DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

ドライフラワー

カラオケの選曲のレパートリーは人それぞれ違いますけど、それゆえに、歌う方の曲を何曲も聴く中でその方のキャラクターが何となく見えてくるところがあります。

ただし、爆発的に流行した曲で、多くの方が歌っている曲の場合は、あまり歌う方のキャラクターが見えてきません。

ぼくはどちらかというと、歌う方が少ないマイナーな曲を選ぶことが多くて、多くの方が歌っているメジャーな曲を、自分が歌おうとはあまり思わないんです。それでもたまには出来心が芽生えてしまって、いまどき流行の曲を歌ってみようという日があったりします。昨日5月5日はそういう日で、優里(ゆうり)さんの「ドライフラワー」を初めて歌ってみました。

優里さんは2016年2月からロックバンド「THE BUGZY」のボーカルとして活動していましたが、2019年5月のバンド解散後はシンガーソングライターとして、InstagramTwitterTIKTOKなどへの動画投稿が注目され、2019年12月1日に「かくれんぼ」を配信しiTunes総合4位にランクイン。2020年8月9日に配信限定シングル「ピーターパン」でメジャーデビュー。2020年10月25日に2枚目のシングル「ドライフラワー」を配信、各音楽配信サイトで軒並み1位を獲得し、一躍時の人になりました。「ドライフラワー」は「かくれんぼ」で描いたストーリーを女性目線で歌った曲と説明されています。

優里さんの「ドライフラワー」が幅広い共感を受けたのは、失恋のストーリーの設定がわかりやすかったのかなと思います。「ドライフラワー」はフランスの花言葉では「終わりのない愛情」なんですけど、この作品の歌詞では「色褪せる」象徴として描いています。

女性目線の歌詞ということなんですけど、1番の歌詞で彼と彼女が別れて、2番の歌詞って彼の男性目線がこめられている気がして、ぼくは「ドライフラワー」を初めて歌ってみたときに、男性目線だったらという設定で歌ってみました。優里さんの2番の歌声って、どことなく山崎まさよしさんの歌い方を彷彿とするものがあったんです。

ラストのサビでは「まだ枯れない花を 君に添えてさ ずっとずっと抱えてよ」という歌詞ですが、ここもMVでは女性が花を抱えてるので、ここも男性目線が入ってるのかなと思ったりしました。別れてもお互いに未練を抱えてるじれったさが、聴く人に響いたのかもしれません。


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DAM★ともでも数百人のユーザーさんが「ドライフラワー(生音)」を投稿しています。

KARASTAでも1,000人を超えるユーザーさんが「ドライフラワー」を投稿しています。

こういう中でぼくが5月5日に初めて歌ってみた「ドライフラワー」の粗々な音源を出してもいいのかなと迷いましたけど、所詮素人の歌ですし、メロディーもろくに覚えていなくて、優里さんの歌を何回も聴いて、雰囲気だけで歌ってみたらこんな感じですという歌を出すことにしました。上手い「ドライフラワー」は他のユーザーさんにお任せします。

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アイデンティティ

ぼくがDAM★ともでよく歌っている1曲に、中山優馬さんの「水の帰る場所」という曲があります。


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この作品の作詞・作曲・編曲をされたのは酒井ミキオさんですが、酒井さんご自身もタイトルを「黒い水」として歌われています。


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同じ歌詞とメロディーでありながら、酒井さんの中低音の響きある歌声とメッセージが伝わる歌い方がお気に入りで、「黒い水」がDAM★ともに配信されていないのが残念です。

ぼくは酒井さんについては、テレビのオーディション番組に審査員として出演されていた印象ぐらいしかなくて、アップテンポなポップスを歌うおしゃれなファッションのいでたちの方というイメージぐらいで、作品についてはこの「黒い水」しか知りませんでした。

最近、酒井さんの作品を何曲か聴く機会があって、今聴いてもキャッチーなメロディーと歌詞がいいなと思い、カラオケアプリのKARASTAを見てみたら、酒井さんの作品が1曲配信されていて、それは「アイデンティティ」という曲でした。

