DAM★とも&アウフヘーベン

DAM★ともで公開した曲について感じたことを書いていきます。

サンセット・メモリー

日本の歌謡史においては昭和の歌謡曲は欠かせないところです。今の音楽のベースになっていることは勿論ですけど、当時は歌手も作品もバラエティに富んでいたと思います。

1980年代は昭和の最後になりますけど、アイドルが全盛を誇っていた時代ですが、ニューミュージックも大衆に溶け込む音楽へと変わっていった時期でもありました。この時代のヒット曲として思い出したのが、杉村尚美さんの「サンセット・メモリー」という曲でした。

この作品は1981年1月25日に杉村さんのソロデビューシングルとして発売されました。作詞は竜真知子さん、作曲・編曲は木森敏之さんです。杉村さんは日暮しというフォークグループのボーカルとして1972年から活動されていましたが、1979年に日暮しは解散し、1年間の休養をしていた頃でした。当時は気楽なアマチュアの音楽活動を楽しもうかなと思っていた矢先に、この作品を歌う話が舞い込んだそうです。メロディーを聴いてこれは売れ線の曲と察知した杉村さんは、ヒットすることへの不安がよぎったそうです。そして、この作品は「炎の犬」というドラマの主題歌に採用されることが決まり、杉村さんの不安は増したそうです。

実はこの「炎の犬」というドラマも突然作られることになったドラマでした。勝新太郎さんが主演で放送していた「警視-K」というドラマが視聴率や予算の問題で2クールの予定が1クールで打ち切りとなり、4月スタートのドラマまでの中継ぎで制作されたのが「炎の犬」でした。杉村さんの主題歌起用もいわば偶然の産物でした。

「炎の犬」も視聴率が10%以上と意外な健闘を見せると共に、「サンセット・メモリー」も着実に上位へとランクアップしていき、当時のベストテン番組にも出演をされていました。高音が伸びる綺麗な声がとても印象的でした。作曲の木森さんは1987年に岩崎宏美さんの「聖母たちのララバイ」を提供しましたが、そのモチーフはこの「サンセット・メモリー」にあったのかなと思います。この年のオリコンシングル年間27位ですから、ぼくが思っていたよりも大ヒット曲だったんだなと思います。

杉村さんは芸能界の水には合わなかったそうで、その後29才で結婚を機に引退され、現在も歌番組への出演依頼はお断りされているそうです。

 


sunset memory Naomi Sugimura サンセット・メモリー 杉村尚美

 

 


炎の犬第1話OP 1981年放送