて伸ばして歌うのがいいのかなとぼくは思ってます。2つめはぼくの場合、山内さんの曲を歌うと、リズムと表現力が低くなってしまう傾向があります。リズムをかなりタメて歌ってしまうんですね。ご本人の山内さんの歌を聴いていると、結構タメて歌われているように聞こえてしまいます。ところが、実際の曲のリズムは感じているよりも早いんです。感じているメロディーとのギャップがズレを生んでしまっていました。演歌だから多少ゆっくりかなと先入観にとらわれず、リズムを刻んで歌っていくと、歌の切れ味みたいなものが出てくるのかなと思っています。惠介さんを目指して、かっこいい歌も様になれたらいいなと思います。


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サザンカ

最近、ぼくが聴く音楽の中で、SEKAI NO OWARIの曲が急上昇しています。きっかけは、「眠り姫」という曲を聴いてからなんですけど、それから久々に「プレゼント」や「RPG」も聴いて、彼らの魅力の深さに気づき始めて、もっと他の曲も聴いてみたい!と思いました。

ぼくがプロの方の歌や演奏に抱くこういう気持ちって、自分が歌う時にも心がけたいって思います。たまにですけど、自分の歌を聴いてもらった方から「良かったです。他の歌も聴いてみたいです」と言われることがあります。言われる歌と言われない歌の差はぼくにもよくわかりませんが、聴いている方のお話を聞いてみると、歌の世界に感情移入できたようでした。

ぼくがSEKAI NO OWARIの他の曲を聴いていく中で、歌の世界に感情移入できた曲が「サザンカ」という曲でした。この作品は2018年2月28日に彼らの通算14枚目のシングルとして発売されました。2018年に開催された平昌オリンピックのNHK放送のテーマソングにも起用されました。同年の「第60回日本レコード大賞」の優秀作品賞を受賞し、同年の「第69回NHK紅白歌合戦」でも歌唱されました。

作詞はボーカルのFukaseさんとピアノのSaoriさん、作曲はギターのNakajinさんとFukaseさん、編曲はSEKAI NO OWARI小林武史さんで作られました。冬季オリンピックのテーマソングというオファーにFukaseさんは当初「スポーツをやってきたわけでもなく、何か努力を重ねてきたわけでもなく、何を書いていいかわからず悩み葛藤した」そうですが、「周りの人から見てる心配だったり頑張れって応援する気持ちは似てるものがあるのではないか」とお母さんにアドバイスされて、書けるようになったそうです。

サザンカ」のMVはFukaseさんの原案ということで、兄の草太役にFukaseさん、弟の花斗役に「彼のイメージしかない」ということで俳優の神木隆之介さんが出演されたドラマ仕立ての作品でした。絵画の制作活動に励む弟を、手料理や夜食のおにぎりを作って、優しく見守る兄。弟は作品を先生に見てもらうもダメ出しの連続で、気持ちが苛立ってきていて、ある日兄が作ったトンカツ定食を食べずにぶち撒けて部屋に戻ってしまう。散乱した料理を拾いながら、兄は何も言わず弟を信じているようで。弟は悩み抜いた挙句、考えが閃き、一気に作品を仕上げる。そして、完成した作品で弟は銅賞を受賞する。作品を見に来た兄は、その絵を見て驚く。描かれていたのは、ぶちまけられたトンカツ定食の絵。そして、表題には「後悔」の文字。家に帰った兄は思わず嗚咽した。というストーリーでした。

ぼくは作品の周辺情報は何も知らない状態で、耳から「サザンカ」の歌と演奏を聴いて、正面から応援するんじゃなくて、陰で支える優しさみたいなものが感じられて、いい曲だから歌ってみたいと思って、DAM★ともで歌ってみたんです。そうしたら、画面に映し出されたのがこのMVで、大サビあたりから歌っているのに涙がジワジワ出てきてしまいました。最初の数回は歌ってて涙を抑えられませんでした。歌の主人公である兄の草太への感情移入ができました。

歌いたいっていう気持ちは表現するのに大事な要素だと思いますし、気持ちの入り方の違いが歌にも出ると思います。その曲を歌いたいっていう気持ちが続いていれば、その気持ちの強さが歌の技術的なところを引き上げてくれると思います。

「いつだって物語の主人公が立ち上がる限り 物語は続くんだ」という一節に励まされるというか。自分のストーリーは自分でデザインして作っていくものなんですよね。

 

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