この作品は2015年10月21日にシングルとして発売され、TVアニメ「落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)」のオープニングテーマ曲として使われました。このアニメの劇伴(げきはん。映画やドラマや演劇などで演奏される伴奏音楽)を担当されている中川幸太郎さんと酒井さんは以前、TVアニメ「スクライド」でも一緒にお仕事をされていて、それ以来の共演でした。

酒井さんと中川さんの対談記事を読んでいて、「落第騎士の英雄譚」の制作に当たって求めていたものが、アニメの作品的にも男の信念と信念がぶつかるバトルのイメージとか、熱い気持ちを感じられるものにしたいということだったそうです。酒井さんには「スクライド」の挿入曲「Drastic my soul」のようなイメージでのオファーがあり、マイナーな歌謡ロックのイメージで作られたそうです。歌入れの際に、業界のトレンドとしてテンポ感が早くなっていたらしく、BPM(BEATS  PER MINITE。1分間あたりの4分音符の数)が、「Drastic  my soul」は118で、「アイデンティティ」は124で、この6の差が難しくて苦労されたとのことです。

アイデンティティ」を聴いてみると、アニメの原作を踏まえてのバトルのイメージで作られているのだと思いますが、そのアニメのことを何も知らないぼくが聴くと、前を向いて戦い進んで行く歌詞とメロディーが、今のこの状況に合っているなあと思いましたし、ある意味応援ソングなのかなと感じました。そして、熱い気持ちがビンビンと感じる作品でした。DAM★ともでも初めて歌ってみましたけど、そういうイメージどおりでした。

中川さんは東京藝術大学の作曲科でクラシックの手法をいろいろと勉強されて、でもいろいろと制約も多くて、劇伴の制作も仕上げに入ってくると「好きにやっちゃえ」と思うそうです。酒井さんも幼少から音楽教育を受けられていますが、「バンドマンの強みは、理論を知らない代わりに、感性でとんでもないものを作っちゃうこと」だと思うそうです。

ここで間違えてはいけないのは、中川さんも酒井さんも、そして多くのバンドマンも、音楽の基礎的なことは会得しているということなんですよね。ぼくのようなアマチュアであっても、一応音楽教育は受けていますし。

クラシックにしてもポピュラーにしても、歌ったり演奏したりする向こう側に聴いてくれる方がいることは変わらなくて、聴き手の求めるものが何なのかによって、綺麗な音楽がいいのか、パワーを感じる音楽になるのか、一体感を生み出す音楽になるのか、違いは出てくるのだと思います。

酒井さんが話されていた118と124の差みたいなことって、歌っているとたまに出てきたりします。自分の思い描くイメージに歌えたら、自分としてはOKなんですけど、何か見えないどこかにズレがあると感じてしまうと、何十回歌っても自分にOKが出せないループに入ってしまうんですよね。そういう時は、全く違う感じの曲を歌って、気分を替えるようにしています。「アイデンティティ」もそんな時に歌ってみました。


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delete

ぼくはカラオケで歌うときに、喉に負担をあまりかけないような歌い方で歌うように心がけています。そう考えるようになったのは、一人カラオケヒトカラ)を始めた頃、何時間も全力で歌うことを毎週続けていたら、喉が痛くなったり、声がかすれたりということが続いたことがきっかけでした。病気にはなりませんでしたけど、歌いたい気持ちがあるのに、喉や声の調子が悪くては気持ち良く歌えないから、歌い方を改めようと、喉の痛みを治す薬や、喉に良い飲み物を口にしながら、ちょっと反省したものでした。

喉や声は消耗しますので、プロのボーカリストも、スケジュールが多忙な時期に全力で歌うステージが多かった影響で、声帯ポリーブを手術したり、あるいは経年劣化で高音が出にくくなったりしている方は多くいらっしゃいます。そういう声の悩みにぶつかったボーカリストさんって、ぼくも歌うことを趣味にしているので、すごく気になります。そんな気になるお1人がロックバンドのシドのボーカリストのマオさんです。

