DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

ザ・カラオケトライアル

9月27日、千葉テレビで毎週日曜日の21時〜22時に放送されていた「ザ・カラオケトライアル」が最終回を迎えました。「カラオケトライアル」として番組を始めてから37年間続いていた長寿番組でした。

ぼくが見るようになったのは、カラオケ大会に出るようになってからですから、最近の2年間でした。DAM★とものユーザーさんがこの番組に出るのを告知していて、それが見るきっかけだったと思います。

出場するのは大半が70代以上の方で、町のカラオケ大会みたいなものかと思っていたら、出場者の方の歌唱はこなれている歌が多い印象でした。審査基準は、初段は無事に歌えればまず合格なんですが、二段になると歌の細かいところでの指摘が入ってきて、合格率はぼくの印象では2割もなかったと思います。三段になると、審査委員長の徳久広司さんが「重箱の隅をつつかないといけない」と言われてましたが、もっと細かいリズムやメロディーの処理のことを指摘していて、極めて少数の方が合格する、という厳しいものでした。

ぼくはこの番組をほぼ毎週見ていましたが、出場者の歌を聴いてぼくが思ったことと、審査員の方が指摘したことのギャップをその場で確認して、プロの視点って、審査委員長の徳久さんや、審査員をしていたレコード会社のディレクターの皆さんとか、こういう視点があるんだなあと感心し、ぼく自身の歌の勉強になることが多々ありました。

徳久先生が毎週審査でコメントされていたことを、全部メモっとけば良かったと後悔していますが、ぼくが印象に残った名言をいくつか、書いておきます。

①アマチュアの人は全部歌おうとするから

ほぼ初めてというテレビ出演で出場者の方は実力を最大限に発揮しようと頑張って歌いますから、全部歌おうとしてしまう気持ちって、ぼくはすごくわかります。ただ、歌は一本調子で歌えばいいものではなくて、「歌の押し引き」とか「歌の強弱をつける」とか言われますけど、歌にメリハリを付けないといけない、という意味なんですよね。レコード会社のディレクターの方が「このフレーズは捨てるところなんだから」と出場者の方に言っていたことがありましたけど、これも雑に歌えというのではなくて、歌のテーマではないところをメインのように歌わなくてもよい、という意味なんだろうと思います。

強く歌うよりも、力を抜いた感じで、引き気味に歌うのはとても難しいです。ぼくもカラオケ大会に出た時に、審査員の先生から「全部80%以上で歌ってる」と結構細かい指摘をステージ上で数分間言われた経験がありますので、結構ここは耳の痛いところです。

②ここを上手く見せようとしなくていいんだよ

三段を目指す挑戦者は上級者の方ですので、歌う曲もさんざん練習していますから、各フレーズの歌い方とか見せ方とかは会得しているわけです。だから、このフレーズはこう歌っていきたいという主張も持っていますから、上手くみせようとしたい気持ち、ぼくもものすごくわかります。

三段にもなると、プロである審査員の見方は厳しくて、その上手く見せたいというのが逆にマイナスの指摘に繋がることがありました。もっと、歌の世界に忠実に、素直に歌って欲しいという意味なのかな、と思います。歌の超上手い人の動画を見ていて、ぼくも思うことが時々ありますけど、私ってこんな難しい曲をこれだけ上手く歌えるんですとか、ぼくってこんな高音域の曲をかっこよく歌えるんですって、一番にいいたいのかなって感じることがあります。

歌を聴く人に届けたいのであれば、しかめっ面で頑張ってますというアピールをしたり、高音を出せてガッツポーズを心の中でする前に、やるべきことはいくらでもあると思います。ぼくもそんな慢心で落とされたことがありますから。プロの世界で生きている人は何でもお見通しなので、下手にごまかさない歌を歌おうと心がけるようになりました。多少の出来の誤差があっても気にしないようにしました。その方が審査の結果も良かったりしますし、人前で歌っても印象がいいみたいです。

③歌の存在感をいかに出せるか

これも三段や四段を目指す出場者向けでしたが、上級者の方は難しい曲にチャレンジして歌いたいという気持ちがあり、私ならぼくなら歌えるという決意もありますから、出場してもきちんと歌えているんです。ところが、プロの目はもっと厳しいんです。「カラオケトライアル」でよく引き合いに出されていたのは、女性は大月みやこさんを代表とする個性の強い歌手、男性は五木ひろしさんや細川たかしさんや鳥羽一郎さんを代表とする存在感のある歌手の曲でした。徳久先生がたまに言われてましたが「きれいに歌いすぎ。オリジナルの当人たちはそうじゃないでしょ。でもそういう歌を聴いて人はいいなと思って感動する。欲しいのは存在感なんだよね」という主旨だったと思います。

カラオケ大会でもどの曲を歌うかという「選曲」は、今の自分はどういう歌を歌ったらいいかと、ある意味自分を見つめる選択でもあります。例えば、清水翔太さんの曲とか、森山直太朗さんの曲とか、自分に実力があれば選曲してみたいですけど、翔太さんや直太朗さんの雰囲気を真似たような歌を、ちょっと人前で出す気にはならない。だから、この曲ならまだ自分が出せるかもしれない、と思った曲を選んで、歌うようにしています。みんなが聴いている曲にはイメージが出来上がっているから、アマチュアとしてはどう別の切り口からその曲に入っていけるのか。歌に自分らしさをどれだけ入れられるのかが、自分にとっての歌の存在感なのだろうと考えています。

他にもまだまだ、思い出せないくらいあったと思います。歌っている中で、思い出せるんじゃないかなと思います。