マオさんはハードなボイストレーニングから2012年頃に喉を壊しかけて、2013年にはメニエール病も発症して、でもその辛い状況を公表せずにステージを無理して続けていたら、声帯ポリーブの診断を受けてしまい、2014年に手術をされたそうです。それでもファンや周辺からマオさんの歌に心配の声が大きくなって、2015年に一連の病状について公表をされました。そこから、ボーカリストとしてのご自身の声を探していく努力をされたようなんです。ぼくはシドの曲を聴くようになっていた中で、最近の曲はどういう歌い方をしているのかなと思って聴いた1曲が「delete」という曲でした。

この作品は2020年3月4日に彼らの24枚目のシングルとして発売されました。作詞はマオさん、作曲はベースの御恵明希(Aki)さんです。シドの作品というと歌謡曲の雰囲気をベースにしたロックが多い印象ですけど、この作品はアニメのオープニングソングに採用されたこともあって、ロックを前面に出した疾走感のあるサウンドが印象に残る感じでした。

タイトルの「delete」は「削除する」という意味ですが、マオさんは「前に進むために何かを消すのは大事なことというか、当たり前だと思っているんです。抱えすぎていて前に進めなかったり、“こういう自分になりたいけどなれない”とか自分の考えにとらわれていたら、1回消しちゃえって。そういうメッセージを込めていますね。自分の体験談でもあります」と意図をコメントされています。その上で、希望を持ったメッセージソングにされたそうです。

「delete」を聴いたとき、これまでの作品よりも音域が少し低いのかなとは思いましたが、新たなシドの一面を、低音の安定度が増したマオさんのボーカルが、メンバーの演奏と融合している印象を持ちました。ヴィジュアル系バンドからスタートした彼らは、今はメイクもせず、アーティストとしての音楽を表現するカタチに変わったわけで、そういう彼らの成長をファンが受けとめるのかどうかということなんだろうと思います。実はこの作品はセールスとしては歴代の作品に比べて良くはありませんでした。でも、セールスの多寡が作品の質の良さを示す訳ではなくて、彼らが今後10年、20年の自らの音楽活動の姿を見据えての道筋であるなら、根気強く続けていくのもまた音楽の道であろうと思います。

ぼくも自分の歌を成長させたいと思うなかでは、成功体験とか失敗体験にいつまでもとらわれないのが肝要なのかなと思うようになりましたし、失敗は反省して改善に行かせばいいですし、成功もその時は良かったというだけであって、別に勝利の方程式ではないので、また別のアプローチで良い結果が出るのか研究する、頭や発想を切り替えれば新たなアイデアが浮かぶのかもと考えています。にしよう上で決めたことであれば、人気が全盛だったことに歌い過ぎたています。


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讃岐国分寺

カラオケ大会に出られる方の中には、ライブやイベントに出演して歌ったり、オリジナルの作品を発表されている方もいらっしゃいます。

ぼくが昨年参加した「ぷれぱCup」を主催しているPräparat(プレパラート)さんは、香川県で音楽活動をされている、EMIさんとSatomiさん女性お2人のユニットです。ご当地の香川県を盛り上げる活動をされている中で、EMIさんが作詞・作曲をされて、Satomiさんが歌われている「讃岐国分寺」という作品がありますが、この作品がDAM★ともで歌えるようになりました。(選曲番号6887-75)

このDAM★とも配信を記念して、「ぷれぱCup」番外編として、「讃岐国分寺」杯が開催されることになりました。ぼくも参加してみようかなと思い、まずはオリジナルの動画をみてみました。


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まず感じたのは、歌詞に日頃聴き慣れない難しい言葉と珍しい色が幾つも出てくることでした。聴いて頂くとわかるように、1コーラス、2コーラスと同じ形のメロディーが繰り返されるわけではなく、1コーラスでAメロ→Bメロ→サビ→大サビ的な展開をしています。

讃岐国分寺は、香川県高松市国分寺町にある真言宗御室派の寺院で、四国八十八箇所霊場の第八十番札所です。ぼく自身は讃岐国分寺に行ったことがありませんので、静寂な空気が流れるお寺を訪れお参りをする光景をベースに考えなから、自分なりの歌のイメージを作っていくことにしました。

他にお寺や神社を歌った作品ってあるかなと探してみたんですが、意外に見つからなくて、浮かんだのは、歌詞が「京都 大原 三千院」で始まる、デューク・エイセスさんの「女ひとり」ぐらいでした。


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ぼくも昨年の12月に「讃岐国分寺」を何十回も練習して、自分がイメージした動画を提出しましたけど、今振り返って提出した動画を聴くと、心の焦りとか必死さが丸見えな歌になっていると思いました。難しい歌詞を間違えてはいけない、メロディーの音程がずれてはいけない、作品の展開ごとに表現を作っていかなきゃいけない、という気持ちがあったので、カチカチした歌になってしまっているのを感じました。動画を提出してから、DAM★ともで歌ってみると、肩の力が入っていない、心に余裕のある歌が、すっと歌えるようになったので、歌はメンタルの影響を強く受けるものだなと思いました。この大会で「原曲忠実賞」という入賞を頂きましたが、ぼくの中では改めて歌や作品を昇華することの大切さを痛感した機会でもありました。

ぼくが必死に練習していた時の動画を貼りつけておきます。

https://twitter.com/noboritofuji/status/1337013543149789190?s=20

 

 

素直にI'm sorry

週末にカラオケに行くときはフリータイムでいろいろな曲を歌っています。時間に余裕があると、懐かしい曲とかを急に思い出して、歌ってみたりしています。最近のそんな1曲がチェッカーズの「素直にI'm sorry」という曲でした。

この作品は1988年10月21日に彼らの18枚目のシングルとして発売されました。作詞はボーカルの藤井郁弥(当時。現在藤井フミヤ)さん、作曲はサックスの藤井尚之さんです。

チェッカーズが1983年にデビューして1992年に解散するまでの中で、この作品は中間期に当たりますが、デビュー当時のアイドル的な人気沸騰を経て、セルフ・プロデュースの時期に入っていました。1988年のNHK紅白歌合戦チェッカーズはこの作品を歌唱していますが、ぼくはこの時の印象が強くて、「チェッカーズもこういう曲を歌うようになったんだ。かっこいいなあ」と子供心に思ったものでした。


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この動画は昭和最後の紅白歌合戦だったんですが、当時の歌手は紅白の時は気合の入れ方が違うというか、通常モードよりも本気で歌っていたように思います。

チェッカーズの曲を歌うときは、歌う人が大体フミヤさんモードな歌い方になってしまいがちで、ぼくもそんな感じになります(笑)。彼らのサウンドはステージのパフォーマンスも含めての作品というか、魅せ方がキーポイントだなと思っていて、フミヤさんの歌い方とか、歌に合わせての振付とかを見ながら、参考にしていたと思います。


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いま改めて当時の映像を見ると、ソロになってからのフミヤさんの作品とは違って、フミヤさんの歌い方は思っていたよりもクセが薄くて、ロングトーンでは殆ど歌っていなくて、魅せるのに必要な歌い方や振付に徹していたことに気づきましたし、そして何よりもステージ上でのフミヤさんは冷静な表情をされていました。

ぼくも素人ですけど、ステージで歌うときの自分って、最初の頃は緊張することだけで一杯でしたけど、回数を重ねてくると、緊張はしていますけど、ステージからお客さんの様子とかよくわかりますし、ステージに立っている自分も客観的に別の目で見ていて、ここはこう動こうとか自然に体が動くもので、今になってわかるものがありました。

ぼくもDAM★ともで久しぶりに「素直にI'm sorry」を歌ってみました。素人ですので期待しないでお聴き頂ければと思います。

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Any

東京の桜は例年より開花が早くて、あっという間に満開になって、そして花びらが散って、青葉が日々育っています。人間の世界はコロナに翻弄されている中、自然の世界は季節の仕事をちゃんとやれてるなあって思います。

さて、ぼくがDAM★ともで歌ったりはしますけど、あまり投稿をしないアーティストの1組がMr.Childrenです。ミスチルの曲が好きじゃないというよりは、割と好きという感じで、CDも折に触れて買っていた時期がありました。

今から10年以上前、カラオケに行って歌っていると両隣の部屋からミスチルの曲を歌っている声が聞こえたことがありましたし、ミスチルを歌う人は多かったです。ぼくはDAM★ともでも、ユーザーの皆さんが数多く投稿している曲は選ばない傾向があって、ミスチルの曲でも多くの方が歌っていない曲を選んで歌ってました。そんな1曲が「Any」という曲でした。

この作品は2002年7月10日に23枚目のシングルとして発売されました。ミスチルもメジャーデビュー10周年だった頃ですが、桜井さんが小脳梗塞で倒れてしまった頃でもあり、驚いたことを思い出しました。

当時、「Any」をよく聴いていました。ミスチルの作品の歌詞は言い当てられてるなあと思う歌詞が多くて、「真実からは嘘を 嘘からは真実を 夢中で探してきたけど 今僕のいる場所が 探してたのと違っても 間違いじゃない きっと答えは一つじゃない」という歌詞に頷き、そして励まされていた感じでした。

今、久しぶりに「Any」を聴いていると、単に励まされるだけじゃなくて、生きていく中で物事の本質に向き合っていくことって、本当に大事なことだよなあと感じるものがありました。

2番の歌詞で「そしてぼくは知ってしまった 小手先でやりくりしたって 何一つ変えられはしない」という一節があって、メジャーで10年生き残って、アーティストとしての地位を高めていった桜井さんが、その激動を振り返った一言でもあったのかなと、今思いました。

ぼくが身を置くようになったカラオケの世界も、アマチュアの趣味の世界とは思えないほど、様々な努力を積み重ねている方がすごく多くて、そういう姿勢に自分も感化されることも多々あります。一方で、カラオケ大会で優勝や入賞をしたり、カラオケアプリで多くのユーザーさんに注目される存在になっていく中で、そうやって褒められるだけで、成長していけるのかなとか、本質を見誤っていたりはしないかなとか、疑問に思うこともあったりします。

ぼく自身も成長はできていると実感してますけど、上には上がいて、まだまだそのレベルには手が届かなくて、でも誰かに褒められたりおだてられたりすることも幸いありませんので、雰囲気に流されないで、自分の軸とか考えたことを信じて進もうと思っています。大会でご一緒している歌の仲間の人たちも、この2年余りを見てきて、それぞれの方の個性が次第に出てきているのを感じます。ぼくはどういう方向に進もうかな、自分のどういう特色をアピールしていこうかなとか考えながら、自分が歌える場所を探していきたいと思います。自分の道は自分で開いていくしかありません。

 

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歌の勉強

3月21日、ぼくはVocal  Competitionという生バンドの演奏で歌を歌うイベントに参加しました。このイベントを知ったのは12月の初め、Twitterのタイムラインを見ていたときでした。

主催者はmariaさんという、歌唱王に出られた方で、ロイヤルホース梅田という45年の歴史あるお店で、プロのミュージシャンによる生バンドの演奏で歌うという企画で、審査員には西日本を代表するボーカリスト5人が集結するというものでした。

ぼくの第一印象は「関西や九州で活動している歌の上手い方が応募しそうで、審査員の5人も厳しそうだし、ハードル高いかも」と否定的なものでした。その後、審査員の5人からのコメントが紹介されましたが、バンドと音のコミュニケーション、ステージ上の表情やパッション、バンドとのアンサンブル、サウンド力、曲に合わせた声と息遣い、感情の揺れ動き、生バンドで慣れない中でも個性を押し出すなど、提示された基準はぼくにとっては余りにも高いと感じるものでした。

イベントの内容が知りたかったのと、出場者のレベルが高すぎるなら諦めようという気持ちが半々で、mariaさんに正直な気持ちで問い合わせたところ、「レベルとか気にしないでください。楽しんで頂くイベントですし」と言われて、出場できるか検討してみることにしました。

今回のイベントは生バンドの演奏で歌うため、本番当日とは別に、リハーサルにも参加する必要がありました。大阪までの2往復の交通費の負担と、リハーサルは平日でしたので仕事の日程調整と、歌以外でも解決すべき課題がありました。

3月の開催であったため、JRの青春18きっぷを活用して、交通費を節約することができ、仕事の調整もできましたので、リハーサルも参加可能となったため、正式に出場の申し込みをしました。

ぼくは大会で常に入賞する実力はありませんので、勝てそうだからという基準ではなく、出場した経験がその後の音楽活動に役立つかということで、出場しようと決めています。今回はプロのバンドの演奏で、リハーサルで3回、本番で1回、フルコーラスで歌えることが決め手になりました。たとえ遠方であっても、出る価値があると思いました。

何でそこまでして、人前で歌いたいんだろうって、自問自答するんですけど、ぼくの場合は、自分の歌が成長していることを確かめたいからなんだと思っています。

さて、3月21日の本番当日、会場のロイヤルホース梅田は、歴史ある雰囲気を持った、食事をしながら歌や演奏を楽しむお店でした。司会の方が「ここにいるのは音楽が好きで歌が好きな仲間たちです。音楽を歌を楽しみましょう」と冒頭で言ってくださったのが、ぼくにはいい感情を持たせてくれました。他の出場者はどなたもお世辞抜きで、レベルの高い歌唱をされていました。こういうイベントに参加する人って、自信を持っていらっしゃいます。ぼくの出番は4番目で、宇佐元恭一さんの「雨ニモマケズ」という曲を歌いました。カラオケ大会では歌ったことがない曲でしたが、生バンドの演奏に合うかもと思って選びました。目の前の近い距離に審査員の皆さんがいたので急に緊張感が湧きましたが、音楽と歌を楽しもうという気持ちで肩肘張らずに歌おうと思いました。会場の後方で聴いている方にもぼくの声を届けたいと思いました。リハーサルでピアノの先生に言われたとおり、曲ラストの締めを合わせるように歌いました。

歌い終わってホッとしたぼくに聞こえて来たのは意外な反応ばかりでした。「めっちゃ良かったよ」「ものすごく良かったですね」「かっこよかったわ」って次々に言われて、ぼくの歌のどこがそうなのか、さっぱりわかりませんでした。まだ自分の歌の出来を客観的に見れていないんだなと反省しました。

審査結果で思いがけず、審査員の1人の方から高評価を頂き、審査員特別賞を頂くことができました。その方は世界大会にも出場した素晴らしいシンガーの方ですが、その方から「感動しました」と言われてしまい、ぼくも本当に嬉しかったです。終了後に審査員5人のスコアシートを頂きましたが、他の4人の方の評価はそれほど高いものではなかったので、もっとライブ感の熱が伝わる歌を歌えるように勉強しないといけないなあと思いましたし、万人に伝わる歌を歌うのは難しいことを改めて感じました。

人の評価が様々であることはわかっているけど、いい歌ってどんな歌なんだろうって考えます。全員じゃなくても、何人もの方からいい歌と言って貰えるなら、それで十分だと思っています。ぼくは大会には出ますけど、優勝とか入賞とかその日限りの評価よりも、聴く方の印象に大会が終わった後も残るような歌を歌いたいなあという気持ちです。その上で、どんな歌を自分の持ち味として歌っていくのか、いろいろな歌は歌っていたいけど、そろそろ方向性は決めなきゃいけないのかなあ、帰り路にそんなことをふと思いました。最初はチャレンジを躊躇ってましたけど、悩んで考えて、歌の勉強のつもりで出ると決めて良かったです。